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ゆっくりん@ps3h1☆SF38fVgB7i6★LhWaNYKDgV_Mwy ※ 注 意 ※警告に同意して書きこまれました
2012/01/22 15:30 No.0
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2012/01/22 15:30 No.0
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ゆっくりん@ps3h1☆SF38fVgB7i6★LhWaNYKDgV_Mwy
大学生である浜島達郎は東京の木造アパートに下宿していた。
根っからの文系である浜島は文学部に入っている。
大学は面白く、仲間と飲み、帰る時間が深夜をまわることもおかしくなかった。
しかし、それでも単位はしっかりとっていたので、現在は3回生だ。
そんな彼の元にあの招待状がきた。
それは7月15日のことだった。
「ただいま〜」
自分以外誰も住んでもいないのに浜島は必ずこういってしまう。
小学生のときに親にしつけられたからだろう。
「はは、返事しても誰もいねーんだけどな」
そうひとり言をいい、玄関で靴を脱いだときだった。
クシャ
何かを踏んだ。
乾いた紙の音がした。
「はぁ、またチラシか」
おびただしい数の広告。ここら辺は都会に近いこともあってか、広告は1日だけでも大量だ。
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なになに……
近辺にたくさんあるスーパー玉川の安売り広告
最近建てられたマンションの広告
太田バイクの広告
アルバイトの募集
いつも通りだった。
浜島は新聞をとっていなかったので、ほとんど見ずに丸めてゴミ箱のある部屋へ歩んだ。
その時だ。
「ん?」
大量の広告にまぎれて、妙なものがある。
それは黒い封筒だった。
「なんだこりゃ」
浜島は髪をかきむしり、それを手にとった。
お袋からの手紙か? だが几帳面のお袋に限って黒い封筒なんて……
第一電話で事足りる。
浜島は深く考えずにその封筒をあけた。
中には便箋が1枚、鍵、薄いペラペラの紙が入っていた。
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浜島は便箋を手にとってそれを読み始めた。
はじめまして、浜島達郎様。
あなたは私を存じないでしょうが私は知っております。
2年前の10月に私は伊豆諸島にあります、大神島を購入いたしました。
そこで私は、知り合いを招いてのパーティを開催しようかと考えております。
およそ1ヶ月後の8月16日から3日間、あなたの時間をご頂戴いただけないでしょうか。
もし、ご頂戴いただけるなら、費用はこちらで全額負担、それ相応の御礼もしましょう。
ただ、欠席されるならば、500万円を当日にご返却下さい。
回収は私が参ります。
いかがでしょうか。おいで下さる事を期待しています。
場所などは、後日改めて封筒にて郵送いたします。
大神島当主
「はっはぁ?」
浜島は声を無意識のうちに出した。
わけがわからない。第一500万ってなんだ?
そう浜島が考えた途端、同封されていた薄い紙が落ちた。
それは小切手だった。それには\5,000,000とはっきり書かれていた。
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気がつけば音が聞こえてきた。
船を軽くたたく波の音だ。
港を出てから俺は海を見ていた。
どうやら、いつのまにか俺は眠っていたらしい。ハンモックに揺られている感じだからな。
夢も丁度一ヶ月前の出来事だった。あの500万が送られてきた。
俺は目を擦ると、まだ船の上にいることに気がついた。
港を出てからどれくらいたったのだろうか。
今、俺以外に船には4人の人間が乗っている。
「まったく、今日はあの島で何かあるのかのう。これであの島の客は何人目か」
むっつりした表情で船を操縦している年寄りの船長が言う。
その老人の身体はずいぶん細いが、日に焼けて真っ黒な肌をしている。
熟年の漁師なのだろう。すぐにわかった。
「島にはあとどれくらいかかりますか」
「もう見えてきとるよ」
船長は皺まみれの手で前方をゆっくりさした。
本当だ。島だ。
その島の崖は妙にごつごつしていて、すっきりしない。
その雰囲気がリゾート地っぽくなかった。
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「気味悪い島ね〜」
俺が思ったことを栗色のポニーテールの女性がそう言う。
名前は若槻。
白色のすごく短いシャツを着ていて、肩が剥き出しだ。
背が低くてかわいいという印象が大きい。
身長はおそらく150cmあるかどうか。
歳は10代だろうか。
「そうか? 俺なんかに仕事持ってきてくれたあの島の主のほうが気味悪いね」
若槻の横にいた男がそう言う。
縞のスーツに縞のネクタイ。
髪はオールバックの30代くらいの男性だ。
名前は幣原だったけか。
「あなたも500万もらったの?」
若槻が幣原に聞いた。
「ああ、わざわざ500万返してまで行けないような用事なんかなかったのでね。」
「でも俺はただ、バカンスに来ないかって誘われただけだぜ。仕事ってなんだよ」
「俺の手紙には、仕事の打ち合わせできてくれって書いてあったんだ。君たちもそうだろ」
幣原がその場にいる船長を除いた3人に聞く。
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「わたしはバカンス。そこの茶髪くんと一緒」
茶髪くんとはたぶん俺のことだろう。
「私は、仕事だ」
50代くらいの気難しそうな男が答えた。
今まで口を開いてなかった男だ。
「あなたも打ち合わせに?」
「そうだ、私は不動産屋だ。都内のある土地の売買についてな。しかし、あの金はいったい何のつもりなのか。あれがなければ私が仕事を請けないとでも思っているのかまったく」
そういい、男はため息をついた。
案外よくしゃべる男だ。
「しかし、あんたら仕事じゃて? あんな島にわざわざ出向いて、仕事とは同情するよ」
突然会話の中に加わり、船長がため息混じりに言う。
「おい、あんな島とはどういう意味だ?」
男が声を上げた。
「え? やっぱりあんたらもなんも知らんのか」
船長がそういい、辺りを見回した。
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「そうか、そうじゃろうなぁ」
船長が顎に手を当てブツブツつぶやいている。
「ひょっとして何か変な噂でもあるんですか? その島に」
俺は船長に聞いた。
「うむむ、まあ、大した事じゃないんじゃが……」
「勿体ぶらさずに話してよ。気になるじゃん」
船長はしぶしぶといった表情で答えた。
「あの島はな、獣の潜む島なんじゃ」
「え?」
「数年前までは国が所有しておった。その頃までは『狼島』と呼ばれとった」
「狼ってあの絶滅した?」
船長が無言でうなづいた。
「ここら辺のものの間ではよく言われておったよ。あの島には狼がいる、だから決して近づくなってな」
「狼なんかいるものか、ばかばかしい」
不動産屋の男が荒れた口調で言った。
「しかし、おったというのは確かなんじゃよ。あの近辺を通りかかった漁師は遠吠えのようなものを聞いたと必ず答えよる。事実、ワシも1度だけ聞いたことがある。あの雄叫び、間違いなく狼じゃ」
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「聞いたこともないのになぜ狼とわかる」
不動産屋の男が船長に聞いた。
なんか苛立っているみたいだ。
「初めて聞いたが犬にしてはおかしかった。あれは狼以外の何でもない」
俺はいつか映画でみた狼男を思い出した。
『アオォォォォォン』と叫ぶ毛むくじゃらの男。あんなかんじなのだろうか。
「しかも、一匹なんてもんじゃなかった。あの島には狼が住み着いとるんじゃよ。くわばらくわばら」
「しかし、ニホンオオカミは絶滅したはずだろ。今の日本にいるわけがない」
「あの島は特別なんじゃ。あの島は日本の領土にははいっとるが、中までは政府も関与しとらん。地元のワシらだけしっとる」
「まさか、今いるってんじゃないでしょうね」
幣原が声を上げた。
「あの島を購入したのはどっかの大富豪と聞いとる。ただ、不思議なことにそのあとと言うもののあの遠吠えがピタッと止まったんじゃよ」
「とっ止まった?」
「うむ、どういうわけかな。不思議な話じゃろ? あの島が大富豪の持ちモンになって以来、ワシら漁師の中でも遠吠えを聞いたというモンはおらんのじゃよ」
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「駆除でもしたんじゃないの」
若槻が呑気に言う。
「それだけだろ? じゃあ今は平和でのどかな島というわけだ。まったく」
不動産屋の男が面倒くさそうに言う。
たぶん今の船長の話しなど信じてないだろう。
顔がそう言う表情をしている。
「きっと狼に似た生き物がいて、今の島の主が駆除でもしたんでしょう。表沙汰にもなっていないあたり、大した動物でもないんだろうな。アライグマか何かかもね」
アライグマって鳴くのか?
「じゃがなあ」
「まだ何かあるのか」
不動産屋の男が声を強張らした。
「遠吠えだけじゃないんじゃよ」
「というと?」
「トンボじゃよ。それも恐ろしくでかい……な」
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「トンボ? あの昆虫のですか?」
俺がそう聞くと船長はすぐに頷いた。
「うむ、ワシらの間ではその巨大なトンボに出会ったモンは幸福になるといわれておる。トンボは勝ち虫とも言うしな。ただ、それがあまりにも巨大でワシらの中にも気味悪がるモンは仰山おった」
「実際にそのトンボ見たんですか?」
「ああ、そりゃもう本当にでかかった。人一人ぐらいの大きさはあったかのう」
「何かの見間違いじゃないんですか? 例えば、飛行機とか」
幣原がそう言うと、今度は船長が声を強張らせた。
「いいや、そんなことは有り得ん。あれは間違いなくトンボじゃ。ワシと一緒に乗っとった、漁夫も若い水夫も、み〜んなみたんじゃ」
「ははは、そりゃ楽しみだ。そのトンボ捕まえりゃひと商売なるかもな」
幣原が冗談交じりに言うと、船長が顔色を変えて叫んだ。
「それだけは止めろ!! あのトンボは見ると幸福になるが、捕まえたり、触れたりすれば恐ろしいことが起こるぞ!!」
その言葉に俺と若槻は驚いてビクッとした。
「なっなにいってんスか、大声で仰々しい」
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船長は顔色を変えて、その場の全員に奇妙な話を始めた。
何かにとりつかれたみたいだ。
「その昔、あのトンボを採ろうとあの島に行った元治郎という輩がおってな。だがその男はそれを捕まえてくることはできんかった。だがその代わり、網にトンボの巨大な翅を採ってくることに成功した。それは人の腕ほどもある巨大な翅じゃった。元冶郎はその翅を自分の母屋の居間に飾りおった。しかそれからじゃよ」
全員が意味を飲んだ。
「元冶郎の長女が2階の寝室から誤って落ちて死におった。落ちた長女の貌は地面に思いっきりぶつけておって、ぐしゃぐしゃで服で判別するしかなかった」
若槻が手を口元に当てた。
「続いて、次男がどういうわけかかまどに首を突っ込み煙で中毒死しおった。自殺かとも言われたが、遊びほうけていた次男が自殺なんてのは考えられんかった」
長女は顔面が潰れ、次男は気味の悪い自殺。
喉に今朝食べたスティックパンらしきものが戻ってきたのがわかった。
「その後すぐに次女も首を掻っ切って死んだ。死んでおった部屋にあるガラスが割れておって、そのガラスでな。自殺かどうかはわからんかった。ただ、骨が見えるくらい切れておったそうじゃ。そしてとうとう妻の野枝も原因不明の病にかかりおった。3日3晩苦しみぬいたあげく、全身がぶくぶくに爛れて死におったそうじゃ。そしてな……」
船長が少し間をあけて言った。
「居間の壁にかけとったはずのトンボの翅が落ちとったんじゃよ。4人が死ぬたびにな」
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若槻が不意に俺の腕にしがみついた。
彼女のそんなに大きくない2つのボールが俺の腕におしつけられているのがわかる。
や、やわらかい。
今はなしていることに似つかわないことを考えた。
「……ひでぇ話だ。で、その元冶郎はどうなったんですか?」
そんな俺を幣原が無視し言うと、船長がそのままの口調で話を続けた。
「野枝が死んだ夜にな、夢に出たんじゃと。けったいなヒトが。そして夢の中で元冶郎にこういったそうじゃ。『もどしてくれ。翅をもどしてくれ。もどしてくれ、後生だ』とな。元冶郎はすぐ狼島に行き、翅を採った場所に置いた。すると、巨大なトンボが頭上からやってきおった。そのトンボはよく見ると、片方の翅がなく、元冶郎が置いた翅をつけおった。翅が勝手に動いたんじゃと。それから、元冶郎は無事に帰還し、普通の生活を送ったそうじゃ」
船の上はしんっと静まり返っていた。
波の音だけがザアザアと聞こえる。
若槻が相変わらず、僕の腕を抱きしめていた。
「何が幸福を呼ぶトンボだ、不幸そのものじゃないか」
不動産屋の男が笑いながら言った。
「見ただけだったら幸福になれるというのは言い伝えじゃ。本当は不幸のトンボかもしれんのう」
「何が言い伝えだ。それどころか全部言い伝えだろ」
「んや、今の話は80年前に実際にあった話じゃよ。ワシのじい様と元冶郎は知り合いでの、よう話を聞いたもんだ。元冶郎本人にも聞いたよ」
「ばかばかしい」
不動産屋の男が小ばかにしたように言った。
だがその顔は青ざめていた。