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.+*第11話*+.
「琴未ちゃん……学校行く?」
お母さんが部屋の中の私に話しかける。
「行くよ」
私は支度をしてご飯を食べずに、お弁当も持たず、家を出た。
まだ春の朝七時。
少し寒さが残っていて、身震いをした。
少し歩いて行くと和希の家の前にさしかかった。
どうせ今は誰も出てこない。と思い、早足で立ち去ろうとしたその時。
「琴未……」
鼻を赤くした和希が家の前に立っていた。
「和希? 早くご飯食べないと」
当然のようにドアを開けて依月ちゃんが出てきた。
私はたまらなくなって、走って逃げた。
和希や依月ちゃんと顔を合わすのが嫌で。
学校までの道のりが、とても長く感じた。
いつのまにか私は泣いていた。
「ふっ……ん……うぐっ……あぁぁ……あぁぁぁぁ!」
歯を食いしばって泣くのを我慢していたけど我慢できなかった。
「もうやだよ。嫌。和希は私の彼氏なのよ!?
どうして依月ちゃんが……どうして!?」
私は校門に泣きついた。
「何してんだよ」
え……?
.+*続く*+.
2011/07/20 20:53 No.84
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.+*第12話*+.
「くり……や、ま先輩……」
栗山先輩が後ろに立ってる。
瑠衣先輩の彼氏の明先輩が。
「どうしたんだよ水澤」
水澤=c…私の名前……
覚えてくれてるんだ。
「ふぁっ……あ……栗山先輩……!」
私は栗山先輩の大きな体にすがりついた。
栗山先輩の胸は暖かくて安心した。
「水澤……どうしたんだよ?
話してみろよ。話すだけ話してスッキリしたらいいんじゃねえか」
栗山先輩が携帯音楽プレーヤーを取りだして最大音量で聞きだした。
「だいじょうぶ、これで聞こえないから」
栗山先輩が歯を見せて笑う。
なんだか心の底がぎゅうっと締め付けられる。
心の底に芽生えた気持ちの正体は分からなかったが、きっと嬉しかったんだ。
栗山先輩の気持ちが。
「じゃあ……話しますね」
私は栗山先輩と背中合わせになるように立って話しだした。
「私の彼氏は……すごくモテるんです。それに誰にでも優しくて。
中二のころから付き合ってますけど、女の子がいっぱい寄って来るんです。
彼氏は優しいから、本当に心の底から優しい人だから、私が居るってわかっていても女の子と仲良くするんです。
私は彼氏がどんなに優しくて、モテる人かわかっていたから最初の方はよかったんです。
でも……私より何倍も何十倍も、可愛い子が歳を重ねるにつれてどんどん寄って来て……
心配になったんです。可愛い子だから恋の経験は多くあるだろうし、男の喜ぶ方法なんて手に取るように知ってるから
彼氏も……その子たちの事好きになるんじゃないかって……!
誰にでも優しい彼氏が、可愛い子にはもっと優しくなるんじゃないかって……!
私なんかよりも可愛い子の方を好きになるんじゃないかって……!」
いつの間にか私は、栗山先輩の背中に自分の背中を付けて泣いていた。
「それでその心配する気持ちはいつの間にか嫉妬になったんです。
嫉妬になった最初のうちは止められたんです。制御できたんです。
でもこのごろは我慢できないんです。自分でも信じられないぐらいの行動をしてるんです。
自分が怖い。いつか自分が殺しまでするんじゃないかって……
こんな最低な女、絶対和希に似合わない……!
私なんか、和希の彼女でいちゃだめなの。
優しい、優しい、人の事を本気で想ってる和希がこんな最低女とつきあっちゃ「水澤は、最低じゃない」
「優しくて、誰よりも彼氏の事を想ってる。
嫉妬だって彼氏の事が好きだからだ。
だからこれからも彼氏をもっと大切にするんだ」
栗山先輩……
「聞いてたんですね」
「ごめん。水澤があんな泣き顔で話すから……心配で。
本当ごめんな」
栗山先輩が髪の毛をクシャクシャしながら言う。
「ごめんなさい、許しません」
「え!?」
私は栗山先輩にキスをした。
「これぐらいしないと許しませんッ……」
私は顔を真っ赤にして学校にダッシュで入って行った。
.+*続く*+.
2011/07/22 20:09 No.85
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.+*第13話*+.
どうしよう、栗山先輩には瑠衣先輩が居るのに。
私には和希が居るのに。
どうしてもキスしたくてしょうがなかった。
こんな気持ち初めてだった。
燃えるような気持ちにかき立てられて、自然と体が動くなんて。
ましてやそのキスが……とても気持ちがよかっただなんて。
なんて私は最低な……
でも、これで栗山先輩もわかったはず。
私が最低女≠セって事。
大きな校舎の中を息を弾ませながら私は走った。
泣きながら。
自分の罪をどうすれば償えるのかわからなくて、ただ、泣いた。
教室に着くまでの道のりがとても遠く感じた。
やっとの思いで教室についてドアを開けると――――
「凜ちゃん……!」
.+*続く*+.
2011/07/25 19:54 No.86
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.+*第14話*+.
「おはよう琴未。
……どうしたの? そんなに息が上がって……」
凜ちゃん
凜ちゃん
凜ちゃん
凜ちゃん
「ごめんなさい。ごめっ……なさい……ごめんなさい……!
ごめんなさい……ごめ、ん……ごめんなさい!」
私はうずくまってひたすら謝った。
「琴未? どうしたの? 琴未……」
凜ちゃんが心配そうに私を見る。
「私っ……かずっ……き、が居るのにっ……栗山先輩と……キスした!
栗山、先輩に……は、瑠衣先輩が居るっの、に!
ごめ、なっさ、い……凜ちゃん!
凜ちゃんは和希を、本気、で想って……る、の、に。
こっんな……最低女、で、ごめんなさい……
ごめんなさい……ごめんなさい……和希と不釣り合いなのに……
ごめんなさい……」
「私に謝らないで。
和希と、その栗山先輩と瑠衣先輩に謝って!
私なんて放っておけばいい」
凜ちゃんの顔はとても哀しそうで、今にも涙がこぼれおちそうだった。
軽い足音が聞こえてくる。
「栗山先輩……?」
私は教室を出て、足音の方へと走りだした。
足音が大きくなってくると背の高い、黒髪の男子生徒がこっちに向かってくるのが分かった。
「水澤……」
栗山先輩だった。
汗をたくさん流していた。
「ごめんなさい。私、キスするつもりがなかったんですけど……本当にごめんなさい。
瑠衣先輩にも謝っておきます。もちろん彼氏にも……」
私は深々と頭を下げた。
「いいんだよ。もう。謝ってくれたからさ」
栗山先輩が照れくさそうに頭をかく。
どうしてそんなに優しいの?
私は彼氏が居て、栗山先輩には瑠衣先輩が……
でも、すごく、悩みを聞いてもらってスッキリした。
「私、栗山先輩に悩み聞いてもらってスッキリしました。
また聞いてもらってもいいですか?
あ、キスしませんから……」
私がそう言うと栗山先輩は優しく笑って。
「もちろん」
と、それだけ言った。
.+*続く*+.
2011/07/27 21:46 No.87
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.+*第15話*+.
20XX/4/4
今日は無視してゴメン。
話したい事があるの。
放課後に屋上に来て。
…一人でね?
そういうメールを和希に送った。
一人でね≠ニ言うのは保険。
依月ちゃんが来ると厄介だもの。
私は今日一日、和希と目を合わさなかった。
でも、放課後の約束。
絶対に和希の目を見て正直に話すって決めた。
私は屋上に行くと空を見上げた。
暗い、灰色がかった空だ。
「私みたいな色ね。今の私みたいね」
それしか言う事がなかった。
中学の屋上では色んな出来事があった。
清水さんに落とされて一緒に歌恵も――……
和希と仲直りもした。
白鷺学園の屋上でも色んな出来事が起こるのかな。
歌恵……
病院でまだ眠り続けてるのかな?
もう、歌恵が眠り始めてから一年ぐらいだよね。
眠ってる歌恵の姿を見たくなくて、一度もお見舞いに行ってないけど、和希にキスのこと言えたら一緒に行こうかな。
そう思っているとドアの開く重い音が鳴った。
.+*続く*+.
2011/07/27 22:13 No.88
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.+*第16話*+.
「何、そんな顔。
和希らしくない」
今の和希は悲しそうな顔してる。
今にも泣きだしそうな目、動く事を知らない眉、噛みしめている唇。
いつもの和希とは全然違う。
優しい深い色の目、喜怒哀楽が激しい眉、よく動く唇。
それがいつもの和希なのに。
でも、私が口を動かして、あの事≠話せば和希の顔は今よりずっと暗くなる。
入学して一週間も経っていないのにケンカしちゃうのかな?
ううん。大声で怒鳴られたほうがいい。
悲しそうな顔で見つめられるよりずっとまし。
「話って……なんだよ」
和希が口を開けた瞬間。
私の足は小刻みに震えていた。
.+*続く*+.
2011/07/31 19:43 No.89
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.+*第17話*+.
「ごめんね和希。泣いてすむ事じゃないってわかってるけどたぶん泣くと思う」
たぶん今の私の顔はすごく悲しい顔をしてる。
そんな私の顔を見て和希の顔もますます暗くなるんだよね。
「好きだよ。和希の事。大好き。だけど私ね。栗山先輩……と……
……と……先輩と………………ッ……!」
声が出ない。
息苦しい。
胸が締め付けられる。
『栗山先輩とキスした』って言ったら和希は……和希は、どんな顔する?
今の暗い顔よりも、もっともっと、世界の終わりみたいに暗くなってしまう。
和希のそんな顔は見たくない。
「琴未?」
和希が心配そうに私を見る。
私はその瞬間こう思ったんだ。
和希が好きなら、言わなくてはならないって――――…………
.+*続く*+.
2011/08/01 19:50 No.90
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.+*第18話*+.
「私……和希以外の男の人と、栗山先輩とキスしたの。
依月ちゃんと和希の間には私の入り込めないような絆があって……
それで私相談してたの。栗山先輩に。
本当にごめんね。
ただ、ただ私は……!
依月ちゃんに嫉妬してただけなの……!
ごめんね。ほんとうにごめんなさい。
和希が大好きなのに、誰よりも、世界で一番大切なのに。
ちょっとでも気持ち揺れ動いて……
ごめんね。でも私和希が好きなの……
和希以外を愛せない。本当にごめんね。ごめん」
不思議と涙はあふれてこなかった。
「琴未……」
和希が優しく抱きよせる。
和希の胸は暖かくて、優しくて、泣きたくなる。
私、こんなにも愛されてるんだ。
それなのに私は……
ごめんね。
ごめんね。
もう二度と、他の男の人とキスなんかしない。
私は和希だけを愛して生きる――――……
.+*続く*+.
2011/08/01 20:09 No.91
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.+*第19話*+.
「……琴未のケータイ、鳴ってる」
「え? 知らない番号……」
「貸せ、俺が出る」
やだ。
超カッコイイ。
和希がすごい頼もしく見える。
ううん。いつも和希は頼もしい。
私が気付かなかっただけ……
愛おしい。和希が愛おしい。
「……え!? 本当か!?」
和希の顔から笑みがこぼれる。
「え……和希? どうしたの?」
「たんだ……歌恵が……歌恵が目を覚ましたんだ」
.+*続く*+.
2011/08/02 20:08 No.92
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.+*第20話*+.
「歌恵……!」
歌恵が目を覚ましたんだ。
歌恵……
私は走りだした。
上靴のまま、荷物も持たず、電車にも乗らず、ただ一直線に病院に向かった。
2011/08/02 20:18 No.93
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.+*第21話*+.
心臓がバクバク言ってる。
こんな心のざわめきは、和希の事で感じることと全然違う。
焦りや絶望とは違う。
よくわからないけどすごく心が……喜んでる。
歌恵に会ったら一番最初になんて言おう。
そんなことばっかり頭に駆け巡る。
ただ、ただ、歌恵が目覚めたことに、喜びを感じて、私は走った。
進む足よりも気持ちが先へ、先へ行こうとする。
「待て!」
そう言って私の腕を和希が引く。
「なっ……なにするの!? 早く歌恵の所に行かなくちゃ!
放して!」
「琴未!」
和希が怒鳴る。
こんなの初めて。
和希がこんなに怒るの見た事ない。
「…………」
「ごめん。ちょっときつすぎたな。
……さっき言い忘れてたんだけどさ、実は歌恵――――……
記憶を失ってるかもしれないって……」
「………………嘘でしょう……?」
私はその場に座り込んだ。
もう、何を言っていいのか分からなくなって――……
「歌恵……歌恵……どうして!?
どうして……どうして歌恵ばかり不幸にならなきゃいけないのよ!」
そんな事ばかり繰り返して私は涙が枯れるまで泣いた。
.+*続く*+.
2011/08/22 19:48 No.94
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.+*第22話*+.
「……私、歌恵の所に行く」
泣いて赤くなった目をこすりながら私は言う。
「まだ記憶がないって確定してるわけじゃないんだから!
行くって決めた以上絶対行くんだから!」
もし歌恵の記憶がなかったとしたら、もう一度私は歌恵と一から友達になる。
絶対に歌恵は私の事を思い出してくれる。
そう信じてる。
「……そうだな。琴未の言うとおりだ。
そうと決まれば早く行こうぜ」
和希に手を引かれ私は走る。
上靴で走ってきたからとても足が痛い。
でも、歌恵の事に比べたらどうってことない。
病院に着くと私は集中治療室に駆け込んだ。
中では歌恵のお母さんとお父さんが泣いている。
「おじさん、おばさん」
「あぁ……琴未ちゃんと和希君ね。
すぐ来てくれるなんて嬉しいわ。
でも歌恵は――――……」
私が話しかけると歌恵のお母さんは優しく笑ってくれた。
でも……途中からその笑顔はどこかへ消えた。
「……記憶がないの。
はは……韓流ドラマみたいよね。記憶喪失なんて……
でもっ……韓流ドラマじゃなくて、本当に歌恵は……!
無口になちゃって……前の笑顔もないのよ……
やっと目覚めたと思ったのに……どうして歌恵はこんな目にあうの!?
私達の歌恵はどこなのよぉ……」
「おばさん……」
私は歌恵のお母さんを抱き寄せた。
そうだよね。
一番辛いのは歌恵の家族なんだ。
目の前で辛い顔しちゃだめ。
「大丈夫ですよ。絶対に歌恵は本当の笑顔を取り戻します。
おばさん達の歌恵は居なくなってなんかいませんよ。
ちゃんと、おばさん達の心に居ます。
おばさん達も辛い顔しないで。
歌恵に笑ってもらうために頑張りましょう」
「そうですよ。おばさん!
俺や琴未だって本当は辛いんです。
でも辛い顔してたって何も始まらないんです。
まずは行動から起こしてみましょう」
和希や私がそう言うとおばさんとおじさんはまだ涙は残るけど、優しく笑った。
.+*続く*+.
2011/08/22 20:09 No.95
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.+*第23話*+.
「ありがとう。琴未ちゃん。和希君
そうよね。辛い顔してたって何も始まらないわよね!」
「理奈子……」
歌恵のお母さん達、元気出て良かった。
でも……
「おばさん。歌恵は……」
歌恵の姿が病室にない。
「あぁ……なんかIなんとかって言う検査受けてるんだって」
『Iなんとか』……頭の検査の事か。
「琴未ちゃん。歌恵の検査、もう少しで終わるから待っててくれるかしら。
一番に会って欲しいの」
「私でよければ」
歌恵の検査が終わって病室に運ばれてくると歌恵のお母さんは目で私に合図した。
私はゆっくりと歌恵の元へ歩み寄った。
「……歌恵……私だよ。わかる?」
歌恵は目を開けていてもずっと無表情で何も話さない。
でも、私は歌恵ともう一度友達になるんだ。
「なんてね。会うの初めてだもん!
わかるわけないよねー……
私は水澤琴未! あなたの友達第一号よ」
今の歌恵と会うのは初めて。
そんな気持ちで歌恵と向き合うんだ。
「………………み」
「え……?」
「こ・と…………み……」
歌恵が私の名前を言った。
『琴未』って。
ゆっくりでぼそぼそした声だけど、すごく心に染みた。
「そうだよ。琴未って呼んでね!
私もあなたの事、歌恵って呼ぶから」
ここから始めるんだ。
私を命懸けで守ってくれた人を、次は私が救うんだ。
絶対に、歌恵の笑顔を取り戻すよ。
.+*続く*+.
2011/08/22 20:43 No.96
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.+*第24話*+.
歌恵ともう一度友達になったその夜。
パソコンを立ち上げ、チャットルームに入室した。
十一時、蘭さんと約束した時間。
蘭さんはもう来ていて私は急いでコメントを打った。
――――――――――
>コトミ
ごめんなさい蘭さん!
遅かったですかね?
20XX/4/4 23:04
――――――――――
そう打つとすぐ返事が来た。
――――――――――
>蘭
ううん。
テンション上がっちゃて……(笑)
三十分くらい前からスタンバってたんだ。
20XX/4/4 23:04
――――――――――
.+*続く*+.
2011/08/22 21:43 No.97
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove★zVPt9gpLvo_EP8
.+*第25話*+.
――――――――――
>コトミ
そうなんですか…
20XX/4/4 23:05
――――――――――
なんか蘭さんに申し訳ないような気がしてしょうがないや。
私ったら和希の事や歌恵の事でいっぱいいっぱいになってたから
正直蘭さんとの約束思い出したの三十分くらい前で、思い出してからもまだ時間あるからって雑誌読んでたからなぁ……
依月ちゃんのページみつけちゃって目が放せなかったんだもの。
――――――――――
>蘭
コトミちゃんが悪いんじゃないよ〜><
あ、そういえばさぁ。
白鷺学園にあの「早乙女依月」が入学したって知ってる?
可愛いよねー。早乙女依月。
依月ちゃんにはステキな彼氏が居るんだろうな〜♪
見てみたい♪
20XX/04/04 23:06
――――――――――
ドクンッ≠チて。
心臓が大きな音を立てた。
依月ちゃんの彼氏……
きっと学校のみんなは「斉木和希」って認識するんだろうな……
美男美女カップルで幼なじみ。
私は可愛くないし依月ちゃんみたいなスタイルは持ってない。
和希とは不釣り合いなんだ……
――――――――――
>蘭
コトミちゃん?
どうかしたの?
大丈夫?
20XX/04/04 23:12
――――――――――
あ……
六分も経ってる。
私そんなに考えてたんだ……
――――――――――
>コトミ
あ、ごめんなさい!
「早乙女依月」ちゃん白鷺学園に入学したの知ってますよ〜♪
同じクラスだし、私の彼氏の幼なじみですから^^
20XX/04/04 23:13
――――――――――
>蘭
へー。彼氏の幼なじみかぁ。
取られないように気を付けなよ?
20XX/04/04 23:15
――――――――――
>コトミ
実際に起きそうな事言わないでください><
その事で悩んでるんですから…
20XX/04/04 23:18
――――――――――
それを打ち終わってアクビをして蘭さんからの返事を待ったけど、蘭さんからの返事は来なかった。
.+*続く*+.
2011/08/24 20:46 No.98
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove★zVPt9gpLvo_EP8
.+*第26話*+.
「ふぁー…………ん……えぇ、もう朝? 私ったら蘭さんの返事待ってて寝ちゃったんだ……」
私はデスクに突っ伏して寝ていた。
今何時だろうとパソコンの画面を見てみるとすごい画面が広がっていた。
――――――――――
>蘭
ごめん。悩んでたんだね。
ごめん。ごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめん
20XX/04/05 02:34
――――――――――
画面が蘭さんの緑色の文字色の「ごめん」で埋め尽くされていた。
蘭さんが最後にコメントしたのは……五時三十分。
今は六時三十分だけどまだ蘭さんは退室していない。
私はすぐに返事を打った。
――――――――――
>コトミ
あ、いいんです。
もう皆に言われて慣れちゃったから…
今日部活見学があるんでその時会いましょうね。
20XX/04/05 06:32
――――――――――
それを打ち終わると私はパソコンの電源を落として学校に行く準備を始めた。
.+*続く*+.
2011/08/27 20:21 No.99
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.+*第27話*+.
私は支度を終わらせると家を飛び出して和希の家に行った。
ピンポーン
インターホンを鳴らすとあんまり聞きたくなかった声が聞こえてきた。
「はーい」
「あっ……おはよう。依月ちゃん。和希居るかな?」
依月ちゃん……今日も泊まってたんだ……
「和希昨日から熱出しちゃって……今日学校行けないの。だから私と学校行きましょ」
えっ……
和希熱だしたの……?
しかも依月ちゃんと学校って……!
少し待っているとドアが開いて茶色のポニーテールの依月ちゃんが出てきた。
「待たせたわね。行きましょうか」
私と依月ちゃんは歩きだした。
沈黙が続いて――……先に喋り出したのは依月ちゃん。
「ねぇ、水澤さん……だっけ。あなた和希の彼女なんでしょ?」
や、やっぱり依月ちゃん……私の事よく思ってないんじゃ……
「そ……う、ですけど……」
「どうして和希の事好きになったの?」
う、やっぱり……
目が冷たい。絶対よく思ってないよ!
「最初から嫉妬だったんです」
「え……」
依月ちゃんがおどろいたような目で私を見る。
「和希が『彼女の誕生日プレゼントを買うのについてきてくれ』って言って……私……なんかすっごい心がチクチクしたんです。それが始まりだったんです。
自分の中にこんな感情があるなんて知らなくて最初は戸惑ったんです。でもこれが恋=c…なんだってわかったんです。
今でも和希モテちゃうし女の子いっぱい寄ってくるから嫉妬ばっかりなんですけどね」
そう。
和希が好きだって気付いたのは凜ちゃんに嫉妬したからだった。
そして和希に恋をしていく中で私は変わって行った。
恋って嬉しい事や幸せな事ばかりじゃない。
悲しい事や辛い事がある。
それが分かったんだから――……
「……ふーん。私誤解してたわ。ごめんなさい」
「え……」
誤解≠チて……
「一目惚れで和希の事好きになって体で誘惑した……とかだったらしばいてやろうって思ってたのよ。
でも水澤さんは違うのね。あなたが和希の彼女でよかった」
あなたが和希の彼女でよかった=c…そんな風に依月ちゃんが思ってくれるなんて……
なんて嬉しい事なんだろう。
そして部活見学の時。
「体育館Aではバスケットボール・バレーボール部が活動を行っています。
体験入部する生徒は用紙に名前を書いてください」
私は水澤琴未≠ニ書くと集まりの中に入って自己紹介した。
「私は早乙女依月です。中学生の時はキャプテンでした、ヨロシクお願いします」
「次」
「水澤琴未です。中学生の時はキャプテンでガードでした! ヨロシクお願いします!」
拍手が起こる。
それよりも……依月ちゃんもバスケ部なんて……
「早乙女さん、水澤さん、私はキャプテンの平松蘭です。二年生よ。よろしくね。
バスケ部は楽しい人ばかりなの。ぜひ入ってね」
平松蘭先輩……
そういえばチャットの蘭さんは二年生で白鷺学園バスケ部のキャプテン……
この人が……
体験入部が終わり、私と依月ちゃんは仮入部することになった。
体育館を出た平松先輩を私は追いかけた。
「平松先輩!」
「……水澤さん」
平松先輩は優しく笑った。
「平松先輩って……チャットやってますよね?」
「えぇ」
「蘭≠チて名前でコトミ≠チて人と話したことありますか!?」
「………なんで」
「え?」
「何で知ってるの?」
平松先輩の手は震えていた。
「あ……コトミ≠ヘ私なんです!」
「あなたが……?」
「はい……」
「そうなの……ね。ごめんなさい。私の無神経な言葉で……」
「いいんです! 改めてよろしくお願いしますね!」
私は礼をするとグラウンドへと走りだした。
倉庫では瑠衣先輩がボール磨きをしていた。
「あの……瑠衣先輩」
「琴未ちゃん。なぁに?」
瑠衣先輩はボールを磨きながら優しく笑った。
「私……栗山先輩と……キス……したんです」
「…………え?」
瑠衣先輩はボールを落とした。
「ごめんなさい。謝って許してもらえる事じゃないってわかってます。ごめんなさい」
「……そう……ごめんね。琴未ちゃん。帰って」
「あ、はい……」
瑠衣先輩の顔とても哀しそうだった。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
平松先輩のようにいっぱいいっぱい謝れないけど気持ちが伝わったらいいのに――……
今……コトン≠チて……恋の歯車のねじが落ちました。
誰か……このねじをはめ直してくれる人は居るのでしょうか?
.+*続く*+.
2011/08/29 21:05 No.100
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.+*第28話*+.
「み……とみ……琴未!」
「あっ……ごめん。何? 和希」
夕日の帰り道、和希と歩く下り坂。
この時間が中学の時から一番大好きだった。
のに……ずっと考えごとしてるなんて、頭でも打ったのかしら?
「……なぁ琴未、昨日俺が居なかった時……依月と行ったんだろ?」
「え?」
「学校」
そう言えば昨日……依月ちゃんと……行ったんだっけ。
「依月が言ってたぜ。水澤さんってとても素直でいい人ね≠チて」
嘘……!
和希にも言うなんて……
「水澤さんと友達になりたいわ≠チてさ。よかったな」
「うん……」
でもやっぱり……依月ちゃん絶対和希の事好きだもん。
仲良くする自信ないよ……
「……琴未」
「何?」
「好きだ」
「どうしたの? いきなり」
優しく笑って問いかけてみる。
「ちょっと元気なさそうだったから」
「や、やだ。元気だよ」
和希……こういう所好きだなぁ……
「ねぇ和希」
「何だよ」
「好き」
「なんだよ……恥ずかしいな」
和希の顔が赤くなる。
「嬉しいんでしょー」
「……嬉しいけど?」
「……っ……あはははは!
どうして開き直るのー? 和希ったら本当に楽し「笑顔になった」
和希が私の唇にそっと指を当てて言う。
「琴未は笑顔が一番きれいだ」
和希が私の髪を梳いて言う。
その顔はとろけるような笑顔で……
すごく胸にキュンとくる。
「和希は口説くのが一番うまい」
「ははっ」
嬉しいな。
和希とこうして楽しく幸せに歩いていられるなんて。
そういえば和希……
ずっと見てきたから気付かなかったけどすごく背が伸びた。
中二の時は私の方が少し高かったのに、今は十センチ以上和希の方が高い。
顔立ちも……すごく大人っぽくなって、黒色の髪の毛も伸びた。
手もすごく大きい。ごつくなった。
男の人≠ノなったんだ……
「和希、手」
「ん?」
「つないでもいい?」
「カップルつなぎな」
そうして私は憧れのカップルつなぎって言うのを家に着くまでずっとしてた。
家の近くまで来たら「もう少し、もう少しこの時間が続きますように」って願った。
そして、これがこの高一の季節で初めてでもあり、終わりでもある、私と和希が手をつないだ時間だった――……
.+*続く*+.
2011/08/31 21:59 No.101
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.+*第29話*+.
「水澤さーん! そっちボールいっ…………」
ドゴン! って、私の頭にバスケットボールが突撃した。
「ごめん。言うの遅かったね」
依月ちゃんが手を差し出す。
私はその手につかまって立ちあがった。
「ううん。私ボーッとしてたから」
ずっと考え事してた。
瑠衣先輩、朝会ったけど泣き腫らした目、してたから……
部活中なのにだめだなぁ……私。
「水澤さんって入部するんだよね」
「うん……仮入部が一ヶ月だから五月の初めぐらいかな」
私はバスケ部に仮入部してる。
一ヶ月後には入部って形。
「依月ちゃんはどうするの?」
「うーん。入部しようかな!
水澤さんと仲良くなりたいし」
依月ちゃんの口調柔らかくなった。
私も、仲良くしたいなぁ……
私は笑顔をつくった。
「琴未でいいよ! 仲良くしようね依月ちゃん」
私はそれだけ言うとスリーポイントシュートの練習を始めた。
左手でバスケットボールの左側を支えて……右手で打つ!
打ったボールは見事にゴールのネットにもかすらず落ちた。
「琴未ってゴールから離れたシュート苦手なのね」
「あはは……中学と変わらない六号球なのに……」
中学の時からスリーポイントシュートは嫌い。
ミニバスの時もミドルシュート出来なかったし……
「依月って身長何センチ?」
「百七十……ぐらいかな」
「ジュンプシュートはできる?」
「そりゃぁ……まぁガードだったし」
「じゃあセンターになればよくない?」
え……
センターって……背が高い人のポジションで……
私なんか並の高さで……
「白鷺の女バスはね、背が高い人はあんまり居ないの。
百七十こえてるのは琴未と私ぐらいみたいよ」
「へ、へぇ……」
でもセンターなんかやったことないよ!
どうするの私ぃぃぃぃぃぃぃぃ!
.+*続く*+.
2011/09/03 15:03 No.102
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove★zVPt9gpLvo_EP8
.+*第30話*+.
部活が終わって私は依月ちゃんと一緒に後片付けをしていた。
モップ掛け。話しながらだけどね。
「ねぇ琴未。私の友達紹介したいからさ、後片付け終わったらグラウンド行こうよ」
「うん!」
依月ちゃんの友達……
どんな子たちだろう!
後片付けが終わって依月ちゃんと一緒にグラウンドの方に行くとテニス部、サッカー部、陸上部……色んな部活が活動していた。
「わぁー……白鷺のグラウンドってやっぱり広いね!」
「そうよね。私の中学はすっごい狭かったわ」
依月ちゃんについて行くとテニス部のコートの裏に出た。
「しおりんー! ちぇりいー!」
依月ちゃんは大きな声でそう叫んだ。
しおりん=I? ちぇりい=I?
何それ人の名前!?
「「依月!」」
二人の女の子がこっちに向かって走ってくる。
「紹介するね、琴未この二人は……」
「テニス部のパッツンポニー今川しおりでーす!」
「テニス部のウェーブミディアム梅川ちえりでーす!」
「……なの」
へ!?
しおりん≠ウん? ちぇりい≠ウん?
……あ、そうか。
「しおりん≠ニちぇりい≠チてニックネームなんですね!」
「「「………………」」」
……あ゛。
おもわす大きな声で!
恥ずかしっ……!
「そうだよー。しおりん≠チて呼んでね」
「私はちぇりい≠ヒ」
二人はニッコリ笑った。」
……優しい。
「私は水澤琴未です。琴未って呼んでください」
「「よろしくねー」」
依月ちゃんの友達ってこんなに明るくて……優しい人なんだ。
「依月ちゃん。ありがとう!」
私は目尻に涙をためながら笑った。
「ちょ、何泣いてんのー? 琴未ったらどうしたの?」
依月ちゃんが心配そうにあたふたする。
「嬉しいの、依月ちゃんの友達になって良かった」
依月ちゃんはこんなに優しくて、暖かい人なんだ。
きっと、依月ちゃんが優しくて暖かい人だから、寄ってくる人も依月ちゃんに似てるんだねー……
.+*続く*+.
2011/09/03 16:12 No.103
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove★zVPt9gpLvo_EP8
.+*第31話*+.
しおりん……今川しおりちゃん……
やっぱり可愛かったなぁ……黒髪のポニーテールで前髪はパッツン。
目はアーモンド形で口は小さめ。
色白で瞳は茶色っぽくて……あぁぁ。
もう、可愛すぎ……
梅川ちえりちゃん……ちぇりいも可愛い。
茶色の髪の毛で前髪はパッツンじゃないけど分け目もなくいい感じ。
フワフワの髪の毛を二つに束ねてて……あぁぁ可愛い!
目はちょっとツリ目で猫っぽい。
クォーターかな?
目は青って言うか……青紫がかった黒だった。
綺麗な色だったなー……
鼻は高くて小さめ、口は普通。
何で私の知り合いって美形が多いんだろう……
愛蘭だって美人だし。
茶髪のロングヘアーで前髪は左に寄せてピンでとめてて……
おじいちゃんがアイルランドかなんかの人で、クォーターだったかな?
だから名前も愛蘭だとか、なんとかかんとか。
目は少し垂れ目で、鼻は高くてすこし大きめ。
口は上品な感じで厚みはあまりなかったなー。
.+*続く*+.
2011/09/03 16:53 No.104
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove★zVPt9gpLvo_EP8
.+*第32話*+.
脳内妄想が終わるとサッカー部の練習は終わっていた。
私は和希をさがして倉庫の方に行くと、信じられない場面を見てしまった。
倉庫の裏に――……
瑠衣先輩と栗山先輩……
「ねぇ……明。琴未ちゃんが言ってくれたんだけどキスしたって本当?」
「……ああ」
嘘……!
これって一昨日の話……
まさか栗山先輩、言わなかったのかな?
どうしよう。二人、別れちゃったりしたら……
私のせいだよ!
「琴未!
来てくれてたんだな!」
和希が荷物を持って歩いてくる。
「静かにして」
「?」
私がそう言うと和希は不思議そうな顔をした。
でもすぐに状況を呑み込んで真剣な表情になった。
「琴未は正直に謝ってくれた。でも……明が、彼氏が謝らないってどういう事!?」
「それは……」
「……やましい気持ちがあるから?」
「ちがっ……」
「違わない! だって明は……昔から女の子の相談に乗って、キスさせたくなるように仕向けて楽しんでるんだものね!」
えっ…………
栗山先輩が?
「……はっ……そうだよ。よく知ってたな。お前みたいな女じゃ物足りなかったんだよ」
栗……山……先輩……!?
どうして?
どうしてそんな事言うの?
私が見た二人は、幸せそうで、お互いを大切に想い合ってるように見えた。
なのに何で――……
「本気になってた私がバカみたい。本気で明の事好きになってたなんて……」
「ふん。そんなの知るか。……そーいや、琴未ってコ。やたらキスうまいんだよなー
お前捨てたらあのコおとすわ、俺。じゃーな俺の遊び道具」
「信じられない!」
「は? って琴未ちゃん……!?」
「何!? 女の子は遊び道具!? バッカじゃないの!? 瑠衣先輩はアンタの事本気で好きなんだよ!?
なのに……なんで……そんな気持ち踏みにじるような事言うの!?
瑠衣先輩がどれだけ辛い「もういいよ」
瑠衣……先輩……?
「もういいよ。琴未。こんな男に本気になった私がバカだったの、もういいよ」
瑠衣先輩……
笑ってるけど泣いてるようにしか見えない。
どうして栗山先輩は瑠衣先輩にこんな顔させるの!?
「ふ……ざっけんな!」
ズガッって大きな音がグラウンドに響く。
「和希!?」
和希が栗山先輩を殴りつけたのだった。
「俺の彼女にキスさせるように仕向けた上に……自分の女泣かすってどういう事だよ!」
「……ガキはすっこんでろよ。俺はもう瑠衣には飽きたんだっつーの!
これからは琴未ちゃんをおとすから覚悟しとけよ? ガキ」
栗山先輩は頭をかきながら帰って行った。
「なんだよあのヤロー……女たらしめ」
「和希……」
ショックだった。
瑠衣先輩と栗山先輩の姿に憧れていたのに。
あんなふうなカップルになれたら……って思ってたのに。
「琴未、和希くん、ありがとう。私はもう大丈夫だから。じゃぁね」
瑠衣先輩はニコッと笑うと早足で帰って行った。
.+*続く*+.
2011/09/03 20:56 No.105
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.+*第33話*+.
瑠衣先輩と栗山先輩が帰った後、私は倉庫の裏でうさぎのストラップを見つけた。
「和希……これって瑠衣先輩、鞄につけてた?」
「いや、つけてなかったと思うけど。
他のうさぎのストラップならいっぱいつけてるけど」
ピンクのうさぎのストラップ。
どうやら手作りみたいで、綿が出てる所や、玉結びしてる場所がある。
そういや栗山先輩……部活の時に、絆創膏貼り直してたっけ……
「あ!」
そうか……さっきのは栗山先輩の本音じゃなかったんだ。
「和希、栗山先輩追いかけるよ!」
「え?」
私は和希の手を引いて学校を飛び出した。
学校の前では近所のママさん達が話していた。
「田中さん、さっきの男の子、超イケメンじゃなかった?」
「あ、手に絆創膏いっぱい貼ってた人?」
「そうそう」
手に絆創膏貼ってたイケメンって栗山先輩だよね!?
「あのっ、その人どこ行きましたか!?」
私が大きな声でそう言うと、ママさん達は驚いた顔をしたけどすぐ教えてくれた。
「橋の方に行ったわよ。走れば間に合うと思うわ」
「ありがとうございます!」
私は和希の手を引いて橋の方へと走りだした。
「ちょ、琴未! あの女たらし追いかけてどうするんだよ!」
「いいからついて来て!」
橋の階段を登りきると、降りていく栗山先輩が見えた。
「栗山先輩!」
私がそう言うと栗山先輩はニヤッと笑って「琴未ちゃん」と言った。
「何しに来たの? 俺の彼女にしてもらいに来たなら大歓迎だよ?」
「この女たら「和希黙って」
私はさっき拾った不細工なうさぎのストラップを差し出した。
「これ、栗山先輩が瑠衣先輩のために作ったんですよね?」
「ちがうけど? 瑠衣が作ったんだろ」
「じゃあその絆創膏はなんですか?」
「…………バレバレだな。俺って超カッコ悪い……」
栗山先輩が恥ずかしそうに頭をかく。
「たしかに俺は女が大好きだけど、瑠衣が一番好きなんだよ。
そのうさぎのヤツは俺が作ったんだよ。
初めてそんなん作ったからすごい不細工だけどな」
それが栗山先輩の本当の気持ちなら、瑠衣先輩に言わなければならない。
二人はたがいに想いあってるんだから――――……
.+*続く*+.
2011/09/05 20:49 No.106
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.+*第34話*+.
「……でも」
「栗山先輩?」
栗山先輩の顔は暗く、まるで、捨てられた子供のようだった。
「もう遅いんだよ、俺はさ、瑠衣に嫌われる運命だったから」
「違います!」
「違わない。瑠衣は、俺が女をとっかえひっかえして遊んでたの知ってたから。ずっと、二年以上前から」
そんなに前から……
でも瑠衣先輩は……!
「どうして分からないんですか!」
「琴未ちゃん?」
「瑠衣先輩が、二年間もずっと何も言わなかった理由を、どうして分からないんですか!」
瑠衣先輩は栗山先輩が好きだから。
栗山先輩を信じていたから。
だから何も言わなかった。
どうして、そんな理由が分からないの?
「瑠衣先輩の気持ちを知らなかったんですか!?」
「……わからない
俺の気持ちも、瑠衣の気持ちも――――……」
…………男の人ってそういうものなの?
女の子の気持ちが分からないの?
どうして?
わかんないよ
自分の気持ちさえ、分からないなんて。
「……琴未、帰ろう」
和希にそう言われ、私はうさぎのストラップをポケットに入れて歩きだした。
……わからない。
男の人は女の子の気持ちが分からない。どうして?
「ねぇ和希」
「なに」
「男の人って女の子の気持ちが分からないの?」
私がそう言うと、和希は少し考えてこういった。
「琴未が思ってる以上に男ってアレなんだよ。
男だからわからない事もある。逆に男だからわかる事がある。
その、栗山っつー野郎は、守山先輩の気持ちは分からないけど、他の女の子の気持ちは分かるんだよ。きっと」
和希の説明は、よくわからなかった。
でも、好きな人だからこそ、分からない事もあるんだって分かったんだ。
.+*続く*+.
2011/09/09 20:24 No.107
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.+*第35話*+.
翌朝、私は朝早く学校に来た。
一人で。
何か和希が課題忘れたからやっとくって言ってたんだ。
だから今日は一人!
廊下を歩いてきて、教室に入ろうとしたら瑠衣先輩の声が聞こえた。
「琴未ちゃん」
「あ、瑠衣先輩!」
瑠衣先輩の目はとても腫れていた。
「ごめんね、昨日はあんな場面見せちゃって……恥ずかしい」
無理に笑おうとする瑠衣先輩の顔はとても、見ていられなかった。
「……瑠衣先輩、これ」
私は瑠衣先輩の手の上に昨日のうさぎのストラップを置いた。
「何……これ……」
瑠衣先輩が驚いたような顔をした。
「それ、栗山先輩が作ったんですよ。手に絆創膏だらけで……まるわかりですよね」
瑠衣先輩は廊下にかがみこんだ。
「瑠衣先輩?」
「もう……だめなの」
「だめって……」
瑠衣先輩の体は震えていて、廊下にポタポタと瑠衣先輩の涙が落ちる。
「私、明のほかに気になる人ができたの……!
目を閉じるとその人の事しか浮かんでこないの!
しかもその人には彼女が居て、たがいに想いあっていて……
私は最低なのよ。人の彼氏を好きになって、自分もそうなのに彼氏にヒドイこと言って……」
気になる人=\―――……
まさかって、思った。
「その…………気になる人って……」
やだ、やだよ。
聞きたくない。
もう、分かってる。
答えは、分かってるのに。
元々、瑠衣先輩がケンカしてから嫌な予感がしてた。
だけど、確かめたくて仕方がない。
だれか私を止めてよ。
「……和希君……」
その時、私の心に、怒りが込みあがってきた。
.+*続く*+.
2011/09/10 20:42 No.108
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove★zVPt9gpLvo_EP8
.+*第36話*+.
やっ…………ぱり……
どうして聞いたんだろう
聞かなきゃ瑠衣先輩と、普通に過ごせたかもしれないのに。
「ごめんね……ごめんね!
でも私……和希君が……ごめんね」
瑠衣先輩は泣き続けた。
私は廊下に立ち尽くした。
今、目の前で起こっている出来事に怒りを感じながら。
誰に、誰にこの感情をぶつければいいの?
「ごめんね……ごめ「謝らないでください!」
私の大きな声が校舎に響く。
気付けば私は走りだしていた。
行き先も、決めず、ただ、その場から一刻も早く逃げ出したかった。
.+*続く*+.
2011/09/12 19:22 No.109
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove★zVPt9gpLvo_EP8
.+*第36話*+.
瑠衣先輩が、和希の事を好き?
そんなの分かってたはずなのに。
なんで聞いたんだろう。
和希の優しさと整った顔は誰もの目を引く。
私と言う彼女が居てもアタックしてくる女子なんかたくさん居る。
瑠衣先輩もその一人なんだって、わかってた。
なのに、なのにどうして、聞いたの?
自分で自分を止められなかった。
どうして?
わからないよ……
「待って琴未!」
瑠衣先輩が私の手をつかむ。
瑠衣先輩は息が切れている。
どうしてそんなに必死に、追いかけてくるの?
「……話して、何になるって言うんですか……!」
「琴未っ……」
止まらない。
自分で自分が止められない。
「人の彼氏好きになるなんて……!
どうして私がこんな思いをしなきゃならないのよ!
私は和希の彼女なのよ!」
涙が溢れてくる。
本当に言いたかった事を言って自分で泣けてきた。
私は瑠衣先輩の手を振り払うと学校を飛び出した。
.+*続く*+.
2011/09/14 20:33 No.110
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove★zVPt9gpLvo_EP8
.+*第37話*+.
どこに行くんだろう、私。
瑠衣先輩にヒドイこと言って、学校飛び出してきて……
私って、本当幼稚ね。
あそこまで言わなくてよかったのに。
……家に帰ろう。
私は家に向かって歩きだした。
.+*続く*+.
2011/09/21 21:32 No.111
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove★zVPt9gpLvo_EP8
.+*第38話*+.
静かにドアを開けると、書斎に居るお母さんに気付かれないように二階へあがる。
見つかったらお母さん、心配するから……
部屋に入ると私はベッドに座る。
小学生のころから使ってる古いベッド。
枕カバーと掛け布団の柄は両方桜柄。
大き目の桜から小さな桜まで、ピンクの桜の柄。
ちょっと、ケバついてるな……
そう思いながらふと、時計を見ると午前八時十分。
お母さんは九時半に仕事に行く。
それまで……おとなしくしてよう……
そして私は制服を着たままベッドに寝転がり、静かに眠りについた。
――――――――――
「琴未、バスケしよう!」
「お姉ちゃんに勝ち目ないよー!」
「やってみなきゃ、わからないでしょっ!」
「お姉ちゃんドリブル速いー!」
「ドリブルより足の方が速いよー!」
「わかってるけど……」
「ほら、グズグズ言ってると措いてくよー」
「待ってよ! ちょっとー」
――――――――――
ハッと目を覚ます。
「ずいぶん懐かしい夢……」
お姉ちゃんの夢。
私より五つ年上で、バスケが好きだった。
私が十歳の時に、お母さんとケンカして家を出て行ったけど……
今頃何してるの?
成人式の時も帰ってこなかったし……
お姉ちゃんが居なくなった後、お父さん、病気が悪化して死んじゃったんだよ?
お父さん、最期になんて言ったと思うの?
「優しかった友未は……どこに居るんだろ……う、な……お父さん……会えないままなのかもな……」
その時のお父さんの声と表情は今でも思い出せる。
涙が、病気の影響で痩せ細った頬に伝っていた。
寂しそうに、悲しそうに笑ったお父さんは、お姉ちゃんを心配して死んじゃったんだ。
お母さんも、優しかったお母さんも……変わっちゃった。
私を支えるために必死で働いてる。
お姉ちゃん……帰ってきてよ。
悩みを言えるの、愛蘭も中々会えないからお姉ちゃんだけなんだよ。
お姉ちゃん……
.+*続く*+.
2011/09/25 20:01 No.112
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove★zVPt9gpLvo_EP8
.+*第39話*+.
今は十時半。
お母さんはもう仕事に行ってるはず。
そう思ってゆっくり下に降りると……。
物音がした。
お母さん? ううん、それはない。
お母さんは月曜日から金曜日まで、朝と昼はみっちり会社で働いて、夜はパソコンで仕事してて……
家に居る事はないのに。
なら……誰なの?
お父さんはもう居ないし、親戚は全員、違う県だから……来るにしても絶対に連絡はくれるはず。
物音のする方に行くと――――……
お姉ちゃんが居た。
.+*続く*+.
2011/09/28 19:50 No.113
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove★zVPt9gpLvo_EP8
.+*第40話*+.
「お姉ちゃん……!」
台所には確かに、お姉ちゃん、水澤友未の姿があった。
「琴未!? 学校は……」
お姉ちゃんは驚いたような顔をして、持っていた鞄を落とした。
「サボり。嫌になっちゃったから……」
「そう……」
お姉ちゃん、変わってない。
茶色の腰まである髪の毛を、ゆるく巻いてる。
つりあがっているパッチリ二重の目も、ちょっと大きめな鼻も、厚めの唇も、何一つ変わっていない。
優しかった、あのお姉ちゃん。
私がお姉ちゃんを見つめていると、お姉ちゃんが笑顔で質問してきた。
「……お母さんとお父さん、元気?」
ドクン≠チて大きく、心臓が音を立てた。
お父さんは、死んじゃったのを、お姉ちゃんはしらない。
どうしよう。言いにくいよ……
「琴未?」
私が考え込んでいると、お姉ちゃんが心配そうに顔を覗き込んできた。
「あ、お、お母さんは……元気だよ」
「は=H」
「あ、その……お父さん……去年、亡くなっちゃったん……だ……」
言葉が詰まった。お姉ちゃんは、そんなの知らない。
あっさり言っても傷つける、溜めて溜めて……やっと言っても、ショックは大きい。
どのような言い方をすればいいのか分からないよ……。
「……そう」
お姉ちゃんは悲しそうな顔をすると、「本当にこの家から出る準備しなきゃ」と言って、部屋のある二階へあがろうとした。
…………お姉ちゃん、どうして出て行くの……?
「ねえ! お姉ちゃんどこに住んでるの!? 今まで……十五歳の時に家を出てから、二十一歳になって帰ってくるまで! 今日は何しに来たの!?」
私が大きな声でそう言うと、お姉ちゃんは階段を登る足を止めた。
「ずっと一人暮らししてる友達の家で居候。
私も一人暮らししようと思ったから私の部屋の物、いらないものは捨てて、いるものは持って帰ろうと思って。処分をお母さんに任せるわけにはいかないし」
.+*続く*+.
2011/10/01 17:31 No.114
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove★zVPt9gpLvo_EP8
.+*第41話*+.
お母さんに会わずに、勝手に処分して、また出て行くの?
嫌だよ、ここに居てよ、お姉ちゃん。
お母さん、不安なんだよ。
お父さんが死んじゃってから。
「出て行かないで!」
「え?」
お姉ちゃんが驚いたような顔をする。
あれ、私、どうしちゃったんだろう。
言うつもりなかったのに。
「お母さんを支えてあげてよ! お母さん、一人で頑張ってるんだよ。お姉ちゃんがこの家に残って働いてよ!」
何、身勝手な事言ってるの。
「お姉ちゃんがこの家に残って働いてよ!」なんて、お姉ちゃんにだって事情があるのに……。
「……そっか、お姉ちゃんそうするね。この家に残る。お母さんだって、頑張ってたもんね」
お姉ちゃんは、納得したように優しく笑った。
その日の夜、お母さんが返って来た時、お姉ちゃんはお母さんと仲直りしたんだ。
お母さんは泣いてた。「戻ってきてくれてありがとう」って。
.+*続く*+.
2011/10/03 20:21 No.115
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove★zVPt9gpLvo_EP8
.+*第42話*+.
私は、四月の朝の肌寒さを感じながら、布団にくるまっていた。
もう、無断欠席して一週間。
お姉ちゃんはその事黙ってくれてる。
「お母さんが知ったら心配するもんね」って。
お姉ちゃんは、大評判のケーキショップ『happy*cat』で働き始めた、と言ってもアルバイトだけどね。
毎日売れ残ったケーキを持って帰って来てくれる。
お姉ちゃんは接客担当だからケーキ作らないけど、『happy*cat』のケーキはすごくおいしいんだ。
でも、外に出ないでケーキばっかり食べてたら太っちゃうよね。
バスケの練習もサボってるし……
はー……学校行きにくいんだけどな……
「琴未ちゃんー」
「はーい」
大きな声でお母さんが私を下から呼ぶ。
あ、そっか……もう七時だもんね。
大きく手をあげて、ゆっくり背伸びをした。
下の階におりると、お母さんが優しく笑って、オーブントースターでトーストを焼いていた。
私がおりて来た事に気付くと、「まだトーストできてないから、先に用意しちゃいなさい」と言って、お弁当を袋に入れたり、お箸をさがしたりして、とても嬉しそう。
お姉ちゃんが帰って来てから、お母さんは穏やかになった。
お父さんが死んじゃうまでのお母さん。
優しくて、娘思いのお母さん。
やっと、本当のお母さんが戻ってきたんだ……。
「琴未ちゃん? なんで固まってるの?」
お母さんが不思議そうに顔を見てくる。
どうやら、私、固まってたみたい。
「あ、え、ううん。ちょっと考え事!」
「そう……あ、トースト焼けちゃったわ。先に食べる?」
「うん」
お母さんがトーストをオーブントースターから取り出すと、私は椅子に座った。
苺ジャムトーストと、お茶が琴未の前に並べられると、お母さんが琴未の前の椅子に座った。
私が、トーストをかじろうとしたとき、お母さんが話しだした。
「ねえ、琴未ちゃん。ここ一週間、学校行ってないんでしょ」
……バレてたの?
私はトーストを皿の上に落とした。
「いつも居るのよ。家の前に、茶色の髪の毛の可愛い子。朝と、夕方の六時に来てるの。どうしたのって聞いたら、琴未ちゃんは元気ですか? って聞かれちゃってね」
――――瑠衣先輩だ。
私が突き放したのに。
どうして来てくれるの。
意味わからない。
「それに、このごろ琴未ちゃんの様子おかしかったから……なんか学校行きにくいのかなって」
「……わかるんだ」
「そりゃそうよ、何年琴未ちゃんのお母さんやってると思ってるの」
お母さん。
お母さん。
お母さん。
私、お母さんが大切な存在って事、わかってたつもりだった。
でも、それ以上に、お母さんは、大切な存在だってわかった。
「今日は行かなくていいから、明日から行きなさい」
お母さん≠ニ言うのは、史上最強の私の見方かもしれない。
私のお母さんはね。
.+*続く*+.
2011/10/08 19:36 No.116
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove☆sg4cc16ToAZj★zVPt9gpLvo_EP8
.+*第43話*+.
翌朝。少し早めに家を出ると、家の前に瑠衣先輩が立っていた。
「琴未っ……」
瑠衣先輩の瞳に涙があふれる。
どうして? 悪いのは私。人を好きになるのは自由なのに、瑠衣先輩を責めたんだよ? いつか、私も「人を好きになるのは自由」って凜ちゃんにたいして思った。
なのに、責めたんだよ? 最低でしょ。私。
「ごめんね琴未。本当は、和希君のこと気になってるって……言うつもりじゃなかった。琴未が不安になったら私のせいだもの。ごめんね。ごめん琴未……!
琴未は素直で優しい、いい子だから、ずっとそんなことが積み重なって来て、限界だったんだよね。ごめんね、気付けなくて。自分を責めないで。私が悪いの!」
私、いい子じゃないよ。身勝手で、嫉妬深い、最低な女。
素直? 違うよ。優しい? 違う。
違うよ……!
「……瑠衣先輩、謝らないでください。瑠衣先輩は悪くありませんから。私が悪いんです。ごめんなさい。それに私、瑠衣先輩が思ってるような完璧な人間じゃりません。
最低な人間です。人を好きになるのは自由です。それはわかっていたつもりでした。ごめんなさい」
私が頭を下げると、瑠衣先輩は笑った。
私も笑った。
「もう、本気で行くからね」
「いいですよ。和希はあげませんから」
.+*続く*+.
2011/10/22 18:27 No.117
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove☆sg4cc16ToAZj★zVPt9gpLvo_EP8
.+*第44話*+.
二人で学校に向かっていると、瑠衣先輩が沈んだ顔で私を見た。「どうしたんですか?」と聞くと、瑠衣先輩はため息をついた。
「実はね、本当に明と別れたの。やっぱり……明の遊びの事もあるし、私も和希君のことすきになっちゃったから……。
好きな人が居るのに、他の人と付き合うなんて、私にはそんなこと出来ないもの」
瑠衣先輩が切なそうに笑う。私はそんな瑠衣先輩の笑顔を見て、心が傷んだ。
瑠衣先輩は私が沈んだ顔をしてたのか、作り笑いをした。
「大丈夫。元々、無理があったんだから……私の一方的な片思いだったのよ。『ちゃんと別れよ?』って言ったらフツーに『うん』ってさ」
でもその作り笑いは、悲しい顔にしか見えなかった。
.+*続く*+.
2011/11/14 21:02 No.118
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove☆sg4cc16ToAZj★zVPt9gpLvo_EP8
.+*第45話*+.
学校に着き、瑠衣先輩と別れて教室に入ると、一斉に私に視線が集まった。
目を見開いている人、睨みつける人、ニヤニヤしてる人……顔はそれぞれだった。
「何なの? その顔……」
後ろから、可愛くて優しい声が聞こえる。この声は、わかる。印象的な声。
――――依月ちゃん。
どうやら、視線は依月ちゃんに集まっているようで、私ではなかった。
一分ばかり、沈黙がつづいた。沈黙を破ったのは、明日華。
「早乙女さんって、斉木君と付き合ってるんでしょ?」
.+*続く*+.
2011/11/25 21:37 No.119
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.+*第46話*+.
付き合ってる……? 和希と、依月ちゃんが?
私が呆然と立ち尽くしていると、依月ちゃんがキッ≠ニ言うように強く明日華を睨みつけた。
「何の根拠もなしにそんな事言わないで。私は和希の彼女じゃない。和希の彼女は琴未よ」
「そ、そんな怖い顔しなくてもいいじゃない。ちょっと聞いてみただけよ」
「ふん。もうそんなくだらないこと、聞かないでよね」
依月ちゃんはそう言い捨てると、私を見て優しく微笑んだ。
「和希が好きなのは、琴未だけだからね。心配しなくても大丈夫!」
「依月ちゃ……」
私の頭に手をのせて、依月ちゃんは「ラブラブカップルだもんね」と悲しそうに言った。
そんな依月ちゃんを見て、朝の瑠衣先輩の笑顔を思い出した。
――――大丈夫。元々、無理があったんだから……私の一方的な片思いだったのよ。『ちゃんと別れよ?』って言ったらフツーに『うん』ってさ――――
どうして、私の周りの人たちは悲しい顔をするんだろう。何が、そんな顔をさせてしまうんだろう。
私は少し痛む胸を押さえて、強く思った。
.+*続く*+.
2011/11/27 19:39 No.120
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.+*第47話*+.
和希と依月ちゃんが付き合ってると言う噂を気にしながら、一時間目の授業を終えた。
気になるけど、依月ちゃん。否定したもん。大丈夫だよね。和希は何も知らないだろうし……。
次の授業の準備をしていると、一人の女の子が話しかけて来た。
「水澤さん、先輩が呼んでるよ?」
「先輩が?」
教室の出口をみると、見覚えのあるバスケ部の先輩達三人が立っていた。
蘭先輩は居ないみたいで、三人の先輩たちは鋭い目つきで私を睨んでいる。
ちょっと急ぎ足で先輩達に駆け寄ると、先輩が「ちょっと来てくれない?」と言い、歩き出した。
.+*続く*+.
2011/12/04 19:37 No.121
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.+*第48話*+.
しばらくして先輩たちの足が止まった。影しかない裏庭。ここで、何の話をするんだろう……。
大体、予想は付いていた。きっと、バスケ部を無断で休んだことだろう。
「あーのーさー。本当、信じられないんだけど。無断で休むとか」
「すみません……あの……」
二年の、富永柚希先輩が私をじろっとした目で見る。
大きなつり目がちの瞳が私をとらえて離さない。
「やる気ないならやめてくれない? こっちのコンディションも下がるの。やる気無くなるでしょ」
長谷川舞先輩がフワフワの黒髪を指に巻きつけながら私を睨む。
加々美友紀先輩も不機嫌そうに眉を曲げてこちらを見ている。
なんだか……。すごい怒ってるよね。
元はと言えば、私が悪いんだけど。
「本当にすみません。どうしても、学校に行きたくない理由があったんです。連絡も入れずに休んでしまったことは本当、申し訳なかったと思っています!
でもやめるつもりはありません。これからこういうことはないようにしますので……!」
「ふっ……あははっ! もー、やっぱ怖がっちゃうって言ったじゃんかー舞」
富永先輩がお腹を抱えて笑う。私は何のことか分からず、口を開けたまま。
「え? 柚希が言ったんじゃない? あ、ごめんねー。びっくりしたよねっ! あたし達、怒ってないから」
「はい……?」
「友紀達ね、ドッキリが好きなんだよね! で、今回のターゲットは琴未ちゃんってこと!」
長谷川先輩と、加々美先輩がフォローをする。
怒ってなかった……。
私は胸をなでおろした。
「驚かせてごめんね。これからよろしく! ちゃんと部活は来てね!」
三人は私を置いて裏庭を出て行った。
.+*続く*+.
2011/12/12 21:00 No.122
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.+*第49話*+.
何もなかったように怒られもせず部活を終え、帰ろうとしていた時に依月ちゃんに呼び止められ、一緒に帰ることになった。
今日は和希の部活が長引いて帰る人が居なかったから……私はOKしたんだ。あんなことになるなんて思ってなくて。
***
人通りの多い宮林通りの交差点を二人で歩いていて、バスケの話をしていた時、依月ちゃんが真面目な顔をして私を見た。
つられて口を閉じて、しばらく見つめ合いながら歩いていると、依月ちゃんが問いかけて来た。
「ねえ……どうしてあんな噂ながれたんだと思う?」
「え? そりゃ、和希ファンの子じゃない? 私みたいな可愛くない女の子じゃ釣り合わないって思ってたんだよ。きっと」
あっさりと答えると、依月ちゃんは「琴未は可愛いよ」と優しく笑い、自分の指を合わせて伸びをした。
「犯人見つけたら、私が責め立ててあげるから!」
「ええっ! だめだよ、モデルなのに……」
「大丈夫。私、事務所に所属してるわけじゃないし」
「そうなの?」
「読者モデルだもの。正式には所属してないの」
たわいない会話をしながら歩いていると、スーツ姿の男の人が私と依月ちゃんの間に入り、すれ違いざまに依月ちゃんの肩に自分の肩をあてて、依月ちゃんを車道に飛びださせるようにして走り去って行った。
「依月ちゃん!」
よろけながら、車道に倒れ込む依月ちゃん。丁度、大型トラックが依月ちゃんに向かって走っている。
やだ、また%ッじようなことになるの?
助けたいよ。
足がすくんで動かない。トラックはもう、倒れている依月ちゃんのすぐそばなのに。
どうして……自分のことしか考えられないの。
依月ちゃんは友達なのに。
.+*続く*+.
2011/12/24 19:09 No.123
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.+*第50話*+.
依月ちゃんは――――
奇跡的に、頭を強打して足の骨を折っただけで済んだ。
大型トラックの真ん前に倒れたら、そんなケガでは済まないと思ってたから……。
***
病院の一室。早乙女依月≠チて、病室の前に名前を張り出すわけにもいかないから何にも張ってない。
ベッドには、頭を包帯で巻かれた依月ちゃんが寝てる。今は……五時半……か。
そろそろ、和希がくるはず。さっき電話したから……。
そう思っていると、勢いよく病室のドアが開いた。
「依月!」
私なんか居てないように、依月ちゃんに夢中で駆け寄るのは……和希。
「依月! 依月! どうしたんだよ……なんで、こんなことになってんだよ! 依月……」
泣いてはない。でも、本当に心配そうな表情。
胸が苦しいよ。
助けられもしなかった、私が思っちゃダメだってわかってるけど……。
痛いよ。彼女なのに、彼女以外の子を彼女以上に心配するなんて。
学校指定のスクールバッグを持ち、病室を静かに出ようとした時、和希と目があった。
「なあ! 琴未、一緒に居たんだろ!? 何で助けてやらなかったんだよ!」
――――……一番。聞きたくなかった言葉。
私だって、助けたかったよ。
友達だもん。助けたかったよ。
命をかけて歌恵が、守ってくれたように……私だって、守りたかった。
あの時、依月ちゃんの手を思いっきり引いていたら、助かったのかな?
打撲ぐらいで……済んだのかな。
私、バスケやってるのに状況判断もできない。
何が、アゲハ姫よ。何が、元キャプテンよ。
ただのおかざり。
「なあ……どうとか言えよ!」
「うるさい!」
そう言うと、和希が目を丸くして黙った。
私は和希の顔を平手うちして病室から逃げ出した。
心配して、聞いてもくれない。
助けなかった私が悪い。
けど、けど。
聞いてくれたっていいじゃん。
私にだって気持ちがあるんだよ。
.+*続く*+.
2011/12/28 20:45 No.124
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.+*第51話*+.
「聞いた? A組の斉木君、コトミ≠チて子と別れたんだって」
「えー? マジでぇ。あの可愛い子でしょー?」
「噂ではさ、そのコトミ≠チて子が早乙女依月を突き落としたからだって」
「じゃあ、斉木君、イッキー取ったんだぁ。モデルだもんねぇ」
「いくら可愛い彼女でもねー」
「キャハハハ」
――――こんな、噂が一年の間に流れている。
水澤琴未が斉木和希と別れて、斉木和希は早乙女依月を取った……って。
たしかに、あれから℃рヘ和希と別れた。
和希からフッたんだ。
「ちょっと、琴未とは距離を置きたい」って言ってた。
私……ついに和希に嫌われたんだね。
モデルの依月ちゃんに勝てっこないよ。
仲直りしたいよ。カレカノに戻れなくても、友達でいいから……。
.+*続く*+.
2011/12/28 21:12 No.125
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.+*第52話*+.
依月ちゃんの事故があってから、二日目の朝。
気分は最悪で、動く気力もない。
でも、お母さんや、せっかく戻って来てくれたお姉ちゃんを心配させたくない。
それに……依月ちゃんを助けられなかった自分が、逃げてちゃいけないんだ。
下唇をぎゅっと噛みしめて、学校へ行く用意を始めた。
***
学校に着くと、生徒の視線が私に向けられているような気がして、おちつかなかった。
同情の目。哀れみの目。好奇の目。
様々な目の色をした視線がクロスして私に降り注ぐ。
息がつまりそうで、逃げ出したい気持ちに駆られた。
その時に、依月ちゃんの顔が浮かんだから、頑張れたんだと私は思うの。
.+*続く*+.
2012/01/23 20:24 No.126
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.+*第53話*+.
私は、誰とも関わらないつもりでいた。
依月ちゃんは有名人だし、和希の噂が広まってほしくなかったから。
……別れても、嫌われても、私は和希を守りたい。
もちろん依月ちゃんもだけど、和希以上に大事なものなんて今の私には存在しないから。
和希をすべての悪いものから守れれば、なんでもいい。
それぐらいの気持ち。
だけど、ある人物にその決断は破られた。
――水澤さーん――
……清水由亜。美少女に変身した彼女とは別のクラスだったけど、噂が広まってしまったから気になって来たらしい。
来なくていいのに。そう思ったけど、顔には出さず、「なに?」とだけ言った。
でも、それは新たな悲劇の幕開けだった――――
.+*続く*+.
2012/02/13 22:42 No.127
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.+*第53話*+.
美少女の彼女は、黄金に輝く光をまき散らす様に堂々と私の前を歩いている。
変わった。私も変わった。
彼女は綺麗になって、私は悲しんでやつれている。
ふふって、笑うような子じゃなかったのに。
私も、彼女もそんな感じになってる気がする。
それぞれ違う意味で。
***
彼女について歩いていると、屋上についた。
いつか自分が、この屋上で和希に思い切り謝罪したことを思い出す。
空がグレーで、今の私みたいと言った。
――――本当にごめんね。
泣いてた覚えはない。泣きたくなんかなかった。
”嫉妬”っていう言葉の意味を改めて理解した気がしたのは、その時で三回目ぐらいだった気がする。
吐きそうなぐらい苦しくて、目の周りの景色がゆらゆら揺れて、頭の奥底を思い切り殴られたような。
必死に恋をしてた私にはそれぐらいの威力を持っていた。
それも、これも、遠い遠い、私と和希が付き合ってた時の話。
今の空は、何一つなくてただただ青い。
今の私とは違う。
綺麗で、純粋で、曇りなどどこにもなくて――――。
それ以外のすべては、あの日と同じままなのに。
あの日から時が進んだのは、この空だけ。
重苦しいループから抜け出せたこの空。
私は……抜け出せたと思ったら、また迷いこんでしまった。
バカだ。
私はバカだ。
大切なものを、肝心な時に大事にできない。
自分の身を捨ててでも、守ることができない。
自分の事しか考えられない。
ああ、なんか、本当に依月ちゃんに申し訳ない。
依月ちゃんのマネージャーや、ファンの人たちにも。
私は、何をしたらいいんですか?
依月ちゃんや、依月ちゃんに関わる人たちに。
何をして、償えばいいのですか?
死ぬ?
無理。
だって、あの時依月ちゃんを救えなかったのは、自分の身を危険にさらしたくなかったから。
つまり、自分では死ねない。
それに……そんなことで償いたくなんかない。
依月ちゃんが喜んでくれるような、感謝してくれるようなことをしたい。
――依月ちゃん。何をしたら、喜んでくれますか?
――――何をしたら、私を許してくれますか?
.+*続く*+.
2012/02/20 22:55 No.128
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.+*第53話*+.
「話……しても、いいかな?」
ぼうっとしていた私に、“待ってたんだけど”と言うような不機嫌な顔で笑いかける。
いつのまに、こんな顔するようになったのかな。
まだ、五月で、入学してから二カ月しかたってないのに。
ああそうか。
男子がチヤホヤするから……。
本当に美人な人って、性格良くてもやっぱりグレーみたいな濁った性格になるんだあ。
って、何考えてんだろ。
「どうぞ。話せることは私には存在しませんが」
「そう……かな?」
「得意げな顔して。私が依月ちゃんのこと話すわけないでしょ」
「あら、わかっちゃった? うふふ」
――――本当に、本当に性格変わってる。
口角をあげて、口に手を当てて笑う子じゃなかったのに。
「コトミちゃん……変わった。って、思ってるでしょ。あたしのコト」
「ええ。とても」
「そういうコトミちゃんも変わったね」
「自覚してる」
「ほら、ぶっきらぼうになった。前はいっぱいいっぱい考えて話してたのにね」
ニヤリと清水さんが笑う。
人って、顔だけじゃ無くて性格も変わるんだ。
って、さっきから知ってるし。
……清水さんは、全部変わっちゃったんだ。
顔も、性格も、小さな仕草さえも。
今の、今の私も変わったの?
依月ちゃんの事故があってから――――
「!」
「あ。勝手に気付いちゃったみたい」
清水さんが腰に両手を当てながら驚いたような顔をしている。
気付いたって……あたりまえのことだったけど。
私が、依月ちゃんの事故に責任を感じてるから気付かない間に変わっていた。
それだけじゃない。
清水さんもチヤホヤされるうちに変わっちゃっただけ。
それだけ。
「……思ってる通りだと思うわ。だから勝手にあたしは話を進める」
「…………」
「暗闇GAME……二人でやらない?」
「え?」
何、その……「今日遊ばない?」みたいな軽いノリ。
いや、違う。
本当に遊ぶんだ。
私の苦しんでる姿を見て……!
「うふふ。意味は分かってると思うけど、今回は少し違うのよ。……“また”犠牲者が出るとこのゲームのことも明るみになりそうだからね」
「……歌恵のこと言ってるの?」
「ええ。あと、コトミちゃんと必死になり過ぎちゃったシミズユアって人と開催者のSINAN」
歌恵、清水さん、凜ちゃん……。
清水さんをぬいたら、全部清水さんに傷つけられたんじゃない!
「ふふっ。あたしのことが“憎い”って顔、してるよ?」
「そうでしょうね。すべて……すべてあんたのせいなんだから!」
「……自覚してる」
「何の真似?」
「あなたの真似」
「ふざけないで」
.+*続く*+.
2012/02/22 20:42 No.129
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove☆sg4cc16ToAZj★zVPt9gpLvo_EP8
.+*第56話*+.
だめだ。
自分で自分を止めないと清水さんのペースに乗せられる。
「あたしねー。見ちゃったの」
「へえ……いったい何なのでしょうね」
「興味、ないんだ」
「…………」
なんなのかな、こんなざわざわするような感覚。
寒気とは違って、でも期待や喜びとは遠くかけ離れていて……。
――――まあ、とにかく。
“嫌な予感”でしかない。
私は流れる一筋の汗を右手の甲で拭きとって、清水さんの瞳を見つめた。
景色を映す、その闇色の瞳を。
ただ、何も言わずに。
.+*続く*+.
2012/02/25 20:01 No.130
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove☆sg4cc16ToAZj★tw2CC6RRBd_EP8
祝! 1周年&通算130話記念! 特別章*+.
作者の未来です。
メビの友達からお題をもらって特別短編を書こうと思います!
そんなに人気ある小説じゃありませんけどw
あ、普通の読者の方でもサブ記事でお題出して頂いてかまいません。
では1つ目のお題!
「幼いころの琴未と和希」です。
ちなみに2コ頂きましたので2回書きます。
今回は作者が個人的に好きな、すごい名前の「愛蘭」ちゃん視点です。
時期としては小6かな。
あんまり幼くしなかったから、次はかなり年齢下げる予定です。
では、はじまりはじまり。
***
「二人って、仲イイよね」
教室のすみっこで、陰口を言うタイプの女子が噂話をしてる。
その“二人”の中に私が入ってないの、わかってるつもりだよ?
だけどどうせ、言うんでしょ?
「それに比べて結川さんってさー、暗いしガリ勉だし、マジないよねー」
「人気者にひっついて、目立とうとする系?」
「あー。そういう人ヤダヤダ」
キャハハハって、声がはっきりと耳に聞こえる。
はいはい、わかってますよ。
ネクラだし、勉強ばっかだしマジないですー。
……だけどさ、明るくて友達の多いその二人は、こんな私に手を差し伸べてくれる。
“幼なじみ”だからじゃなくて、“大切な友達”って思ってくれている。
私もそうだよ、二人は“大切な友達”。
だから、二人の関係を邪魔したりなんかしないつもり。
本を読もうとしていると大きな足音が聞こえて来て、二人がぴょこっと顔を出した。
「あっ! 愛蘭居たー!」
「やっと見つけたし。外でバスケしよーぜ! まったく、琴未が“バスケバスケ”って黙らなくてよー」
「何よ、今日は『バスケしよう』って自分から言ったじゃん!」
ギャーギャーと仲良くケンカする二人。
早く両想いになってよ?
和希と琴未。
終わり*+.
2012/03/26 21:25 No.131
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove☆sg4cc16ToAZj★tw2CC6RRBd_EP8
祝! 1周年&通算130話記念! 特別章*+.
お次はラブラブなお二人さんとなっております。
糖度高めなので気をつけてください。
おそらく第一章の終盤辺りで受験勉強中。
和希のびっくりするほどの成績をよく見てくださいw
誰視点かはすぐわかりますよー
***
夕日がさしこむ宮林中の図書室で、中三の俺と俺の彼女が一緒に勉強をしていた。
「え……乗法と除法わかんないの?」
中一の教科書を手にした俺の彼女が呆れたように俺を見た。
俺の成績は数学が一番ひどくて、理科は楽しさだけでなんとか乗り切れる。
英語は『cat』が限界で『That is〜』とか論外。国語は漢字とか暗記ならできるけど、文章題は無理だ。
『唇を噛みしめたこの女性の気持ちを考えて書きなさい』という問題に『唇が痛いと言う気持ち。』と書いて先生にこっぴどく叱られた覚えがある。
だが、なぜか社会は得意でいつも九十点台をキープしていた。
一応、名門の公立中学校として有名な宮林中で下の上ぐらいの成績だ。
しかし俺の彼女は五教科の期末テストで合計489点を修めるほどの優秀生徒。
おまけに見た目も性格もよくて、小さいころから好きだった。
ノロケなら十時間ぐらいできる自信がある。
そんなことを考えていると、彼女が呆れながら中一の教科書をめくり、「ここはわかる?」などと聞いて来た。
数学の教科書なんか、俺からしたらただの暗号書にしか見えない。
机に突っ伏しながら俺は答えた。
「んー……『しそく』ってのもわからない」
「一年の時の『正負の数』の小テスト何点だった? +3-8≠ニかあったでしょ?」
「たぶんー……二点」
「はい!?」
たぶん、唯一解けたのは『0・+8』で、問題文は確か『不等号か等号を書きなさい』ってやつ。
もうほとんどあてずっぽの中で、『+8』が自然数で普通に『8』と考えられることを理解して『<』を、小なりを書いた。
それが唯一の点数、二点だ。
「まったく、こんなんじゃ白鷺高校受かんないよ? 中二や中三の勉強は中一や小学校の勉強から深く掘り下げて勉強していくんだから」
お前がどれだけ白鷺高校に行きたいか分かってるつもりだけど、母さんみたいに色々言われるのはヤだ。
俺はまだベラベラと話し続ける彼女の唇を自分の唇でふさいだ。
「きゃああああああ! いきなりなに!?」
顔を真っ赤にして飛び退く彼女に俺は迫る。
思った以上のリアクションで、多分調子に乗ってたんだと思う。
彼女が骨抜きになるまでベタベタしてやった。
抱きしめてキスして勉強なんかそっちのけ。
勉強なんかより照れながらも嬉しそうだった彼女の顔は世界の宝だ。
「和希のばか」
「琴未がかしこすぎんだよ」
終わり*+.
2012/04/02 19:49 No.132
(oゝω・o)ノシ未来@uriilove☆sg4cc16ToAZj★tw2CC6RRBd_EP8
祝! 1周年&通算130話記念! 特別章*+.
歌恵ちゃん視点の物語です。
『歌恵視点』としかお題はもらわなかったんで、好き勝手しようと思います。
だから病院内での会話と丸々同じです。すみません
記憶を失ったあとの歌恵なので結構話の中では最近ですね。
ではどうぞ〜
***
ここは、どこなの。
私は誰なの。
何も分からないまま、ベッドに座る私に一人の女の子が駆け寄る。
「……歌恵……私だよ。わかる?」
“カエ”と、その女の子は口にした。
きっと、それが私の名前。
女の子のことはわからないけど、泣きたくなるような、抱きつきたくなるような懐かしさがある女の子。
私が固まっていると、女の子は笑って続けた。
「なんてね。会うの初めてだもん!
わかるわけないよねー……
私は水澤琴未! あなたの友達第一号よ」
寂しそうに笑う女の子は、全然わからない記憶の中に居る気がした。
『コトミ』。
「………………み」
「え……?」
「こ、と…………み……」
うまく声が出ないけど、その子の名前を口にした。
すると、女の子は嬉しそうに笑って、
「そうだよ。琴未って呼んでね!
私もあなたの事、歌恵って呼ぶから」
と、私の目を見て言ってくれた。
たぶん、私は……記憶を失った人間で、目の前に居る女の子は、記憶を失う前の友達だと思う。
だって、初めて会ったと思えない。
ずっと前から、私を待っていてくれたような女の子――――……。
いつか記憶が戻ったら、この子と笑える日が来るのかな。
終わり*+.
2012/05/14 21:30 No.133