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死霊使いファリア  ( ライトノベル投稿城 )  
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猫塚 御音

 えっと、初めましてw
 ヘタクソですけど投稿しようと思います><


 〜あらすじ〜


 剣と魔法の世界ルクスティア。
 そんなルクスティアという世界でももっとも広大な大陸ルナスティスの東方にある地方都市シヴァラに住む青年ファランは、大きなショックを受ける一方で狂喜するほど喜び勇んでいた。
 それは何故か? 
 青年ファランにとっては唯一の家族である兄ファリアが亡くなった――ということは、彼にとっては大きなショックである一方で最良の喜びでもあった。
 彼の兄ファリアは、ルナスティア大陸では1、2を争う大魔道士でもあったのだが、死んだ人間をゾンビに変えて人々を驚かせたり、著名な貴族の墓所を荒らしたりなどやりたい放題。しかも、性格は最悪、弟であるファランを使った魔法実験を平気で行ったり……。
 まあ、そんなこんなで至福の時が訪れた、とファランは喜び勇んでいたわけだが、それも長くは続かなかった。
 不意に目の前に現れたひとりの少女との出会いが彼の人生狂わせ始めるのだった。

2006/05/14 19:31 No.0
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猫塚 御音

 天翔さん、感想どうもです。
 がんばって2、3日に一回は更新しようと思います^^


 第一話「帰ってきた兄さん」


 夏の訪れを予感させる暖かな風がレースのカーテンを揺らしながら入ってくる。
 どこかお人好しっぽい感じにする青年――ファランは、そんな暖かな風が入り込む部屋の中心にあるベッドの上で気持ち良さそうに就寝していた。
 現在の時刻は午前11時45分――とりあえず普通の生活を送っている者なら、とっくの昔に目を覚ましているそんな時であるが、ファランは一向に目を覚ます様子が見られない。
「兄さん、死んでくれてありがとう……むにゃむにゃ」
 不意にファランがそんな寝言を口にする。
 今のファランの頭の中は、幼い頃から自分を束縛し続けてきた忌々しい相手が亡くなった、という安心感が支配している。
 それもあってかここ数日、ファランは昼寝ばかりで働こうなんて考えることができないでいた。

「んんんッ!? なんだぁ、この匂いは……」
 午後1時を少し回った頃、ようやくファランは夢の世界から帰還、覚醒する。
 本棚、それに兄のお下がりである机、今横になっているベッド――家具はこれしかない殺風景な彼の私室内に入り込んできた香ばしいパンが焼ける匂い。それが夢の世界からの帰還を促す要因となったことは言うまでもない。
「ふああああ……。またルナスが勝手に食材を頂戴しにやって来たんだろうか!? とりあえず、もう起きなきゃな」
 大あくびをしながらファランはベッドから身を起こすと、窓際の方へと足を運びそこから見える昼下がりの街中の様子を一望する。
「ふう、怠け癖がついちまったなぁ、まったく……」
 ファランは怠け癖がついたことを嘆く一方で清々しい青空を見上げ、幸せな気分を実感するかのように微笑む。
「さて、今日も一日がんばるかなぁ〜♪」
 いつまでもこんなところで油を売っているわけにもいかない、とばかりにファランは、胸のところで拳を握り締めながら、今日も一日、がんばるか……と誓うのだった。
 そして駆け足で殺風景な私室を後にする。

2006/05/15 18:01 No.3

猫塚 御音

 第一話「帰ってきた兄さん」act2


「むう、クソ眠ぃぜ……」
 今日も一日頑張るぞ、とばかりに意気込むファランは、私室のドアを勢いよく開ける。が、眠気が完全に覚めていないせいか、自分の周りにあるものすべてがまどろんで見える。それどころか目を閉じれば立ったままの状態でも即行で眠りにつくことも可能なほどだ。
「ふう、どうしてこー眠いんだ。はあ、怠け癖が取れねぇなぁ……」
 とりあえずだけど、自身の怠け癖に嫌気が刺している様子のファランは、私室のドアを開け、窓辺から柔らかな陽光が射し込む廊下へと歩み出る。
「相変わらず、小汚い無精髭だなぁ」
 左手でボリボリと頭を掻きながら、私室から廊下へ出てすぐの壁に据えつけれている全身が映るほど大きな鏡に映っている自分の姿を寝ぼけ眼で見つめるファランは思わず溜息をもらす。
 さて、そんなファランの目の前の壁の据えつけれている全身を映るほどの大鏡のは、多少、目付きが悪いものの鼻筋がすっきりと整った男前で長身痩躯の若い男の姿が映っている。当然、その若い男というのはファランだ。だが、寝癖でボサボサの黒髪、そして何日も髭剃りをしていない証拠である小汚い感じのする無精髭、ついでの青と白のトランクスという一張羅……っと、こんな下品な容姿が、なかなかの男前であるファラン自身の容姿を台無しにしている。
「ん〜……。ま、とりあえず茶の間へ行ってみるかな」
 ボリボリと左手で頭を、右手で尻を掻きながら大あくびをするファランは、香ばしいパンの香りが漂ってくる茶の間へと向かう。

「う〜ん、パンは焦げ具合の微妙さで味が断然、変わってくるものだな」
 そんな声が茶の間から聴こえてくる。声色から若い女性のようだが……。
「だ、誰だ!?」
 ファランには、件の声に聞き覚えがない。
「むう、あの声はルナスじゃないようだな……。まさか泥棒か!」
 聞き覚えのない声に対し、警戒心を抱くのは当然……っとばかりにファランは、一度、玄関へ行き、そこに仮に何かあった場合、すぐに対応できるようにしておこう、という魂胆から置いてある鉄の棒を手に取ると、聞き覚えのない声が聴こえてくる茶の間へと殴り込みをかけるように突撃するのだった。


「な、なんだ、お前は!」
 仮に何かあった場合、すかさず攻撃に転じることができる……っと、そんな魂胆から玄関に予め置いておいた鉄の棒を手に取り、それを振りかざした状態で茶の間へと殴り込むファランの警戒心が言わずと知れて彩っている双眸には、艶のある漆黒の髪を大きなリボンでツインテール状に束ねている抜けるような白い肌が印象的な女性――いや、女の子の姿が映り込むのだった。


2006/05/16 07:34 No.4

猫塚 御音

 第一話「帰ってきた兄さん」act3


 茶の間のテーブルの上には、半熟の目玉焼きとハムが乗った皿、こんがりと焼けた香ばしい匂いが食欲を誘う食パンの乗った皿、それにオレンジジュースとプリンが置いてある。
 まあ、それはともかく。
 玄関から持ち出した鉄の棒を振り上げながら、茶の間のに突撃し、誰だ、こいつ……とばかりにファランが警戒する少女――年は10代前半で体格は小柄で華奢。服装はフリルがいっぱいついた白いワンピースとその上から羽織る赤いエプロン。
 容貌は可愛らしいの一言。ついでに、子猫のような愛らしさと、自由奔放な野良猫のふてぶてしさが入り混じった感じがする。が、どこかの良家の令嬢を思わせる気品さも同時に感じさせる。
 それはいいとして、少女はキッとファランを睨みつける。
「ふう、やっぱりお前は僕がいないとダメみたいだな。服は脱いだら脱ぎっぱなしで放置、ちったぁ洗濯くらいやれよな。ついでに、食器くらい洗えよ!」
 で、少女は両手を腰のところに当てながら、なんだかんだと説教を始める。
「なんだ、お前! 人の家に勝手に上がりこんで勝手にパンまで食いやがって! そんな泥棒娘に説教される覚えはないぜ!」
 確かに、泥棒娘って言葉は正しいかもしれない。まあ、そんな少女に説教される覚えはないのも確かだろうが……。ファランの自宅はとにかく、小汚い。
 茶の間の様子をぐるりと見回すと、脱ぎ捨てた服があちらこちらに散乱し、台所には油やケチャップといった調味料がこびりついたまま放置されている食器がゴチャゴチャに積んであるなど、如何にも下品で小汚い様子がうかがる。あと、読み捨てられた新聞なんかも散乱している有様だ。
「やれやれ、下品にもほどがあるぞ!」
 少女は再びファランを睨みつける。
「ぬうう、面倒くさいから放置してたんだよ! まったく、死んだ兄さんみたいにゴチャゴチャと説教しやがって!」
 死んだ兄にもゴチャゴチャと文句を言われたなぁ、と今や故人となった兄のことを懐かしむかのようにうんうんと何度か頷きながら、少女を睨み返すファランは、
「ふん、まあいいさ。人の家に勝手に入り込むような輩に何を言われても気にはしない。それより、さっさと街の保安官でも呼んで連れて行ってもらうかな」
 ふん、と鼻で笑いながら、街の保安官に突き出しやる、と脅し文句を言う。
「ほほう」
 ファランのその言葉に対し、少女は眉をひそめる。
「ふ、とりあえずだ。まあ、さっさと出て行ってくれるなら穏便に済ませてやってもいいんだぜ?」
 ニヤニヤと笑いながら、調子に乗るファランは、そんな提案をする。
「ふう、お前は馬鹿だな。外見は違えど、この僕が誰かってことを忘れるとはな。流石は、寝小便ファランだぜ!」
「うッ!? そ、その呼び名は……」
 少女が不意に口にした“寝小便ファラン”という言葉に、戦慄のようなものを覚えたのか? ファランの顔が徐々に青ざめていく。
「ま、ま、まさか……」
 ファランはゴクリと生唾を飲む。
「おや〜やっと気がついたようだな」
 そんなファランの様子を見て少女はニヤリと微笑み。


 

2006/05/17 08:33 No.5

天翔 薫

 こんにちは。
 毎日の更新お疲れ様です。
 こ、この少女は…
 タイトルからして、帰って来たんですか!?
 あの恐怖の兄さんが! おかまちゃんとなって!?(笑
 手料理でお出迎えとは、恐怖ですね〜(ゾゾッ 
 
 
   

2006/05/17 13:22 No.6

猫塚 御音

天翔さん、感想ありがとうございます^^
えっと、一応、ファランのとっては
招かれざる客であり、天敵みたいな人物ですね^^;

2006/05/17 21:01 No.7

猫塚 御音

 第一話「帰ってきた兄さん」act4


「ま、まさか、兄さん!? あはは、そんなわけないか、現に目の前にいるのは女の子だしな」

 ファランは青ざめた顔のままつぶやく。そんな彼の胸中では、なにかとファラン自身にとっては都合の悪い思惑――例えば、兄ファリアルドが実は生きていた、などなどが走馬灯のように思い浮かび、ある意味で困惑している。
「おいおい、僕が“死霊使い”だって忘れたのかい? 息を引き取ったばかりの新鮮な死体、蛆虫が湧いて悪臭を漂わせる腐敗した死体、かさかさに乾燥しミイラ化死体、原型を留めないほど膨れ上がった水死体だろうが関係なく、“死体”さえ手に入れば、あんなことやこんなことが出来るのが死霊使いだろうに……。ま、それに息を引き取ったばかりの鮮度の高い死体限定で自身の魂を移すことだって可能なんだよなぁ〜♪」
 青白い顔をする困惑気味のファランの許へ歩み寄る少女は、彼の左の耳をグイッと引っ張りながら、そんな聞いているだけでおぞましい気分に駆られるような言葉を囁く。

「ホ、ホントに兄さんなのか!?」
「今更、否定をしたところで仕方がない。身体は違えど、魂はお前の兄ファリルドだ!」
「な、なんだってー!」
「おいおい、驚くこたぁねえじゃんか」

 胸中で思い描く悪い予想が的中し絶句するファラン。
(ぬあああああッ! なんてこったぁぁぁッ!)
 で、そんなこんなでファランは胸中で悲鳴を上げる。

「ふう、やれやれだぜ。ま、とりあえず毎日同じような食い物ばっかり食べてると偏食気味になるぜ。さあ、食べた、食べた!」
「う、うん……」
 肉体は違えど、魂は兄ファリアルドである、と宣言する少女に対し、嬉しいような嫌なような――複雑な気分を馳せるファランは、唇を尖らせ、ついでに眉をひそめながら、半熟の目玉焼きとハムが乗った皿、こんがりと焼けた香ばしい匂いが食欲を誘う食パンの乗った皿、それにオレンジジュースとプリンが置いてあるテーブルの椅子に腰を降ろす。

(ふう、とりあえず、あの娘が――ファリアルド兄さんが生きていることが、“あの人たち”に知れたらえらいことになりそうだな。これが杞憂ならいいけど……)
 オレンジジュースの入ったコップをすすりながら、一抹の不安をファランは抱くのだった。

2006/05/17 23:35 No.8

猫塚 御音

 第一話「帰ってきた兄さん」act5


「とりあえずだ、僕ファリアルド・トゥーソードの娘ってことにしておいてくれ。ああ、なんていうか複雑な気分だねぇ」
「それは俺だって同じだ。死んだはずの兄さんがそんな可愛らしい姿になって帰ってくるんだからな。ま、一応、ファリアって呼ぶことにするけどいいかい?」
「名前なんざぁどうでもいいよ。お前の好きな名前で呼ぶがいいさ」
「う、うん、分かったよ」
 肉体は違えど、その魂は兄ファリアルドである、と称する少女――一応、兄の名前にあやかってファリアと呼ぶことにする。

「ま〜それはいいとしてだ。ファラン……お前は下品な奴だな。僕のような美少女が側にいるんだ。ボサボサ頭に微笑髭、ついでにパンツ一丁という自堕落な格好はやめてくれよな」
「お、そうか? これがいつもの俺のスタイルなんだが……。つーか、美少女って誰のことだよ!」
「まったく、お前の美的感覚の鈍さには情けなさすら感じるよ」
「うぬ、美的感覚っていわれてもなぁ……。俺はガキには興味ないし」
「ガ、ガキだと! うぬぬ、言わせておけば!」
「はあ、俺はロリコンに走る気はないって言ってるんだ!」
 などと相槌を打っていると、
「大変、大変! サイクリア王国で内乱が発生だって! んで、その原因を作ったのがファリアルド兄さんだってさ!」
 丁度よくとばかりにドタバタと喧しい闖入者がファラン、そしてファリアがいる茶の間へと駆け込んでくる。
 白いブラウスにジーンズというラフな格好をしたセミロングの金髪娘だ。気立てのいい良家の令嬢というイメージと、自由奔放な野良猫のような野生的なイメージが見事に合体したような娘で、その容姿は才色兼備という言葉が似合っているが、童顔で実際の年齢より若く見られがちである。ちなみに、彼女の年齢は20歳。

「よぉ、ルナス。残念だけど、そのニュースなら3日くらい前から知ってたよ。つーか、お前の情報は相変わらずトロくさいなぁ〜」
 ファランはふう、と溜息をつきながら、その情報ならすでに知っていると言うと、今居る茶の間の暖かな夏の訪れを告げる風がレースのカーテンを揺らしている窓辺へ足を運び。そこに置いてある毎朝の新聞を貯め込んである箱から3日前の新聞を取り出し、それをルナスという娘に手渡す。
「あ、あれれ〜! この新聞と同じ新聞じゃん!」
「おいおい、3日前の新聞を持ち出してどうするんだよ。その前に、今朝の新聞を見ろよな!」
「えへへ、あたし滅多に新聞なんか読まないからさぁ〜♪」
「あのなぁ……」
 自分は滅多に新聞を読まない、とルナスは笑いながら言う。それを見てファランは溜息をつきながら、厭きれた表情をつくると首を横に振る。

「ねえ、それはともかく。レディの前でパンツ一丁って姿へやめてよね! んっ!? どうでもいいけど、あの娘は誰?」
 情報も遅ければ、気がつくのも遅いとばかりにルナスは、今頃になって、この部屋――ファランの自宅一階の茶の間に自分とファラン以外にも何者かがいることに気がつく。
 その何者かというのは、当然、ファリアである。
「あ、ああ、あの娘は――」
「この男の兄ファリアルドの娘のファリアですぅ。宜しくね、お姉ちゃん♪」
 ファランがなにかを言う前のファリアが自分から名乗り出る。しかも、わざとらしくどんな人間にも尻尾を振りながらなついてくる無邪気で無垢な子犬のような素振りで――
「あらあらぁ〜♪ ファリアルド兄さんに娘さんがいたなんて初耳だわぁ!」
 可愛いらしいものは母性本能をくすぐる、というのだろうか? ルナスはギュッと嬉しそうにファリアを抱きしめる。

「ああ、そうだ、そうだ! さっき街の保安官さんから聞いたんだけどさ。フォロスティオ公爵って大貴族さんのお墓が荒らされ、つい先日亡くなったご令嬢のティアリスさんって方の遺体が盗まれたらしいわ」
 さて、ルナスはそんなこと墓泥棒の話を始める。
「フォロスティオ公爵っていうと、超有名な大貴族じゃないか! しかし、なんつーかなぁ、墓泥棒も物好きだよな。副葬品ならまだしも遺体まで盗むとは……あっ!?」
 ルナスは話を聞いて物好きな奴もいるものだな、と笑って済ませるファランであったが、不意にファリアと目が合った途端、ゾッとした悪寒を感じるのであった。
「ま、まさかぁ……」
「お前の抱く悪い予想だけど、間違っちゃいない。正解だ」
 そんなファランの耳元でファリアが囁く――正解である、と。

2006/05/18 14:14 No.9

inea


ぉ初です☆

bSからの更新をずっと楽しみにしてて、何日か見ない間にbXまでいっていたことに唖然といている inea<<インエア>> です 笑


少女が兄さんだったとは・・・
題名の何のアレがよくわかりました!!
((何を言ってんのよ 汗
あと、ルナスちゃんの性格がどんな風にからんでくるのかも気になります。


これからも更新楽しみにしています!

がんばってください!!!

2006/05/18 16:12 No.10

猫塚 御音

ineaさん、感想ありがとうございます。そして初めまして^^

一応、ファランとルナス(本名、ルナール・テティス)は、ファリアのムチャクチャな行動に巻き込まれていくって感じの話にしていこうかと企んでいます。

敵集団とか今のところどんなキャラにしようかなんて考え中かな?
外見は2枚目でも行動は3枚目なキャラとか、サディストな女魔道士なんてもいいかなぁ〜とかw

2006/05/18 20:28 No.11

inea

すみません・・・
サディストって何ですかい??汗
こんなバカ子を許してください・・・


外見はAで行動はB・・・いいですね☆
めちゃくちゃ更新楽しみですだ!!


2006/05/18 20:50 No.12

猫塚 御音

 サディストはまぁSMの女王様を想像してください><
 多分、あんな感じでしょう^^;

 第2話「それぞれの正義」act1


 その惑星の名はルクスティア。緑あふれる美しい惑星。そして、剣と魔法が支配する幻想の世界。

 ルナスティア大陸――惑星ルクスティア最大の陸地を誇る大陸で、

『我こそは、この大陸に覇者である! 他の国は大人しく従え! 従わぬなら者、逆らう者があらば容赦なく斬り捨てる!』

 という考えの国が多く何十年、何百年と相変わらずとばかりに戦乱の日々が続いてばかりいる戦国時代真っ只中の大陸でもある。
 特に大陸南方と西方での戦乱状態が激しく。対話で事を済ませるということを知らない戦争大好き人間の巣窟と化している、と言っても半ば間違っていない様子で開戦、休戦、開戦、休戦と悪い流れが、まるで輪舞曲のように続く毎日だと言われる。

 それでも人は、生きていかなくてはいかない。例え、どんなことがあろうとも――


 ルナスティア大陸東方――どちらかというと人跡未踏の地が多く残っており、訪れる者のほとんどが一攫千金を企む冒険者と呼ばれるような連中で、この地にかつて存在したというなにもかもが黄金一色で彩られたまさに“黄金文明”と言っても過言ではないアースティカ文明の遺跡を見つけ出そうと企んでいる。
 で、冒険者なんて呼ばれる連中――主に戦乱によって領地を失いこの地で再起を企む没落貴族を中心に築かれた小国のひとつがネレイド公国である。

 さて、他の地方にも武力侵攻するほどの力を有するルナスティア大陸東方最大最強の大国であるサイクリア王国と隣接しているせいか、いつそんなサイクリア王国軍が武力侵攻してこないかと、国民全体が心配で心配で仕方が気分でいることであろうネレイド公国領内にあるシヴァラという小さな街に彼は――ファランクス・トゥーソードことファランは暮らしていた。
 

2006/05/19 08:14 No.13

猫塚 御音

 第2話「それぞれの正義」act2


 ルナスティア大陸東方にある小国のひとつネレイド公国領内にあるシヴァラの街の繁華街の片隅にある〈黄金の鶏〉という名の老舗レストランがある。
 店長のフリック氏が図書館をイメージした店内にしようと目論んだせいもあってか、店内を見回すと、彼が集めた絵本などの児童書から、普通の思考パターンを持つ者なら絶対に避けてしまうようなマニアックで気味の悪い本まで、様々なジャンルの書物が収納されている本棚が所狭しと置いてあったりする。
 それでも来店する者はけっこういたりと、地味に賑わってはいる。
 そんなレストラン〈黄金の鶏〉の店員のひとりというのが、あのファランであった。


「俺は未だにお前さんにあんな可愛い姪がいたなんて信じられないぜ。つーか、死んだファリアルドと10歳くらい年が離れてるんだっけ?」
「俺は今二十歳でファリアルド兄さんは今年で三十路でしたから……」
「ふむ、あの娘はファリアルドの野郎が17か18歳の時の子になるわけだな。まったく、あいつの女癖の悪さはガキの頃からだからな。まあ、あれくらいの年になる子供がいても別に不思議には思えんがね」
「そ、そうですね、店長。こればかりは否定できません」
 白髪混じりの髭面、それに筋骨隆々のマッスルボディ――それがレストラン〈黄金の鶏〉の料理長であり、店主であるフリック氏である。
 で、外見とは裏腹に料理の腕は抜群で、若い頃はネレイド公国首都サーベリアにある有名なホテルの総料理長であった、という経歴を持っている。
 それはともかく。
 数日振りにファランは仕事先のレストラン〈黄金の鶏〉へ職場復帰する。
(はあ、兄さんが遺産を食い潰して生きていくかなって思ってたけど、あんな形で兄さんが帰って来るなんて……)
 ファランは胸中で溜息をつきながら、皿洗いに専念する。
 とりあえず、風邪を理由に今まで休んでいたわけだが……。彼にとっては招かれざる者の出現によって怠けているわけにはいかなくなった、という理由からファランはしぶしぶ職場復帰したのである。
「ねえねえ、あの娘はどうするのぉ? 一緒に住むわけぇ?」
 皿洗いに専念しているファランの許に、赤と白のチェック柄のミニスカートのワンピースの上から青いエプロンという格好をした若い女が近寄ってきて、耳元でゴニュゴニョと小声でそう尋ねる。
 ちなみに、この若い女の名はルナール・テティス。通称ルナス。彼女がもたらす情報はすべて数日遅れ……。本人は最新情報だと思い込んでいるのがイタイところだが、才色兼備な美人で、ここレストラン〈黄金の鶏)の人気ウエイトレスでもある。ついでに、店主のフリック氏の一人娘で、ファランと同じ二十歳。
「う、うん。兄さんの娘だしな、一応」
「うんうん、そうだよねぇ〜やっぱり、あのファリアルド兄さんの娘さんだしねぇ」
「そ、それが俺には迷惑だったりするんだよなぁ……」
「ええ? なんで?」
「うぬぬ、なんでって言われてもなぁ……」
 ルナールことルナスのそんな質問にファランは正直言って困惑した。
(外見は違えど、“あれ”は正真正銘の兄さんだからなぁ……。追い出すわけにもいかないんだよなぁ)
 そんな風にファランは胸中で嘆いていると――
「なあ、ルナール? もしかして、あの娘か? ファリアルドの野郎の娘っていうのは?」
「うんうん、そうだね、あれが――」
 フリックとルナス親子が、今、丁度よく来店してきた客のひとりに注目する。
「ん、どうした?」
 ファランもフリックとルナス親子の視線の先に注目する。
「う、うわあっ!」
 次の瞬間、ファランはひしゃげた声を上げる。
 彼ら3人の目線の先には、赤いリボンで自前の艶のある黒髪をツインテール状に束ねている白いワンピースを着こなした愛らしい小柄な少女――ファランにとっては天敵である、と言っても半ば間違ってはいないファリアの姿であった。
 

2006/05/19 19:35 No.14

天翔 薫

 文章上手いし、ストーリーの流れも面白いです!
 全然ヘタクソではないんですけど〜!
 読んでて先が気になって仕方ないっ!

 盗まれた遺体の件も気になります!
 ……彼らの先には一体どんな敵が待っているのでしょうか?
 ファリアの暴走とファランのバトルを楽しみにしている天翔でした(ワクワク
 では、お身体に気をつけて更新頑張ってください!

2006/05/19 20:19 No.15

猫塚 御音

天翔さん、感想ありがとうです><
そして、激励ありがとうございます!
創作意欲がさらに湧いてきました^^


キャラクター紹介を書いた方がいいのかな?
そんな感じもするのでー(ぁ

【ファランクス・トゥソード】
 通称、ファラン。そして、一応、主人公。年齢は20歳。
 どちらかというと自堕落で面倒くさがり屋。
 おまけに身形をまったく気にしない。
 容姿はなかなかの男前であるが、性格や身形がそれを台無しにしている。
【ルナール・テティス】
 シヴァラの街の繁華街に片隅にある老舗レストラン〈黄金の鶏〉の店主であるフリックの一人娘。通称、ルナス。年はファランと同じ20歳。
 才色兼備な美人で、ファランとは幼馴染。
 彼女がもたらす情報は少なくとも3日遅れ。
 少々、慌て者。
【ファリア(ファリアルド・トゥソード)】
 外見は12、3歳くらいのツインテールが愛らしい小柄な少女。
 だけど、その中身(魂)はファランの兄で、先頃、亡くなった年の離れた兄ファリアルドである。
 潔癖症で世話好きなところがあるのか、自堕落な弟ファランを見過ごすことができないでいる。

 とりあえずこんな感じでまとめてみました〜
 

2006/05/20 07:33 No.16

猫塚 御音

 第2話「それぞれの正義」act3


「マスター、特製カレーライスを頼むよ!」
 レストラン〈黄金の鶏〉へとやって来たファリアは、ニヤニヤ嫌味な笑みを口許に浮かべながら、そう言い放つと、店内の奥のカウンター席に腰を降ろす。
「あらぁ〜ファラン兄様ぁ♪」
(うわ〜……。なんで来るんだよぉ! それになんだよ、ファラン兄様ってのは!)
 不意にファリアと目が合う。で、胸中でと愚痴るファランの顔には自然と不愉快極まりない、といった感情が彩る。
「ん、どうしたの?」
「い、いや、なんでもないって」
 そんな様子を見せるファランを見て神妙な様子で首を横に傾けるルナス。
 
「ほらよ、まあ、こいつは作った俺でさえ引いてしまうほどの辛さだ!」
「ほう、それは楽しみだ」
 レストラン〈黄金の鶏〉の店主であるフリックでさえ、そのトンでもない辛さから思わず引いてしまう超激辛料理がある。一見すると、普通のカレーライスであるが、彼が作り出した特製スパイスによって、ベロベロに酔い潰れた酔っ払いでも一口食しただけで完全にその酔いが醒めてしまうほどの超激辛カレーライスなのだ。ついでに、舌が麻痺し、胃袋にもダメージを与えるという副作用も孕んでいるので、この料理を注文する者は滅多にいない。
「んんんんッ!? 美味いぃぃ! それになんて辛さだ! しかし、このクソ辛いカレールーの中にほんのりと残る果実の甘さとまろやかさがなんとも言えない美味さを引き立てている!」
 ファリアはガツガツと件の特製カレーライスを食べている。まるで、甘いお菓子でも食べているかのようにである。
「うおおおおおおおッ!? そいつをガツガツと勢いよく食えるなんて凄いじゃないか! 流石はあいつの娘ってところか!」
 フリックは両目をぱちくちさせながら、歓喜の大声を上げる。
(あ、あれを平然と食えるなんて姿形は変わっても流石は兄さんってところかな……)
 ファランは苦笑を浮かべる。ちなみに、ファランは件の特製カレーライスを食した第一号である。で、その辛さを身をもって味わった経験者なのだ。
「あああ、美味い! こんな辛いカレーライスを食べられるなんて最高だ、最高の時間だ!」
 ファリアは涙を流しながら、特製カレーライスをガツガツと食している。やせ我慢なのか、それともあまりの美味さに感激しているのだろうか?
 とりあえず、それはファリア本人のみぞ知ることであろうか――

「ちわーっす! ネレイド公国新聞の号外っすよ〜」
 どたばた、と忙しない足音が外から響きわたる。それと同時にひとりの若い男が、このレストラン〈黄金の鶏〉の店内に駆け込んでくる。
「やかましいぞ、アルフ! それより、どうしたんだよ、そんなに急いで?」
 急な闖入者にちょっとばかり不機嫌な物腰を見せるフリックが、アルフという男にカウンター越しに声をかける。
「ここ数日、この街はおろか、ネレイド公国内を騒がしているフォロスティオ公爵家の墓を荒らした犯人って奴の似顔絵付きの手配書を配布しに来たっす、マスター!」
 アルフという男はゼエゼエと息を切らせながら、そう言い放つと、店主のフリックとウエイトレスであり、彼に一人娘であるルナス、それに厨房で皿洗いに専念しているファラン、そして店内にいるすべての客――と言っても3人ほどだが、彼が言い放ったその言葉に注目するのだった。

2006/05/20 19:06 No.17

猫塚 御音

第2話「それぞれの正義」act4


 大小、貧富の差に問わず、どんな国であっても国内で起きた情報、国外情勢等をいち早く国民に報道する組織が必ず存在するものである。
 それはルナスティア大陸東方の小国であるネレイド公国とて例外ではない。
 ネレイド公国情報機関局――領土が領土なだけに扱っている情報も少なく限られてはいるが、毎朝、毎夕欠かさず領土内に住む人々に無料で配布を行われているネレイド公国新聞を発行している機関がある。
 そんなネレイド公国情報機関局が号外を急遽、発行する事態が起きる。
 ルナスティア大陸東に住む者なら、その名前を知らない者はいない――と言っても半ば間違ってはいない大貴族のフォロスティオ公爵家代々の墓所を墓荒らしの被害に遭いつい数日前に亡くなった現フォロスティオ公爵家の当主アーレン・フォロスティオ氏の孫娘ティアリスの遺体が盗み出されたという大事件に関しての重大な情報が発表された、という理由からである。
 ――で、件の号外が配達員のひとりであるアルフという男を介してレストラン〈黄金の鶏〉へともたらされる。

「えっと、これが犯人の似顔絵付きの手配書っす! 一応、号外という形で配布させてもらってるっす!」
 ルナスから手渡された一杯の水を飲み干すと、意を決したようにアルフという男は早速とばかりに持ち合わせている鞄の中から、件のフォロスティオ公爵家の墓地を荒らしたという犯人の似顔絵つきの手配書でもあるネレイド公国新聞号外を取り出すと、ここレストラン〈黄金の鶏〉の出入り口のすぐ側にある掲示板に貼りつける。

「ギャハハハハハッ! なんだ、この如何にも頭の悪そうな犯人は!」
 作り主であるフリックでさえ完食は無理だと宣言しているほどの超激辛カレーライスの盛り付けられた皿とスプーンを両手に持ったままの状態でファリアは、カウンター席を離れ、ネレイド公国新聞の号外である手配書が貼ってある掲示板のところへ足を運ぶと、そんな手配書に描かれている犯人の似顔絵をジッと凝視する――で、その数秒後、ゲラゲラと大きな声を張り上げてで笑い始める。
「ふう、なんなんだかねぇ……」
 注文された料理を客の許へ持って行くついでとばかりに、さりげなく掲示板に貼られた手配書の内容、そして似顔絵に目を通すファランは、大声を張り上げて笑っているファリアの様子を見て首を横に振りながら、溜め息をつく。
「真実とはまったく違った犯人だ! とにかく笑える! ギャハハハハッ!」
 プイッとファランの方に視線を向けるファリアは、再び大声で笑い始めるのだった。

 さて、号外には鬼のような面構えをしたスキンヘッドで髭面という強面の大男の似顔絵が描かれている。実に犯罪者面という感じがしないでもないが、あまりにも単純な犯人像である。それがある意味で見た者を爆笑させる要因と化している。

「ふむ、しかし件の墓荒らしは大胆だな。あのフォロスティオ公爵家の墓を暴くとは――」
 頭に包帯、右目に眼帯、左腕をギブスで固定した痛々しい姿の若い女の客が掲示板のところ歩み寄る。
「やあ、ミントさん。相変わらず、怪我ばかりしてますねぇ」
 丁度目が合ったので、ファランはそう声をかける。
「まあ、仕方がないだろう。冒険者とは生傷が絶えないものだしな」
 痛々しい姿の若い女はファランの方に視線を向けると、首を横に振りながら溜息をつく。
 この痛々しい姿をした若い女の名は、ミント・ハーシェル。
 シヴァラに街に住む地方貴族の令嬢であり、冒険者でもある。で、毎度毎度、冒険へ行く度に必ず大怪我をして帰って来るので、“怪我姫”という通称で呼ばれている。それが容姿端麗な彼女の容姿を台無しにしてると言っても過言ではない。ちなみに、年齢は22歳。
 
「うむ、私の推測では屍食鬼の仕業だと思うのだが? キミはどう思う?」
 件の事件は屍食鬼の仕業ではないか? とミントは推測する。で、ファランにどう思うかと意見を訊いてくる。
 ちなみに、屍食鬼とは死肉を食らう小鬼である。その姿は緑色の肌をした不気味な人間型の生き物であるが、グーラーという女性型の屍食鬼も存在する。
 それはともかく。
「屍食鬼よりも吸血鬼や死霊使いを疑ったらどうだい? この街には吸血鬼のネフェルディアや死霊使いのファリアルドって男が住んでるじゃないか?」
 ファランがなにかを言うまでに、その間に割って入ってきたファリアが、ニヤニヤと笑いながら傷だらけの痛々しい姿をしたミントをジッと見つめる。

2006/05/21 14:46 No.18

猫塚 御音

 第2話「それぞれの正義」act5
 

「吸血鬼のネフェルディア!? それに死霊使いのファリアルドか……。前者は町外れに住んでいる何十年も同じ姿のままだという理由から吸血鬼呼ばわりされているあの女魔道士だな。で、後者はファラン――キミの兄だったね。最近、亡くなったと聞いたが……。まあ、とりあえず、件のふたりを疑う理由を語ってはくれないかな?」
 左手の人差し指を折り曲げた状態で口許に当てながらミントは、怪訝そうに吸血鬼呼ばわりされている魔道士のネフェルディアという人物、そして何を思ったのか自身の名を出し、このふたりが疑わしい、と言ってニヤニヤ笑っている姿形は違えど、死霊使いファリアルド本人であるファリアに、その理由を訊く。

「疑いその1、ふたりとも著名な悪行魔道士である。
 疑いその2、ふたりとも死霊を操る暗黒魔術の使い手である。
 まあ、僕的にはそんなところかなぁ〜」
 こんな感じの疑わしい理由をファリアは語る。
「ところでキミはこのへんじゃ見かけない娘だけど……」
 ミントはそう言いながら、ファリアの容姿をちらほらと見回す。
「ああ、この娘は――」
「ええと、死霊使いファリアルドの娘に当たるファリアです〜♪」
 この娘は自分の――とファランは、とりあえずファリアのことをミントに紹介しようとするが、ファリア自身がさっさと名乗り出る。
「な、なに!? あの男に娘がいたのか!」
 ミントは信じられない、と言った感じの驚きようを見せる。
(まあ、驚いても仕方ないよなぁ……。しかし、兄さんもなにを考えているんだか?)
 外見はまったく違うものの死霊使いのファリアルド本人である、そんなファリア。さて、それを知っているのは実弟のファランのみ――とその前に自身の名を出し、件のフォロスティオ公爵家の墓所の荒らした真犯人は彼かもしれないと、話題に出すファリアはなにを考えているのやら? ファランがそんな様子を訝しく思うのだった。
「とりあえず、手配書に描かれている似顔絵はフェイクだろうな! クククク、僕には分かるよ、なにもかもがね」
 如何にもなにかを企んでいそうな笑い声を上げるファリアは、ファランとミントを順に見つめるのだった。


 ルナスティア大陸東方では、“死の商人”、“争いを運ぶ者”など、決して好ましいとは思えない呼称で呼ばれている一族が存在する。
 ルナスティア大陸全土にまたがり、大規模、小規模に問わず“戦争”が起きた場合、必ずと言っていいほど“彼ら”は関与している。持ち前の財力に物を言わせ、開発した最新鋭の武器を売り歩く死の商人――それがフォロスティオ公爵家である。

「人は誰しも自分が信じた志こそ、自身の“正義”へと繋げたがるものだね。それが例え、極悪非道の犯罪者であっても――」
「む、何が言いたい?」
「つまりこういうことだよ」
 そう問いかけるファリアの左手にフッと空気の中から具現化したかのように回転式拳銃が出現する。
「な、なにをする気だ!」
「うわっ!」
 当然、ファリアの側にいるミントも、そしてファランも驚きを隠せない。
「ねえ、もしもだけど、この銃をキミが使うとしたら、一体、どんなことのために使うのかな?」
 ファリアにニヤニヤと笑いながら、左手に持っている回転式拳銃をミントのギブスをしていない方の手だから、右手に手渡す。
「代わりはいくらでもあるから、それがキミにあげるよ。その怪我じゃもしもなにか、その身に危険が迫った時に――ま、それはともかく。その拳銃があれば、仮にキミはなにに使うのかな? 僕はそれを訊きたい」
 ファリアは手渡した回転式拳銃を仮に使うとしたら、どんなことに――とミントに対して問いかける。
「そ、そうだな。私なら、この怪我が治り次第、この街へやって来る悪徳な冒険者等を捕らえることに使用しようと思うのだが……」
 なんと答えたらいいのかと、少々戸惑った様子を見せるもののミントは、ファリアから手渡された回転式拳銃を自身ならこんな使い方をする、と答える。
「ふむふむ、人それぞれ異なった正義、異なった思想が成り立っているものだ。まあ、それがキミの正義ってことが分かったよ」
 うんうん、と何度か頷くファリアは、
「彼女のような明確で明瞭な正義があるということはいいことだと思うけど、この男にはそれすらないだろうな」
「む、むう……」
 プイッとファランの方に視線を向けて、そう挑発的な言葉を投げかけるのだった。
「正義かぁ……俺の正義は報道かなぁ、多分! うあああ、思い出したっす! 〈ザグマルス聖騎士団〉って人々がフォロスティオ公爵家の現当主であるアーレン・フォロスティオ氏と結託し、件の墓泥棒を捕まえようと動き出したみたいっす! こんな大事なことを忘れているなんて俺もまだまだっす!」
 そんなファランとミントの会話を静観していたアルフが、ハッとなにか大事なことを思い出したかのような慌てた様子でそう言い放つと、ネレイド公国新聞の号外であり、件のフォロスティオ公爵家の墓所を荒らした墓泥棒の手配書が貼ってあるここレストラン〈黄金の鶏)の出入り口のすぐ側にある掲示板を指差すのだった。
 

2006/05/22 22:42 No.19

猫塚 御音

第3話「正義は我らにあり!」


 人跡未踏の地も数多く残る一方で、北方、南方、西方と他の地方にも軍事行動を広げるような軍事大国であるサイクリア王国のような国も存在するルナスティア大陸東方にある小国のひとつネレイド公国の領土内にあるシヴァラの街の繁華街から少し離れた場所にある小高い丘に密集する閑静な住宅街の一角にその家はあった。
 『とりあえず魔法工房』――見ただけで如何にもがさつで下品な店主性格を連想させるような小汚い真っ赤なペンキで書きなぐった看板が、別の意味で目立っている。
 そんな店の主人――のはずであった者はぼやく。

「おいおい、僕がいない間、ヘタに店内にある物を弄ってないよな?」
「弄られてると困る代物も多数あるんだよなぁ〜……」
「知識のない奴が弄るとトンでもないことが起きてしまう恐れがあるんだよ」
「まあ、留守にしたのがほんの数日でよかったかもしれない……」

 ぼやくだけぼやくと、主人だった者は――死霊使いファリアルド・トゥソードだった少女は、眉をひそめ口を尖らせながら、店の外へと出て行く。
「くれぐれも僕が留守の間、店の中にある物を物色するなよ。特に、あの赤い扉の向こう側には行かないように」
 こんな言葉を自堕落で、下品で、がざつで、面倒くさがり屋である実弟に言い残して――
「ちっ……。好き勝手言いやがって。こんな場所に誰が入るかっつーの!」
 不愉快そうに舌打ちをする実弟――ファランクス・トゥーソードは、自分の目の前から立ち去る実兄であった者を憎々しげ見つめながらつぶやく。
「ふう、それにしてもトンでもない連中が動き出したもんだな。ヘタすりゃ俺まで大事に巻き込まれそうだぜ。あああああ、不愉快だなぁ……」
 ファランクス・トゥソードこと通称、ファランはこの世の終わり告げられ絶望に浸る者、死刑を宣告され絶望に浸る死刑囚、刃物を持った強盗に袋小路に追い込まれ絶望に浸る者――とにかく、目の前に迫る死と隣り合わせた切羽詰った心境が彩った顔で、手許にある新聞を見下ろす。


『あの〈サグマルス聖騎士団〉がアーレン・フォレスティオ公爵と結託! 先頃お亡くなりになったアーレン・フォロスティオ公爵の孫娘ティアリスの墓所を暴き、彼女の遺体を盗み出した悪鬼羅刹に正義の鉄槌を下すべく動き出す!』


 そんな見出しの記事が、これでもかというくらい目立つ派手で大きな字で記載された今朝の新聞は、彼を――ファランの焦りの気持ちを、絶望する気持ちを駆り立てる。
「あああ、今日という日ほど、兄さんの――ファリアルド・トゥーソードの弟であることを呪ったことはないよ!」
 ファランはガタガタと震えた声でつぶやくと、八つ当たりとばかりに右手の拳を壁に2度、3度と叩き込むのだった。

2006/05/23 14:05 No.20

猫塚 御音

 第2話「正義は我にあり!」act2


「ぐわあああああっ! なんだ、貴様はぁぁ!」

 シヴァラの街の郊外――今や廃墟と化し、性質の悪い連中に吹き溜まりと化している旧アルコンス総合病院内から、無数の悲鳴らしき音程のズレた声が響きわたる。
 それは恐怖と狂気の化身を前にし、死≠ニ直面した者だけが発する生≠ヨの執着心、そして捨てきれる未練が入り混じった声である。

「お前らのせいで――お前らがあんな噂を流したせいで僕は極悪人扱いだ。その落とし前をつけさせれもらうよ!」
 右手には黄金の回転式拳銃(リボルバー)、左手には白銀の回転式拳銃(リボリバー)――そんな武器をたずさえた黒髪の小柄な少女は、目の前に立ちはだかる3人の男たちの許へと歩み寄る。
「う、うわああああああっ! お、お前は悪魔だ、悪魔だぁぁぁ!」
 目の前にいる年端も行かぬ少女に対しての親しみや愛らしさを感じさせる言葉は、男たちの口から出ることは決してないだろう。
 如何にも悪人面という言葉よく似合った面構えの三人の男たちのドブ川の川底のような真っ黒に濁った双眸に映っている者は、一言で説明すると子猫のように愛らしく少女であるが、彼らには十分すぎるほど理解していた。それは10代前半の女――女の子という姿を借りた獅子のように猛々しく、悪魔のように残酷で、鬼神の如き怒りを身にまとった魔物のような存在であるということが――

「い、痛い、痛い、痛い! 死ぬ、死ぬ、死ぬぅぅぅ!」

 さて、右手に黄金の回転式拳銃、左手に白銀の自動式拳銃をそれぞれたずさえている少女のその足許では、血まみれになった数人の男たちが呻き声を上げてのた打ち回っている。
「僕は神でも悪魔でもない。タダの人間だ! そうダタの人間だ! 怒りに打ち震える、タダの人間だ!」
 少女は怒りに打ち震えた声でそう叫びながら、目の前にいる三人の男のひとりに右足の太もも目掛けて右手に持つ黄金の回転式拳銃の銃弾を発射する。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!」
 当然とばかりに、太ももを撃たれた男は激痛のあまり絶叫を張り上げる。
「次は、お前らの番だ! ――と、そう言いたいところだか、さっさと僕の目の前から消え失せろ!」
 狂気が彩った表情、そして声色で少女は、次のお前らの番だ≠ニ残りのふたりの男を恐喝するのだが――何故か、さっさと消えろ、とそんなふたりの男に対して言い放つ。
「ひ、ひいいいいっ! 逃げろぉぉぉぉ!」
 ガタガタと恐怖に震わせるふたりの男は、右足の太ももを銃弾で撃ち抜かれ、血まみれになっている男もうひとりの男を筆頭とした床でのた打ち回っている仲間たちを置き去りにするかたちで逃げ出すのだった。
「ふう、僕としたことがトンだ茶番劇を演じてしまったな」
 少女は自分の足許で呻き声を上げながら、床をのた打ち回っている男を冷ややかに見下ろしながらつぶやく。


「僕は鬼になりきれなかった――人の心がまだ残っているというのか? ふ、あいつ≠フことが心配で、こんな姿になりながらも戻ってきてしまったしな」
 人気のない廃屋、立ち入る者は悪党ばかり、そして幽霊話すら持ち上がっている旧アルコス総合病院の外に広がる光景――西の地平線の彼方を沈みかけの太陽が紅に染め上げる黄昏時である。
 少女は――ファリアルド・トゥソードであった者は、そんな紅に染まる虚空を見上げながら、溜息を交えて自嘲する。
「ふう、やれやれ……。ウェンディ、そこにいるんだろ?」
 ファリアは眉をひそめ自分の足許の影を見下ろしながら、そう呼ぶかけると――
『何度も言うようだが、私には名前など不必要。いや、強いて言うなら名前そのものが意味をなさないといったところだろう』
 そんな声が返ってくる。声色から10代、20代の若い女の声だ。
 その次の瞬間、ファリアの足許に影が地面から浮き上がる――そして影は漆黒のケープを身にまとった長身痩躯の美女の姿に具現化する。
「まあ、なにはともあれ、僕が呼んだウェンディ≠ニいう名前に反応したってことは、その名前が気に入ってる証拠だろう?」
 ファリアは溜息をつきながら、ニヤニヤと微笑む。
「ふん、なんとでも呼ぶがいいさ。元来、私には――死神≠ニいう名称がある。それ以外の名前は必要なのから理解できん」
「だけどさぁ、ウェンディって呼ばれた方が名前に対する愛着がわかないか?」
「お前に呼ばれようが、私は死神≠ノ他ならない」
「ふ〜ん、つまらない女だなぁ」
 なとどしばしば相槌を打つウェンディとファリア。
「ふう、お前のせいへと執着心は並大抵ではないな。他人の身体を奪い取ってまで、この現世へと留まるとは、別の意味で関心するよ」
 ウエンディは声色は冷ややかである。ゾッとするほどに――
「まあなぁ……。それに僕にはまだやるべきことがあるんだ、色々とね――」
 まだやるべきことがある――その理由はともかく。ファリアの生に対する執着心は、彼女の赤味がかった双眸、そして自信に満ち溢れた表情に深く、深く彩っているかに思える。
「僕の生へと執着心とか言う前に、お前はいつまで僕につきまとう気なんだ?」
 両手を腰のところに当て、少し身を屈めた状態でファリアは、睨むような視線をウェンディに向けながら問いかける。
「そうだな。本当の意味でお前に死が訪れるその日まで――と言っておくべきかな」

2006/05/24 18:14 No.21

猫塚 御音

第2話「正義は我にあり!」act3



「おい、ルナール! お前か、ここに置いておいたショートケーキを食ったのは?」
「ショートケーキ? 知らないよぉ〜。私じゃなくてパパが食ったんじゃなくて?」
「なにぃ!? お前じゃないのか? だったら、ファランだろ、食ったのは!」
「うえ〜、俺がじゃないですよ!」
「む、むう、昨日はアップルパイにモンブラン、今日はショートケーキにチーズケーキが2個……。デザート消失事件発生というやつか!」
「そ、そんなの深く考えることもないと思うけど……」

 昨日、今日と二日連続でシヴァラの街の繁華街の片隅にあるレストラン〈黄金の鶏〉の厨房では、店主であり料理長でもあるフリックが休憩時間にでも食べようかな――と思っていたデザートが消失するという些細な事件……というか事件なのかすら分からない細々とした問題が起きていた。
 レストラン〈黄金の鶏〉の従業員は、店主のフリック、それにフリックの一人娘であるルナールことルナスとファランの計3人しかいない。
 そんなわけで――
「お前らのどっちが食ったとしか思えんのだが……」
 フリックは一人娘であるルナスとファランに疑いの目を向けるのであった。
「きっと、透明人間の仕業だよ、うんうん」
 さて、フリックらのやりとりをカウンター席でチョコレートケーキを頬張りつつ観察していた黒髪のツインテールの少女――ファリアが、ニヤニヤ笑いながら、そんな冗談を言う。
『透明人間か――それは私に対する皮肉かな?』
 ファリアのその冗談に対し、彼女にしか見えない者=\―死神のウェンディが答える。
「まあ、そんなところだね。お前さんはケーキや菓子パンに目がない――そんな変わり者だからね」
 ファリアはニヤニヤと笑いながら、背後に視線を向ける。そこにウェンディの姿がある――と言ってもファリアにしか見えないのだが。ついでに、ウェンディの口許には生クリームが――
「くそ〜! どこの誰が俺のケーキをっ!」
 フリックはご立腹な様子である。筋骨隆々の大男――という容姿とは裏腹に甘いものに目がない。食後のデザートや休憩時間には必ずと言っていいほど、自作のケーキなんかを口にしているほどである。
 それはともかく。
「新聞、新聞! 新聞っす! 今日も特種情報満載っす!」
 ばたばたと忙しない男が――ネレイド公国新聞の配達員のアルフが、新聞を片手に駆け込んでくる。


 ルナスティア大陸東方で最強と謳われたサイクリア王国が誇る〈閃光騎士団〉が、つい先頃、なにがあったかのかは定かであるが壊滅的打撃を受け、今じゃ再編成のため一時的に解散するはめとなり、今では、その代わりとばかりに〈サグマルス聖騎士団〉とやらが台頭し始めてきていた。
 〈サグマルス聖騎士団〉――ルナスティア大陸西方から伝来したディオフォレス教という宗教団体の一派であるサグマルス派を守護する存在であり、一騎当千の猛者ばかりが集う戦闘集団でもある。
 彼らが行くところ焦土と化す=A正義の名を語る悪魔の旅団≠ニいう悪い噂もあるが、連中に媚びつく者も多いという。そのひとりが死の商人と呼ばれることもあるフォロスティオ公爵家の現当主アーレン・フォロスティオである。
 さて、そんな連中が今、ネレイド公国領内にまでやってきている――と情報をアルフがもたらすのだった。

2006/05/25 22:28 No.22

天翔 薫

 こんばんは。
 ファリアが謎!
 ファリアの魂?意識?は何が目的なんでしょう?ダメ人間ファランを…?(失礼!
 どこの誰だかわからない少女の体を拝借して、影には新キャラの甘党ウェンディがいる…
 不思議な存在ですよね。
 まさか!盗まれた令嬢の遺体って今ファリアが拝借してる少女の体…(違うなぁ
 て、何の因縁でファリアはリボルバーぶっ放した?て、撃ったのは何者?
 
 『赤い扉の向こう側には行かないように』とか言われたら、
 行くよね普通…だって入ってねって言ってるのと同じじゃん!
 全部モヤモヤする〜(作者の思う壺(爆!

 コメントありがとうございました!
 更新楽しみにしてますよ!

2006/05/25 23:07 No.23

猫塚 御音

天翔さん、コメントありがとうございます^^

えっと、ファリアがリボルバーをぶっ放した連中というのは、自分の――死霊使いファリアルド・トゥソードだった頃の自分の悪評を広めた連中ですね。
こいつらのせいでさらに極悪人扱いに……。こんな感じですかね^−^;

こんな簡単な理由で申し訳ないっす><

2006/05/26 00:11 No.24

猫塚 御音

 第3話「正義は我にあり!」act4


「そういえば、この街の郊外にある旧アルコス総合病院跡で昨日、大乱闘があったらしいっすよ!」
「旧アルコス総合病院跡!? ああ、死んだ兄のファリアルドと一緒に悪さをしてた連中の溜まり場になってるところだったな」
「ふう、やっぱりファリアルドさん死んじゃったんすね……。寂しくなったもんですね、ホント……」
「俺は寧ろ、死んでくれてありがとうってところだったけどな……。この街で一の極悪人だったし……」
「極悪人!? まあ、ド外道なこともやっちゃうような人でしたけど、一部の人間からは英雄と呼ばれてましたっす!」
「英雄!? ああ……サイクリア王国軍に大きな打撃を与えたはいいけど、力尽きて死んじまったって話だろ? この国の平和を守るためにたったひとりでサイクリア王国軍に立ち向かい、そして殉死――と褒め称えられていたな。まあ、実際、兄さんはそれをやっちまったからな。あの時はビックリしたよ、本当に――」

 アレフと一緒にファランは亡くなった兄――ファリアルド・トゥソードに対する思いを馳せる。
 しかし、悪いイメージばかりで善いイメージが浮かばない――
 それに彼が――ファリアルド・トゥソードが、サイクリア王国軍を相手にたったひとりで立ち向かい、そして力尽きたのか? その理由はともあれ、彼を英雄視≠キる者もいることは確かであることに正直なところファランは複雑な気持ちであった。
(兄さんはあのまま、死ぬべきだったのかもしれない――だけど、なんであんな姿になってまで戻ってきたんだろう?)
 そう胸中でつぶやきながらファランは、フリックとルナス父娘との会話に夢中な様子のファリアの方に視線を向ける。
(しかしなぁ、あの身体≠フ真の持ち主があの人物なら、大変なことになるぞ、きっと! そこらへんをよく理解しているんだろうか?)
 一縷の不安を抱きながら、ファランは胸中で溜息をついた。


 すべてが――四方八方すべてが真っ白な一室、まるで白い虚無に包み込まれているかのような一室に彼らはいた。
「貴公らに我が社が開発した最新鋭の武器を与える! 後は好きにするがいい」
 皺ひとつない豪奢な赤い軍服を思わせる衣装を身にまとうどこか昏いイメージを漂わせている老紳士は、自分の周囲をぐるりと360度見回しながら、陰鬱な声でそう言う。

「クヒヒ、了解してますよ、アーレン総統閣下」

 老紳士を中心に円卓を囲む形で集う12人の人物の姿が見受けられる。で、その12人のひとりが――好奇に満ち溢れた、という感じの笑い声を上げながら答えた。
「我々、〈サグマルス聖騎士団〉は常に貴方の味方です。この邪教に教えが普遍的に広まっているルナスティア大陸東方に住む者たちを救うためにも――」
「まったく、邪教の教えに満ち溢れているこの地を浄化せねばならぬ」
「そのためには、アーレン総統――貴方のお力添えが必要不可欠」
 老紳士こと、死の商人と恐れられるフォロスティオ公爵家現当主であるアーレン・フォロスティオ総統を中心に円卓を囲む形で集う12人の人物――〈サグマルス聖騎士団〉の面々は、そう連呼するように語り始める。
「ふん、邪教の教えがどうにかする前に、例の約束≠ヘ守ってもらうぞ!」
 アーレン総統は昏い光の宿る眼を〈サグマルス騎士団〉のリーダーらしき人物に向けながら、そう言い放つ。
「クククク、分かっておりますとも、アーレン総統閣下。貴方とも交わした密約――必ずや成就いたしましょう」
 〈サグマルス聖騎士団〉のリーダーらしき男――銀のマスクで顔の鼻から覆っている美丈夫は、喉の奥で昏く笑いながら、アーレン総統との密約≠ヘ必ず成就させる、と口約束する。
「う、うむ……。わしはあの娘≠フ安らかに眠らせておきたいのだ! それを妨害、邪魔立てした者を見つけ出して欲しい、と切に願っている――タダそれだけだ」
 アーレン総統は、多少なりに後悔したのだろう――と思える素振りを見せながらも意を決したように言い放つ。
「さて、ウォーミングアップとばかりに俺がちっとばっかしネレイド公国領内――シヴァラとかいう町へでも行ってくるとしよう。いいですかな、騎士団長殿?」
 〈サグマルス聖騎士団〉のひとりが円卓から立ち上がり、ニヤニヤと笑いながら許可を求める。
「ふ、勝手にするがいいさ。だが、事を荒立てるなよ、ベインティ」
「了解ですよ、騎士団長。俺は優しい、優しい騎士ですからぁ♪」
 ベインティという男は、左手の人差し指を横に振りながら、自分は優しい騎士である、と2度言うと、即行とばかりに今自分らがいる部屋を後にする。
(まったく、得体の知れない連中と結託してしまったものだ。だが、あの娘――ティアリスの死の安寧を乱した者を見つけ出すには彼ら≠フような存在が必要不可欠なのだ!)
 ベインティという男が立ち去ると同時に、アーレン総統は胸中でつぶやき五指の爪が手の平に食い込み血がにじみ出すほど強く、強く拳を握り締めるのだった。
 

2006/05/26 14:16 No.25

猫塚 御音

第3話「正義は我にあり!」act5


「うふふ、今日もいい日差しだわぁ。お花さんたちも喜んでいるですの」
 シヴァラの町の中でもっとも賑わっている場所。それは当然、繁華街である。
 さて、そんな繁華街とは対照的な穏やかでなにもない閑静な住宅街との中間点には、〈天の花園〉という店名の一軒の花屋がある。で、その花屋〈天の花園〉の女主人であり、ルナスティア大陸東方の土着民である有翼人ノルンの女性でもあるピュティアは、天空で燦々と輝く太陽、食べ物や動物の姿にそっくりな真っ白な雲、それらを見上げながらボーッとしていた。

「今日も一日、穏やかに過ごせますように――太陽さんにでもお願いするですの」
 金髪碧眼で長身痩躯、おまけに妖しい色気を兼ね備えた容姿端麗な美女――という外見を台無しにし

ているトロくさい物腰、それに寝ボケてまどろんでいるような容貌が、別の意味で印象的な女性であるピュティアは、両手を胸のところで組みながら、天空で燦々と輝いている太陽に対し、そんな願いをする。
「うふふ、太陽さん、私の願いを聞き入れてくださるかしらね。うんうん、きっと大丈夫ですの」
 当然、太陽は彼女の願いなんて聞き入れるわけがないのだが、思い込みが激しいピュティアには、まるで自分の願いが通じたかのように思えているのだった。

「なあ、薔薇の花を一輪売ってくれないかな、お嬢さん」
 さて、青々とした清々しい天空を眺めながらボーっとしているピュティアに対し、薔薇の花を一輪売ってくれ――と声をかける者が現れる。
「はい、はい〜♪ 薔薇の花一輪ですね?」
 ニコやかに自分に声をかけてきた者がいる方へと視線を向けるピュティアの如何にも寝起きでまどろんでいそうな双眸に、黒で基調したジャケットにズボン、そんな衣装の上から黒い十字架の刺繍が施された純白のマントを羽織る背の低い20代半ばくらいの若い男が映り込む。

「うふふ、彼女への贈り物ですか? それだったらもっと買ってくださいですの♪」
「いや、そーゆーわけではないのだ。薔薇の花を墓前に供えてやらねば――と思っている人物がいるのでね」
「ほえ〜……。お墓参りですの?」
「まあ、そんなところだ」
 ピュティアは彼女への贈り物ならもっと薔薇の花を買ってください、と勧めるが、男は墓前に供える花である、無表情で答える。
「ところで貴方は冒険者さんですか?」
「ふ、俺には彼らのような飽くなき探究心はない。とりあえず、邪教の教えが普遍的に広がっているこの地を正義≠フ名の下に改正すべくやって来たのだ!」
 冒険者ですか? と尋ねるピュティアに男は、邪教の教えが普遍的に広がっているこの地――ルナスティア大陸東方に正義をもたらすためにやって来たと言い放ちニヤリと微笑む。

「わぁ、すごいですの♪ だけど、東方に来る人たちはみんな甘く見すぎですの」
「ほう、それはどういうことかな?」
「この地にはヒトの姿に化けているドラゴン族――まあ、とにかく、危険がいっぱいですの。だから、女子供だと思って甘く見ていると――」
「う、うむ……。肝に免じておこう」
 ――と、ピュティアは自分の目の前から立ち去ろうとする男に対し、ニコニコと微笑み笑みながら、そんな注意をする。
(ふん、なにが危険がいっぱいだ! 我々には――正義≠ェあるのだ! 我々の正義の前のすべてがなにもかもがひれ伏すのだ!)
 ピュティアの注意を受け、肝に免じる――と言いながらも男は――ベインティは、そう胸中ではふん、と鼻で笑うのだった。

2006/05/27 18:25 No.26

猫塚 御音

 第4話「甘く見てはいけません!」


 ルナスティア大陸東方は小国であるネレイド公国――というか東方全域では、『神なんかいるかよ!』なんて考えの無神論者も数多いが、そこらへんに無造作に落ちているゴミクズや石コロ、そして生態系の頂点に立つ生物まで万物のすべてに神が宿ると説く多神教のコートニス教の教えが何百年、何千年も昔から根付いている。
 そんなところに西方から厳格な光明神ディオフォレスのみを唯一の神として崇め奉る一神教のディオフォレス教が伝来する。
 さて、こんな理由もあり、しばしば宗教対立も起こっていたりするのが現在のルナスティア大陸東方の情勢であった。


(ふう、近頃、ディオフォレス教の連中が活発だな。件の〈サグマルス聖騎士団〉とやらの来訪が原因なのかな……)
 頭に包帯、右目に眼帯、左腕をギブスで固定した痛々しい姿の若い女――怪我姫≠アとミント・ハーシェルは、チーズバーガーが口にくわえながら、道行く人々に対し、手当たり次第に説法でもして歩いているような聖職者を思わせる人物の様子をレストラン〈黄金の鶏〉の出入り口近くの窓辺からジッと見つめていた。
「あの連中が気に食わないのかい?」
 ファリアが棒アイスをペロペロと舐めながら歩み寄り、そう尋ねるとミントは不機嫌そうに眉をひそめる。
「ああ、あの連中は気に食わないな。なんというのかな――土足で人の家に入り込んで、あーでもないこーでもない、と説法を説いているように思えるんでね」
 なにか――そう嫌なことでもあったんだろうか? とそう思えるような仕草を見せるミント。
「まあ、僕もそうだな。あの連中は気に食わないね」
 棒アイスをペロペロ舐めながら、窓の外――手当たり次第に道行く人々にディオフォレス教の教えを説いている様子がうかがえる聖職者に対し、冷ややかな視線を向ける。
「まあ、とりあえず――あの連中の派閥の一角である〈サグマルス聖騎士団〉が、このシヴァラの町へ来ているということも跳梁の理由のひとつだろうな」
 ミントは、さらに不機嫌そうな物腰を見せながら、アイスコーヒーの入ったカップをすする。で、窓辺からジッと外の様子を――ディオフォレス教の聖職者を憎々しげに見つめる。

「なあ、今からアクアリス様のところへ行くのだが、キミも一緒にどう? もしも、キミの本当にあの男≠フ娘なら、あの方に逢っておくべきだと思うのだが――」
 アイスコーヒーの入ったカップをすすりながら、あの男――ファリアルド・トゥソードの本当の娘ならアクアリスという人物に逢っておくべきでは? そうミントはファリアに勧める。
「うん、じゃあ、行こう、行こう」
 ファリアは快く、一緒に行こうと言うが――
(アクアリスか――まあいい。逢っておいても不備はないな。それにアイツは利用できるしな)
 胸中では、そんな策謀を企むのであった。

2006/05/28 22:27 No.27

猫塚 御音

 第4話「甘く見てはいけません!」act2


 ネレイド公国――サイクリア王国のような大国も存在するが、人跡未踏の地が数多く存在し、冒険者

と呼ばれる連中を虜にするルナスティア大陸東方にあるヴィシュヌマート、ブラフマリス、シヴァラと

いう3つの町で構成された小国である。
 その首都として機能する3つの町のひとつヴァシュヌマートに住まう公王グリムハルトは、賢王

と称され人々が厚い信頼を――名声を得ている。
 さて、そんな賢王グリムハルトの娘であるアクアリスが町長を務めるシヴァラの町の町長官邸前では

、今ちょっとした暴動が起きていた。

「おらおら、金返せやぁぁぁ! この借金女ぁぁぁ!」
「期限は3日も過ぎてるんだぞ、このクソアマぁぁぁぁ!」
「金の貸し借りがきっちり守ってもらわないと困ります!」
「まったく、なんでアンタみたいな女が、あのグラムハルト公王の娘なんだ!」

 絶叫、絶叫、怒声、怒声――金を返せ≠ニ大声で連呼する人々の声が響きわたる。
 シヴァラの町民――町長であるアクアリスのギャンブル仲間たちが、貸した金品を返却してもらうた

め、ここシヴァラの町の行政区画にある町長官邸前の集まっているのである。
「う、うみゅううう〜……ご、ゴメンなさいですぅ!」
 町長官邸2階奥にある『町長室』と書かれたプレートが貼ってある部屋の窓際にある机の下で、ひと

りの女が頭を抱えてガクガクと震えている様子がうかがえた。
 この女こそ、シヴァラの町の町長であるアクアリスである。
(ふう、またお友達連中から借金ですか……。まったく、この人ときたら……)
 町長であるアクアリスの秘書であるラインフォードという男は胸中で嘆いていた。こんな人物に下で

働いていることに――
「町長、とりあえず連中にお金を全額返品した方がよろしいかと? あの連中はなにをするかわかりま

せんしね」
 ラインフォードは懐から取り出した手帳をパラパラと捲りながら、アクアリスが作った借金の金額が

記載されているページを見つめ、自前の眼鏡をクイッと右手の中指で押し上げる。
「うにゅ……。そんなにお金を借りた覚えないのにぃ! なんで責め立てるんですかぁ!」
 アクアリスは机の下から見上げるかたちでラインフォードを見つめながら、不思議そうに首を横にか

しげる。
(はあ、ダメだ、こりゃ……)
 ラインフォードは大きな溜息をつく。
 アクアリスは一見すると清楚でおしとやかなお嬢様、という外見なのだが――
(この人のギャンブル好きには嫌気がさすよ、まったく……)
 ラインフォードが胸中で嘆息をつくように、アクアリスのギャンブル好きには最悪なものがあるよう

だ。
「ふう、一応、自分が調べた限りでは500万Gは、あの連中からお金を借りていますね」
 ラインフォードは溜息をつきながら、メモ帳に記載されたアクアリスがギャンブル仲間に借りまくっ

たお金がいくらか、と綿密に記載されたページをそんなアクアリスに見せつける。
「う、うにゅうう〜……」
 突きつけられ真実に驚くアクアリスの綺麗に整った顔が徐々に真っ青となっていく。
「みゅ〜……。500万Gですかぁ……。うう〜ん、そんなに借りた覚えないんだけどなぁ……。ま、

いいかぁ〜♪」
 本当に500万Gも借りたのだろうか? と本気で悩むアクアリス。
(ふぅぅぅぅう……。この人の天然ボケにつき合うのが本当にイヤになってくるよ)
 天然ボケ、というかなんというか、アクアリスのあまりにも気楽で適当な考え方にラインフォードは

深い、深い、深〜い溜息をつく。
 ――とまあ、そん時だった。

 ズドオオオンッ! ズドオオオンッ! ズドオオオンッ!

 耳障りな轟音――銃声が3回ほど、外から響きわたってくる。それと同時に町長官邸前で借金返済を

求めるアクアリスのギャンブル仲間と思える連中の声が聴こえなくなる。
「え、何々!?」
 銃声の驚いて机の下から飛び出すアクアリス。
 その刹那――彼女がいる『町長室』というプレートが貼ってある部屋へと、物々しい闖入者が入り込んで来る。気まずそうな物腰のミントと、右手に黄金の回転式拳銃を握っているファリアのふたりだ。
「ちょ、町長失礼します!」
「どうでもいいけど、外のうるさい連中は追っ払っておいたよ」
 闖入者は――ミントとファリアは、そう言いながら、唖然としているアクアリスの許へと歩み寄る。

2006/05/29 20:17 No.28

猫塚 御音

 第4話「甘く見てはいけません!」act2


 ネレイド公国――サイクリア王国のような大国も存在するが、人跡未踏の地が数多く存在し、冒険者と呼ばれる連中を虜にするルナスティア大陸東方にあるヴィシュヌマート、ブラフマリス、シヴァラという3つの町で構成された小国である。
 その首都として機能する3つの町のひとつヴァシュヌマートに住まう公王グリムハルトは、賢王≠ニ称され人々が厚い信頼を――名声を得ている。
 さて、そんな賢王グリムハルトの娘であるアクアリスが町長を務めるシヴァラの町の町長官邸前では、今ちょっとした暴動が起きていた。

「おらおら、金返せやぁぁぁ! この借金女ぁぁぁ!」
「期限は3日も過ぎてるんだぞ、このクソアマぁぁぁぁ!」
「金の貸し借りがきっちり守ってもらわないと困ります!」
「まったく、なんでアンタみたいな女が、あのグラムハルト公王の娘なんだ!」

 絶叫、絶叫、怒声、怒声――金を返せ≠ニ大声で連呼する人々の声が響きわたる。
 シヴァラの町民――町長であるアクアリスのギャンブル仲間たちが、貸した金品を返却してもらうため、ここシヴァラの町の行政区画にある町長官邸前の集まっているのである。
「う、うみゅううう〜……ご、ゴメンなさいですぅ!」
 町長官邸2階奥にある『町長室』と書かれたプレートが貼ってある部屋の窓際にある机の下で、ひとりの女が頭を抱えてガクガクと震えている様子がうかがえた。
 この女こそ、シヴァラの町の町長であるアクアリスである。
(ふう、またお友達連中から借金ですか……。まったく、この人ときたら……)
 町長であるアクアリスの秘書であるラインフォードという男は胸中で嘆いていた。こんな人物に下で働いていることに――
「町長、とりあえず連中にお金を全額返品した方がよろしいかと? あの連中はなにをするかわかりませんしね」
 ラインフォードは懐から取り出した手帳をパラパラと捲りながら、アクアリスが作った借金の金額が記載されているページを見つめ、自前の眼鏡をクイッと右手の中指で押し上げる。
「うにゅ……。そんなにお金を借りた覚えないのにぃ! なんで責め立てるんですかぁ!」
 アクアリスは机の下から見上げるかたちでラインフォードを見つめながら、不思議そうに首を横にかしげる。
(はあ、ダメだ、こりゃ……)
 ラインフォードは大きな溜息をつく。
 アクアリスは一見すると清楚でおしとやかなお嬢様、という外見なのだが――
(この人のギャンブル好きには嫌気がさすよ、まったく……)
 ラインフォードが胸中で嘆息をつくように、アクアリスのギャンブル好きには最悪なものがあるようだ。
「ふう、一応、自分が調べた限りでは500万Gは、あの連中からお金を借りていますね」
 ラインフォードは溜息をつきながら、メモ帳に記載されたアクアリスがギャンブル仲間に借りまくったお金がいくらか、と綿密に記載されたページをそんなアクアリスに見せつける。
「う、うにゅうう〜……」
 突きつけられ真実に驚くアクアリスの綺麗に整った顔が徐々に真っ青となっていく。
「みゅ〜……。500万Gですかぁ……。うう〜ん、そんなに借りた覚えないんだけどなぁ……。ま、いいかぁ〜♪」
 本当に500万Gも借りたのだろうか? と本気で悩むアクアリス。
(ふぅぅぅぅう……。この人の天然ボケにつき合うのが本当にイヤになってくるよ)
 天然ボケ、というかなんというか、アクアリスのあまりにも気楽で適当な考え方にラインフォードは深い、深い、深〜い溜息をつく。
 ――とまあ、そん時だった。

 ズドオオオンッ! ズドオオオンッ! ズドオオオンッ!

 耳障りな轟音――銃声が3回ほど、外から響きわたってくる。それと同時に町長官邸前で借金返済を求めるアクアリスのギャンブル仲間と思える連中の声が聴こえなくなる。
「え、何々!?」
 銃声の驚いて机の下から飛び出すアクアリス。
 その刹那――彼女がいる『町長室』というプレートが貼ってある部屋へと、物々しい闖入者が入り込んで来る。気まずそうな物腰のミントと、右手に黄金の回転式拳銃を握っているファリアのふたりだ。
「ちょ、町長失礼します!」
「どうでもいいけど、外のうるさい連中は追っ払っておいたよ」
 闖入者は――ミントとファリアは、そう言いながら、唖然としているアクアリスの許へと歩み寄る。
-------------------------------------------------------------------------------

文章がズレたんで修正しました><
申し訳ありません。

2006/05/29 20:23 No.29

天翔 薫


 こんばんは。

 いろんな国の、街の、いろんな人物が登場してきましたね。
 お陰で、文字通り『陰』に隠れているファラン…(泣
 なんか、主人公なのに『汚い、弱そう』ってイメージしかないんですけど…(失礼‥

 ま、天翔は、ファリアがお気に入りなのでいいです。
 大いに暴れて欲しいんです。
 所かまわず、ずかずか土足で踏み込んで、トラブルメ−カーっぷりを発揮しちゃってください!そして、リボルバーの引き金引いちゃってください!

 (ファリア暴走(F)×リボルバーの引き金引く(R)=天翔のテンションが↑(TU))
 
 
 新キャラ・ベインティが天翔の心をくすぐる予感…(笑
 密かに期待してます。

 更新、頑張りましょう!(オーゥ!

2006/05/29 23:25 No.30

猫塚 御音

感想ありがとうございます^^

ん〜、一応、ファランの影の薄さはある伏線ってことでw
まあ、近々、彼がちと酷い目に遭うと思います(ぁ
あのベインティによって……。

そんなこんなで今、物語を構成中です><

2006/05/30 13:49 No.31

猫塚 御音

第4話「甘く見てはいけません!」act3


「ひええええッ! ミ、ミントちゃんはともかく、拳銃を持った貴女は誰ですか!」
 アクアリスは悲鳴を上げながら、ピーンッと両手を頭上に上げた状態で硬直する。
「あ〜……っと、こりゃ失礼」
 如何にもわざとらしく、黄金の回転式拳銃をクルクルと右手の人差し指で回しながら、ファリアはニヤニヤと微笑み。その次の瞬間、フッと黄金の回転式拳銃がバァッと光の粒子となり、持ち主であるファリアの手許から消失する。
「ん、これでいいかな?」
「う、うんうん」
 ファリアが黄金の回転式拳銃を目の前で消して見せると、両手を頭上に上げたままの状態で硬直しているアクアリスは、うんうんと言いながら何度か頷く。
(ハーシェル家の令嬢であるミントさんはともかく、あの娘の容姿……。前にどこかで……。それにあの男≠ニ同じ匂いがする。気のせいだろうか――)
 ミントとはそれなりに面識がある一方で、ファリアとは初対面であるのだが、前にどこかで逢ったようなデジャヴュ――錯覚を覚え、怪訝そうに彼女を見つめるのだった。


「さ、さて、アクアリス様。あの娘は――あの男の娘≠ニ言えば察しがつきますよね?」
 気まずそうな雰囲気を打開――のつもりでミントはそう言ったつもりであったが――
「きゃ、きゃあああああああああああああああああああッ! あ、あの死霊使いのむ、娘ですってぇ!?」
 開いた口がふさがらない、という感じで両目をぱちくりさせながら、呆然とするラインフォードはともかく、あの男の娘=\―と聞いた途端、アクアリスは両手を頬のところに当てながら、魂の叫びと言ってもいいような絶叫というか悲鳴をを張り上げる。
(むむ、あの男の娘≠ニいうだけで、この反応――余程、怖い思いをしたのだろうか?)
 ミントは神妙なそうに悲鳴を張り上げるアクアリスを見つめながら、胸中で彼女とあの男――ファリアルド・トゥソードとの間に、一体、何があったのだろう? と想像する。
(想像すると怖いなぁ……。私もあの男の奇行を何度も目の当たりにした者だ。まあ、なんとなく分かる気がする)
 ファリアルド・トゥソード頃のファリアの奇行を少なからず何度も目の当たりにしているミントは、思わず冷や汗をかく。

「さて、僕があの男――ファリアルド・トゥソードの娘だって分かったんなら、ちょっとした頼みを聞いてくれるかな? アクアリスのお姉ちゃん♪」
 ファリアは実にわざとらしく、そして親近感でも持ってもらおうと企みアクリアスに抱きつく。で、彼女の耳元で、そう囁く。
「た、頼みごとってなぁに!?」
 相手がどんなに悪逆非道な人間であろうが、お人好しで物事を深く考えないところがあるアクアリスは頼まれた断れない――という性格をしている。そんなこんなで、なにも考えずに用件を強張った声で訊く、アクアリス。
「キミの父上でありグランハルト公王に謁見したんだけどいいかな?」
 ファリアはアクアリスの父親であり、ネレイド公国の王であるグランハルト公王に謁見したい、と言う。
「お父様に?」
「うんうん、そう、キミの父親であるグランハルト公王にさ。つか僕があの男の娘だって言えば、逢わないなんて言えないと思うよ、クククク」
 と、ファリアは喉の奥で笑いながら、そんな意味深な言葉をアクアリスの耳元で囁くのだった。

2006/05/30 23:03 No.32

猫塚 御音

 第4話「甘く見てはいけません!」act4


「うみゅ〜……それはいいんだけどさぁ。ここ数日、お父様は忙しいみたいよ。〈サグマルス聖騎士団〉とかいう連中や、あの死の商人なんて言われているフォロスティオ公爵家の現当主であるアーレン・フォロスティオ氏あたりと毎日のように謁見してるらしいし――」
 えへへ、と苦笑を浮かべながら、アクアリスは気まずそうにそう答える。
「うぬ、そ、そうなんだ……」
(ふん、あいつらも必死なんだな。まあ、とりあえず近日中にでも謁見できれば、それでOKかな)
 グリムハルト公王は、ここ数日、〈サグマルス聖騎士団〉及び、死の商人と呼ばれることもあるフォロスティオ公爵家の現当主であるアーレン・フォロスティオらとの謁見で忙しい、とアクアリスから聞いてファリアは、不機嫌そうに口許をへの字に歪めるが、胸中では近日中に逢えれば、それでいい――と策謀を練るかのようにつぶやく。

「あああ、忘れてましたぁ。さっき、〈サグマルス聖騎士団〉のひとりだって名乗る背の低い男の人が、『死霊使いファリアルドの自宅はどこだ?』なんて物々しい雰囲気で尋ねてきたんで一応、彼の――

貴女のお父様のお家を教えておきましたよぅ」
 大切なことを忘れたいた、とばかりにそう説明するアクアリスは、左手の人差し指を口許に当てながら、首を横に傾ける。
「な、なんだってー! チッ……アンタって人は何故、こうも口が軽いんだ!」
 アクアリスが死霊使いファリアルドの自宅――ファリア&ファラン自宅の場所を〈サグマルス聖騎士団〉のひとりであると名乗る男に語ったことにファリアの怒りは爆発する。
「くっ……! こうしちゃいられないな――一時的に自宅へ戻ることにするよ。じゃ、また来るんで、その時までに謁見できるよう取り計らっておいてね!」
 キッとファリアの愛らしく、そして整った顔に強烈な殺気が彩る。で、アクアリスに対し、睨むような視線を向けながら、そう言い放つと吹き抜ける一陣の疾風のごとき勢いで、ここ町長官邸内の一室である『町長室』というプレートが貼ってある部屋を飛び出していく。
「うみゅみゅ……。なぁに、あの娘は――」
「さ、さあ……」
 アクアリスと秘書のラインフォードは、唖然、呆然としながら、お互いの顔を見合わせるのだった。
「とりあえず、私は彼女を追ってみることにします! それでは失礼します!」
 ミントは軽く会釈をすると、ファリアの後を追いかけるかのようにアクアリスとラインフォードの目の前から踵を返し、彼女もまた『町長室』というプレートが貼ってある一室から立ち去るのだった。


 西の地平線の彼方で太陽が、今日の最後の大仕事を――とばかりに虚空を紅に染め上げる黄昏時、男はシヴァラの町の閑静な住宅街をウロウロとしながら、なにかを嗅ぎ回っていた。
「死霊使いファリアルド・トゥソードか――」
 男の口から不意にファリアの名が――
「俺は、あの男の生死の確認、そして万が一の時は――」
 男は――ベインティは、キッと紅に染まる虚空を見上げる。

「ふう、今日も色々忙しかったぜ! さて、帰ったら飯なんか食わないで寝ような……」
「ちょっとぉ、怠け者のやることだよ、それ〜!」
 偶然、ベインティの横をファランとルナスが通りすがる。
(今の男、確か――)
 ベインティは見逃さなかった。自分を横を通りすがるファランを――死霊使いファリアルド・トゥソードの弟の姿を。
「おい、お前――ファリアルド・トゥソードの弟だな」
 ベインティはゾッと全身に寒気が走るような冷ややかな声でファランを呼び止める。
「ん、なに?」
 呼び止められてファランは何気なく振り返るが、次の瞬間、顔面にベインティが持ち合わせる長剣の柄尻が直撃するのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

うわあ、グリムハルト公王とグランハルト公王と名前間違いで投稿しちゃいました><
皆様、申し訳ありません><

2006/05/31 23:18 No.33

猫塚 御音

 第4話「甘く見てはいけません!」act5


不意打ちとばかりにベインティは、たずさえている長剣の柄尻をファランの顔面に突き込む。
「ぬあああああっ! な、な、なにをするんだ、この野郎!」
 ドロッとした鼻血がファランの左右の鼻の穴から滴り落ちる。そんな状態だがファランは、キッとベインティを睨みつける。
「お前が、あの男の弟だからだ! 恨むなら、兄≠恨むんだな!」
 そう言い放つと、今度は長剣の刃が収まった鞘の部分でファランの顔面を殴り飛ばす。

 ゴシャッ!

「ぐああああ!」
 ファランはぐるりと一回転しながら、後方へ吹っ飛ぶ。
「きゃあああああああああああああああああああああっ! だ、だれかぁぁ!」
 一体、なにが起こったのか? 事態が飲み込めず呆然としていたルナスだったが、ファランが一回転しながらぶっ飛ぶ様を見て、ようやく――という感じで悲鳴を上げる。
「おい、黙れよ!」
「ひっ!」
 悲鳴を上げ、助けを求めるルナスの首筋にベインティは刹那の一瞬で鞘から抜いた長剣の刃を突きつける。
「俺は女だろうが容赦はしないぜ! これ以上、騒ぐようなら、その白くて細い首が宙を舞うことになるぞ!」
 冷ややかで、そして殺気立った声色でベインティはルナスを睨みつける。
「ひ、ひああっ!」
 当然とばかりにルナスは、そんなベインティの行動に圧倒され、ついでに戦慄を覚えて金縛り状態に陥る。
「さて、貴様に問おう――」
 冷ややかな声で殺気立った声色のベインティは、足許で倒れているファランの胸倉を左手でグワッと掴み上げる。
「な、なんだよ!」
 鼻血をダラダラと垂れ流しながら、ファランは毅然とベインティを睨み返す。
「ほう、まだ痛めつける必要があるようだ」
 そんなファランに対し、ベインティは右手に握る長剣の切っ先をファランの喉許に突きつけながら、
「貴様の兄――ファリアルドは存命か? 否か? さっさと答えろ!」
 と怒鳴る。
「な、なにを言うかと思えば……。そ、そんなはずないだろ! 兄さんは、死んだんだぁ!」
 とりあえず、そう答えるファランだが、恐怖よりも怒りが沸きあがる。それがある行動へと彼の心を駆り立てるのだった。
「人になにかを尋ねるなら、そんな態度あるかっつーの!」
 奥の手――そうファランにも使えるのだ、魔法≠――
「なにぃ!?」

 ズガァァンッ!

 ファランが右の手の掌に小さな炎が生まれ、それが彼を舐めてかかっていた故に油断をしたベインティの顔面を目がけて飛び交い――次の瞬間、見事に直撃、それと同時に爆ぜるのだった。

2006/06/01 22:05 No.34

猫塚 御音

第4話「甘く見てはいけません!」act6


「ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
 ファランの右手の掌より生み出された小さな炎が飛び交い彼を油断し、そして雑魚と踏んで甘く見たベインティの顔面を直撃、その刹那、真紅の炎を巻き起こしながら爆裂する。
 とりあえず、即死は免れたようであるが、ベンティの顔面は焼けただれ、鼻と右目が吹っ飛び元の容貌とは比べ物にならないほど、痛々しくその原型が失われる。
「グア、ゴアアアアアッ! ガアアアアアアアッ!」
 勢いよくベインティは仰向けに倒ると、原型を留めないほど痛々しい様となった顔面を両手で押さえ人間の声とはとても思えない獣の咆哮と言ってもいいような奇声を張り上げながら、地面をのた打ち回る。
「よ、よし、今のうちに逃げよう!」
「う、うん!」
 ベインティが地面をのた打ち回って苦しみもだえているうちに――ということで、その隙を突いてファランはルナスの手を引いて、その場から一目散に逃走する。
「ゴ、ゴアアアアアアアッ! に、逃がさんぞぉ、キサマァァァ!」
 だが、ベインティはものの数秒後には立ち上がり、その痛々しく豹変した顔面に鬼神のごとき怒りを彩らせながら、自分の下から逃げ出したファランとルナスを自我を無くし、暴れ狂う修羅となって追いかける。
「ひいいいっ! なんだよ、あいつは! くそ、またこいつで!」
 ファランは再び魔法を行使する。今度は蜜柑ほどの大きさの氷の塊がファランの右手の掌に生み出される。で、それをファランは修羅となって追いかけてくるベインティ目掛けて投げつけるが――
「ガアアアアアアッ! そんなもの役に立つと思っているのか、キサマァァァァ!」
 殊の外、あっさりと氷の塊は、ベインティは持ち合わせる長剣によって切り払われてしまう。
「うわああんっ! どうするのよ、あっさり切り払われたじゃない!」
「う、うるさいな! じゃ、これでどうだ!」
 ファランは再び蜜柑ほどの大きさの氷の塊を右手の掌の上に生み出す。それを何個を生み出し、ベインティに背を向けた形だが連続で投擲する。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁぁぁ!」
 だが、そのすべてがあっさりと、殊の外、あっさりと切り払われてしまう。
「くそぉぉ! じゃあ、こいつをお見舞いするぜ!」
 ファランは奥の手を使用とばかりに、なにか自身の誇れる最大級の魔法を行使しようと思い立ち、キッと意を決して立ち止まるのだが――

 ドガアアアアアアアアアアアアッ!

「え、えええッ!?」
 まるで空間を切り裂くかのように、どこからともかく颯爽と出現した漆黒の巨馬がベインティを撥ね飛ばすのだった。
「こ、この馬は!? ス、スレイプニル! ま、まさか……!」
 ファランは半ば呆然としながら、突如として出現した漆黒の巨馬をスレイプニル≠ニ呼び、ガタガタと身を震わせつつ漆黒の巨馬を見上げると、そこには――
「ふう、間に合ったな」
「ひいいっ! こ、こんな巨馬に乗ったのは初めてだわ!」
 漆黒の巨馬の背にはニヤリと微笑みながらファランを見下ろしているファリアと、そわそわとした忙しない物腰のミントが騎乗しているのだった。

2006/06/02 22:14 No.35

天翔 薫


 出た! ベインティ!
 ファランに顔焼かれて、スレイプニルに撥ね飛ばされ……、
とどめはやっぱりファリアのリボルバー?
 ベインティ、お前は何をしに来た?もう少し頑張れ!

 漆黒の巨馬カッコいいです。天翔の好きな漫画「花の慶次」の慶次の友・松風みたいです!
でも、馬上にいるのは小柄な少女ファリアなんですよね。そのギャップがまたたまらなくよいです!気になっているんですが、ファリスはファランのこと心配しすぎ?ブラコンというか、過保護すぎると言うか……ね?
 
 ベインティの運命は如何に?
 楽しみです。更新頑張ってください!

2006/06/03 01:02 No.36

猫塚 御音

天翔さん、感想ありがとうござます!

えっと、一応、「花の慶次」の松風、「北斗の拳」の黒王号をモデルにしてます^^
てか、主人公の愛馬のようなキャラを出してみようかなって企んでましたw
ちなみにスレイプニルは北欧神話の主神オーディンの8本足の愛馬の名前を流用しました!

ベインティに関しては、これからちょっとした変身があるかもしれません^^;

2006/06/03 07:09 No.37

猫塚 御音

 第4話「甘く見てはいけません!」act7


 威風堂々とした黒光りした巨大な体躯、まさに王者が跨るに相応しい覇気すら感じさせる巨大馬――スレイプニルに跨る小柄な少女ファリア。
 その姿とのキャップが、ある意味で観る者を呆然とさせる一方で畏怖の念すら抱かせる。
「ねえ、このお馬さんは確か――」
「ああ、兄さんの愛馬――スレイプニルだ」
 ファランはともかく。ルナスも漆黒の巨馬スレイプニルに見覚えがあった。
「あれ、あの男がいないよ……」
 不意にルナスは、ベインティの姿がどこにもないことに気がつく。
「お、確かに、あの男がいないな。逃げたのかな……。ならいいんだが」
 ファランは思わずホッとする。そりゃ殺されかけたことだし。彼の今の心境は分からないでもない。
「あの男!? ああ、スレイプニルに弾き飛ばされあいつか?」
「そ、そうそう」
「ああ、あいつなら町外れの方へ逃げていったよ。とりあえず、僕はあの男を――タダで帰す気がないからね。ちょっと追いかけてみるよ」
「ちょ、ちょっと、兄さ……いやいや、ファリア待って!」
 ファランに顔を焼かれ、スレイプニルの巨体に跳ね飛ばされたベインティは、この閑静な住宅街から町外れの方へと逃げていった――とファリアは言う。で、ダタで帰すわけにはいかない、とばかりにファリアは、漆黒の巨馬スレイプニルに騎乗したまま町外れへと踵を返す。
「うわ、私はここで降りたいんだけど……」
 ミントは、ここでファリアとともに騎乗するスレイプニルの背から降りたいと言うのだが――時にすでに遅しであった。
「はあ……」
 そうミントが溜息をついた次の瞬間、スレイプニルは紅に染まる黄昏時の虚空を背に疾風のごとき勢いで町外れへと駆け出す。
「ねえ、とりあえず、あたしたちも町外れへ行ってみない?」
 一度は殺されかけたのに――だけど、一度抱いた興味はなかなか拭い去れない、という心境なのだろうか? ルナスは自分たちも町外れへ言ってみよう、と切り出す。
「う、うん、まあいいけど……」
 ファランはしぶしぶ了解すると、うつむきながら溜息をつく。

 シヴァラの町の町外れ――今じゃ半スラム街状態となっている旧繁華街があるそんな場所であるが、それなりに人が集まっているので寂れていないのだが、町の治安を乱す盗賊団や野党の巣窟と化している。そんなこんなで、よく町外れで逮捕される悪党も多い。
 それはともかく。
「ぐ、ぐううううううっ! こ、この俺がぁぁっ! 〈サグマルス聖騎士団〉12聖騎士の俺がぁぁぁぁぁっ!」
 町外れに逃げ込んだベインティの脳裏では、憎悪、怒り、そして激しく傷ついた誇りが交錯し、彼を混乱させる。
「あぁぁぁんなぁぁぁ男にぃぃぃぃ! 何故ぇぇぇ、このぉぉぉ俺がぁぁぁあ!」
 ベインティはファランによって顔を焼かれ、同時に騎士としての誇り、品性、人間としての理性も焼かれてしまった様子である。
「こ、こ、こ、こうなったらぁぁぁ! 機兵だぁぁっ! 機兵でぇぇぇぇ!」
 声色も怒りと憎悪が彩り、そして歪んでしまったそんなベインティは、懐から小さな人形にような物を取り出す。
「ヒヒヒヒィィ……。これで、これで、これでぇぇ!」
 ベインティの音程のズレた不気味な哄笑が響きわたる。
 その次の瞬間、ベインティの身体から不気味な閃光がほとばしると、徐々に巨大化し、あっ言う間に悪意に満ちた無骨な鋼の巨人の姿へと変貌、移行する。
「き、機兵だと!? ち、西側の人間は面倒なモノを持ち込む癖があって困る!」
 巨大化、機兵とやらに変身したベインティの姿をスレイプニルに騎乗しながら、遠目で見つめるファリアは、大きな溜息をついた。

2006/06/03 23:44 No.38

猫塚 御音

 第5話「機械仕掛けの兵士」


「ヒャッハハハハハハァァ! 壊れろ、壊れろ、壊れろぉぉぉぉぉ!」
 ドラム缶に頭、腕、足が生えたような無骨な鋼の巨人――〈機兵〉の姿に変貌を遂げたベインティは奇声としか思えない哄笑を響かせながら、半スラム街と化したシヴァラの町の町外れで大暴れする。
「うわーっ! なんだ、あれはぁぁぁ!」
「に、逃げろ、逃げろ!」
「く、くそー! なんだ、あいつは!」
 〈機兵〉の全長は約15〜20メートル弱である。
 そんなこんなで、無骨で巨大な鋼の巨体である〈機兵〉が手当たり次第に建物を破壊し、暴れまわるものだから、当然とばかりに、町外れに住まう者たちにとっては大迷惑である。
「この野郎! よくも俺様の家を! 許さんぞぉぉぉぉ!」
 勇猛果敢……いやいや、無謀で馬鹿なひとりの男が金属バットを両手に構えながら、〈機兵〉の目の前に立ちはだかるのだが――
「ぐわああああああっ!」
 呆気なく、そりゃもう呆気なく、〈機兵〉の一撃で男はノックアウトする。
「あいつらがいるのはぁぁ、あっちかぁぁ!」
 無謀で馬鹿な男のことはさておき。
 町外れにある建物を次から次へと破壊しながら、ベインティ――〈機兵〉は、ファランの自宅がある閑静な住宅街がある方向へと向かおうと企む。
「おおっと! そんな馬鹿デカイ図体でウロチョロされちゃ近所迷惑だって分からないのかい、アンタは!」

 ドガアアアアアアアアアッ!

 そう叫びながら、町外れに駆けつけたファリアが、ミントとともに騎乗する漆黒の巨馬スレイプニルで〈機兵〉に体当たりを食らわせるのだった。


2006/06/04 23:55 No.39

猫塚 御音

第5話「機械仕掛けの兵士」act.2


 ルナスティア大陸西方のアルシルトという小さな農村で発見された先史文明の遺跡から、機械仕掛けの兵士――〈機兵〉が何体も発見され、そんなルナスティア大陸西方諸国の人々を多いに驚かせる。
 しかも、保存状態が超がつくほど極めて良好であった、とか。
 とまあ、そんなこんなですぐにでも使えるほどであったが、それなりに魔力を持った人間でないと動かすことができないという難点を孕んでいる代物であった。
 とりあえず、非力だけど持ち前の魔力には自信があるような魔術師等の連中が主に使用しているという。
 さて、その〈機兵〉には2種類存在する。

 人間が乗り込んで動かすタイプと、「〈機兵〉は〈機兵〉でも、あの〈機兵〉は融合型だね! 融合型は普段は手の平に収まるほどの小さな人形だけど、持ち主が自身の魔力を注ぎ込むと同時に、そんな持ち主の身体と融合――細胞という細胞を金属へ変化させながら巨大化する代物! だけど、身長は大きくても2、3階建て家屋と同じくらい。そんなわけで僕ひとりでもなんとか闘える!」

 今にも泣きそうな様子を見せるミントとともに騎乗するスレイプニルを再びベインティ――〈機兵〉に体当たりさせるファリアが、そう言うように〈機兵〉には融合型というタイプも存在する。


「融合型は人間が乗り込んで動かすタイプと違って、ヘタをすると精神を乗っ取られ、自我を失う恐れすらある……。持ってくるなら人間が乗り込んで動かすタイプを使った方がいいんじゃないの!」
 ファリアの右手に黄金色の光の粒子が収束、それが黄金の散弾銃(ショットガン)の形に結晶化する。
「その醜い無骨な姿を見ていると苛立ちすら覚えるんだなぁ!」
 不愉快そうにファリアはそう言い放つと、スレイプニルを〈機兵〉へと接近させ、その手に持つ黄金の散弾銃を至近距離で発射すると、その刹那、バッと〈機兵〉から離れる。それを何度も繰り返す。
「グギギギ! そんな攻撃がぁぁぁ通用するかぁぁぁぁ!」
 体勢を崩し、近くのある建物に頭から突っ込む形で〈機兵〉は倒れこむが、すぐさま立ち上がり、鋼の巨大な拳をスレイプニルに騎乗するファリア目掛けて振り下ろす。
「おっと、そうはいかないよ!」

 バシュウウウウウッ!

 魔術文字――と言ってもいい幾何学模様が見受けられる青白い光の円盤が幾重に連なり、〈機兵〉の巨大な鋼の拳による一撃を防ぐ。
「ぐおおおお! キサマァァァ!」
 〈機兵〉は憎悪の入り混じった咆哮とともに、その無骨な胴体が観音開きすると、そこから円筒型の物体が2発、純白の煙と真紅の炎を巻き上げながら発射される。
「うわ、そんなものを装備しているのか! 面倒だな〜!」
 騎乗するスレイプニルで咄嗟に2発発射された円筒形の物体の1発をかわす。が、もう1発の円筒形の物体は地上に着弾すると同時に、雷の如き轟音を奏でながら爆発し、激しい爆風を巻き起こす。
「うわあああああっ! な、な、な、なにぃあれぇ!」
 ミントが悲鳴を上げる。
「あれはミサイルって代物さ。それより、キミはスレイプニルと一緒に安全な場所へ!」
「あ、ちょ、ちょっと!」
 スレイプニルと一緒に安全な場所へ――とキッと鋭い声でミントに対して言うと、ファリアは騎乗するスレイプニルの背から飛び降りる。
「ヒ〜ヒヒヒンッ!」
 主であるファリアがなにを考えているのか? それを彼女が背中から飛び降りた時点で察したのか、甲高いいななきとともにスレイプニルはミントをその背に乗せたまま疾風の如き勢いでその場から離れる。

2006/06/05 18:56 No.40

天翔 薫

 スレイプニルも見ず知らずの誰彼を背中に乗せないですよね?
 姿形変わろうが性別変わろうがファリアだと認識して背に乗せるとこカッコいい! スレイプニルもまた魅力的なキャラですね。

 ベインティ暴走しちゃってますが・・・。
 ミサイルかます危ない奴は、はやいとこ始末したほうがいいよ!
 ファリアはミサイルに対抗できる武器出せるんでしょうか?強いの分かってますが心配です。

 更新楽しみです! 頑張ってください!

2006/06/06 00:20 No.41

猫塚 御音

 感想ありがとうござます^^
 んと、スレイプニルは律儀な馬です^^
 例え、姿や性別が変わろうともファリアとも友情や絆は変わりありません^^
 
 ベインティに関してはまだその〈機兵〉と化した身体に隠し玉が用意されてます^^
 暴走してそれをメッチャクチャに使うかもしれません><

 では、天翔さんも更新がんばってくださいませ^^
 

2006/06/06 17:47 No.42

猫塚 御音

 第5話「機械仕掛けの兵士」act.3


「やれやれ、僕も物好きだなぁ……。自分ひとりでこいつをブチのめしてみたい、なんて衝動に駆られるなんて――」
 右手に黄金の散弾銃、左手には白銀の散弾銃と両手にたずさえる2丁の散弾銃を乱射させながら、ファリアは一歩一歩、〈機兵〉へ歩み寄る。だが、小柄な彼女の体格では、2丁の散弾銃を発射する度に反動で後ろに下がってしまう難点も見受けられる。
「う〜ん、こいつはちょっと反動が強すぎかな……」
 反動が強すぎ――ということで腑に落ちない気分でも馳せたのか? ファリアは眉をひそめて溜息をつく。

「グハハハハハハッ! ソンナモノ……通用スルト思ッテイルノカ!」
 哄笑する〈機兵〉――ベインティの声色は、まるで金属と金属をぶつけ合った時に生じる奇妙な声色へと変化を変貌を遂げている。
「あらあら、声がついに金属音になっちゃったね、キミ〜……。なんか哀れな気分だよ」
 ニヤニヤと嘲笑を浮かべている一方で、哀れだ、と〈機兵〉を哀れむファリアだが、強烈な反動で体勢を崩しながらもお構いなしに左右の手に持つ散弾銃を連射する――だが、あまり効果はない様子。
「ふう、あんまり効果はないなぁ……。じゃあ、これはどうだろ――」
 散弾銃での攻撃が通用しない、と首を横に振りながら溜息をつくファリアは、なにやら呪文のような言葉を唱え始める。


 戦場で無念の死を遂げし、この世に未練と恨みを残せし亡者よ!

 僕の呼び声に応えて、僕の目の前に現れよ!

 そして僕とともに歩み踊ろう! 死の輪舞曲を!


 ファリアが呪文のような言葉を詠唱し終えると同時に、彼女の足許に奇妙で、そして禍々しい紫色の光芒を放つ幾何学模様が施された黒い円盤のような物体がいくつも出現する。
「さあ、出ておいで死霊たち!」
 で、ファリアのそんな呼びかけに応じるかのように、彼女の足許に出現した黒い円盤は狙撃銃、散弾銃やら銃火器をたずさえた骸骨の姿へと変貌する。
「彼らは〈死霊銃士隊〉……。僕と契約を結ぶ死の旅団さ。んで、彼らも参戦させてもらうよ!」
 銃火器をたずさえた骸骨たち――死霊銃士隊は、ファリアを中心に円陣を組む。
「グハハハハッ! 死霊ヲ呼ビ出シ、従エルノカ! 小娘ェ面白イ真似ヲスルジャナイカ!」
 卑屈で嫌味ったらしい、そんな哄笑を交えながら、カシャカシャという機械音のような声色で〈機兵〉はそう言うと、次に瞬間、両腕を大型の機関銃(マシンガン)へと瞬時に可変させるのだった。
「チッ面倒くさいものを……」
 重厚で大型の機関銃へと可変する〈機兵〉の両腕――
 それを眉をひそめながら見つめるファリアは舌打ちをすると、黄金の散弾銃をかまえる右手をスッと頭上にかかげる。
「機関銃のように連射はできないけど、こっちは一斉発射で対抗するとしようか!」
 キッと〈機兵〉を睨みつけながら、そうファリアが言い放つと同時に、彼女の中心に円陣を組む〈死霊銃士隊〉がたずさえる狙撃銃、散弾銃やら銃火器の銃口が一斉に火を噴くのだった。
 

2006/06/07 07:40 No.43

猫塚 御音

第5話「機械仕掛けの兵士」act.4


 狙撃銃、散弾銃など銃火器をたずさえた骸骨集団――〈死霊銃士隊〉の一斉発射攻撃が〈機兵〉の鋼鉄のボディに全弾命中――
「馬鹿馬鹿シイ! ソンナモノ効キ目ガナイと何度言エバ分カルノダ!」
 だが、まったく効果がない。寧ろ、弾丸は当たるたびに〈機兵)の鋼鉄のボディに弾かれるだけである。
「食ラエェェェェェェェ!」
 ガシャッという金属音を奏でながら、今度は〈機兵〉の大型で重厚な機関銃(マシンガン)と化した両手の銃口が激しく火花を散らす!

 ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァッ!

「うわっ! 危ない!」
 咄嗟にファリアは魔法障壁を幾重にも展開させると同時に、〈死霊銃士隊〉を盾にしながら、〈機兵〉の攻撃をなんとか紙一重で回避する。
「オラオラァァァァァ! 逃ゲラレルト思ッタノカァァァァァ!」
 〈機兵〉はなおも機関銃と化した両腕から弾丸を連射させながらファリアに襲い掛かる。
「ふう、そろそろ効果が出てきてもイイ頃なんだが……」
 ファリアは〈機兵〉の機関銃と化した両手から連射される弾丸をかわしながら、そうつぶやくと、懐から手榴弾を取り出し、それを投げつける。

 ズドオオオオオオッ!

「ヌオッ! ソンナ物マデ持ッテイルノカ! 面白イ!」
 手榴弾はクリーンヒットするがイマイチ効果はなかった様子である。


「お、おいおい……。一体、なんだ、あの無骨な化け物羽は!?」
「ファリアちゃんがいるわ、あそこに!」
 さて、ファリア&〈死霊銃士隊〉とベインティこと〈機兵〉が一種に戦場へと雰囲気そのものを変貌させてしまったシヴァラの町の半スラム街と化している町外れにファランとルナスの姿が――
「あ、あの馬鹿!」
 ファリアがファランとルナスの存在に気がついた時、〈機兵〉も当然、そんなふたりの存在に気がつきギギギギと耳障りな金属音を奏でながら、彼らの方に踵を返す。
「オ前ハァァァ、コノ俺様ノ顔ヲグシャグシャニシテクレタ男! 小娘ヨリ先ニ始末シテヤルゾ!」
 ファランによって顔を焼かれたことを当然とばかりに根に持っているベインティこと〈機兵〉は、怒り狂ったような絶叫を張り上げながら、銃口で大型の機関銃と化した両腕の銃口をファランとルナスへと向けるのだった。
「ひ、ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!」
 次の瞬間、ファランのひしゃげた絶叫がこだまする。
「死ネェェェェェェェェェ!」
 〈機兵〉は死の宣告を下すような声がファランを、そしてルナスを絶望へと追い込む――のだったが!

2006/06/07 23:35 No.44

猫塚 御音

 第5話「機械仕掛けの兵士」act.5


「死ネエエェェェェェェェェェェッ!」
 重厚で大型の機関銃と化した両腕をファラン&ルナスに向けながら、不気味な機械音の声で叫ぶ〈機兵〉!
「うわああああああああああああああああああああああああっ!」
 ファランとルナスは声をそろえて悲鳴をあげる。
 そして、〈機兵〉の重厚で大型の機関銃と化した両腕のそんな銃口が火を噴く!
 ――と誰もが思った次の瞬間であった。

 プスプス……ボンッ! ズガアアアアアアアアアンッ!

 なんと銃弾の代わりに機関銃の銃口から煙が立ち上る。その刹那、〈機兵〉の両腕が大爆発を起こしで木っ端微塵に吹き飛ぶのだった。
「え、え、エッ!?」
 呆気に取られるファランとルナスは一体、なにが起きたのか、とお互いの顔を見合わせながら、両目をぱちくりさせる。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ! 俺ノ腕ガァァァ!」
 自分でもなにが起きたのか分からない〈機兵〉は、天を仰ぎながら悲鳴を上げる。
「さて、そろそろかな……」
 その様子をニヤニヤと笑いながら見つめていたファリアが、小さな声でつぶやく。
「クソォ! ナ、ナニガ起キタトイ……ギャオオオオアアアアアッ!」
 自分の身になにが!? 〈機兵〉がそう自身の身に起きた現象を訝しんだ次の瞬間であるビキビキ……と〈機兵〉の醜悪で無骨なフォルム特徴的な鋼の身体が徐々に徐々にと赤錆が浮き出し始めるのだった。
「生物が死んだ時、その残された肉体は腐って土に還る。だけど、お宅のような金属の塊の場合は――」
 ファリアは徐々に徐々にと浮き出す赤錆が元で、その動きも徐々に徐々に鈍くなっていく〈機兵〉の許へと歩み寄ると冷ややかな声で言い放つ。
「ガアアアアアアッ! キサマァ俺様ノ身体ニナニヲシタァァァ!」
 〈機兵〉は吼え猛る。だが、すでにファリアに対し、襲い掛かることすら適わぬほど、その身を赤錆に侵食されており、身動きすらスローモーションのようである。
「ん、そうだな。寧ろ僕がっていうより、彼ら≠ェやった、と言った方が正しいのかもしれない」
 ファリアはスッと自分の後ろに控える〈死霊銃士隊〉へと視線を向ける。
「ガ、骸骨ドモォォォォォ!」
「そう彼らがやったのさ。んで、彼らは持つ武器にはどんな物体であろうが、対象物に死をもたらす代物。キミの場合、朽ちて動けなくなり……悲惨な最期を遂げるのかな?」
 〈機兵〉に対し、そう言い放つファリアの愛らしい顔に狂気のようなものが彩る。
「イ、イヤダァァァッ! 俺様ニハマダヤリタイコトガタクサンアルンダ! コ、コ、コンナトコロデェェ! コンナトコロデェェェ! ウガアアアアアアアッ!」
 〈機兵〉の断末魔の叫び声が雷鳴のごとく轟く。その次の瞬間、赤錆が全身を侵食し、〈機兵〉の無骨な鋼のボディの動きの一切が停止する。
 余談だが、〈機兵〉はこの後、シヴァラの町の半スラム街と化している町外れを飾る名物と化す。
 それはともかく。
「さて、とりあえず、邪魔者の始末は完了ってところだろうか……」
 ファリアは冷ややかな視線を赤錆の塊と化した〈機兵〉を向けながら、物思いにふけるようにつぶやくのだった。

2006/06/09 09:17 No.45

猫塚 御音

 第6話「策謀する者たち」


「ベインティが行方不明だと!? ほう、それはそれは――」
 斥候が告げるベインティ行方不明――ということに対し、〈サグマルス聖騎士団〉の団長と思われる銀のマスクで鼻から上を覆う男は冷ややか声でつぶやく。

「団長! 奴はきっと、あの男に! 次は私が!」
 銀のマスクの男に対し、次は私が――と〈サグマルス聖騎士団〉のひとりが名乗りを上げる。
 長身痩躯、黄金色の長い髪、そして蒼穹のように青い瞳の美女――〈サグマルス聖騎士団〉の紅一点と言ってもいい女騎士である。

「ルクレティアか、次はお前が――というわけか? しかし、あの男の生死が確認されていない以上、いささか無謀ではないかな? ベインティの二の舞になる可能性もありえるわけだが?」
 皮肉混じりの物言いで、〈サグマルス聖騎士団〉のひとりが、ルクレティアという名の女騎士を挑発する。
「私は、ベインティのように行方不明になるようなヘマは踏まん! 絶対にだ!」
 キッと殺気が入り混じった視線を向けながら、ルクティアは言い放つ。
(そうだ、私は……ベインティのような真似はしない! 〈機兵〉などという外道の兵器を使うような奴とは同じ真似は死んでもできん!)
 グッと両手を握りしめながら、ルクレティアは胸中でそう誓うのだった。
 

2006/06/12 07:19 No.46

猫塚 御音

第6話「策謀する者たち」act.2


「な、なんて町だ! ま、魔王ノダートアーリマが、この地方では善神だというのか! し、信じられん!」 
 〈サグマルス聖騎士団〉の一員にして、紅一点である女騎士ルクレティアはガクガクと怒りに身を震わせながら、目の前に鎮座する神像に睨みを利かせる。
 そんなルクレティアがいる場所、それはアースナグル神殿――シヴァラの町ではポピュラーな神殿であるが、ルナスティア大陸西方から来た者にとっては、神々の敵対者であるノダートアーリマを奉っている故にである。
 ちなみに、ノダートアーリアはルナスティア大陸東方では、善神として崇められている。
 山をひとつ越えると、そこは宗教観がガラリと変わった別世界――ということなのだろうか?
 それはさておき。
「あら、この神殿に礼拝客がやって来るなんて珍しいですわ」
 ワナワナと怒りに身を震わせながら、目の前のノダートアーリマの神像を睨みつけるツクレティアの許へと、この神殿の巫女と思われる女性が柔和な表情をそんなルクレティアに向けながら現れる。
「な、何故! 何故、邪神を奉っているんだ!」
 ルクレティアはギラリッと巫女を睨みつける。
「貴女は西方からやって来た人間ですね? この地では、多神教のコートニス教を崇めている者が多いですね。貴女方、西方からやって来た人にとっては、そこらへんが許せないのでしょうかね?」
 巫女はニコッと笑いながら、そう問いかける。
「う、うむ……」
 ルクレティアは眉をひそめ、困った表情をつくる。
「おーい、アレスティー居るかい?」
 ドカッという神殿の扉を蹴破る勢いで、喧しい闖入者が――ファリアがやって来る。
「コラッ! 神殿では静かにしなきゃダメでしょ、お嬢ちゃん!」
「あはは、申し訳ないな。おっと、こんな姿になっちゃったけど、僕だよ、分かるよね?」
「当然です! この神殿にそんな物騒な入り方をするのはキミしか考えられないわ、ファリアルド殿!」
 アレスティーという巫女は、ムスッとしながら、ファリアを――ファリアルドの名を口にする。
「な、なに! 今、なんて名前を言ったんだ!」
 ファリアの――ファリアルドの名前を聞いた途端、ルクレティアは血相を変えて、ファリアを睨みつける。

2006/06/16 19:40 No.47

アクアレジーナ☆★/kNaAzskmrk

私のハマる系の話です!!

2006/06/17 15:44 No.48

猫塚 御音

うは、物凄く遅レスですがアクアレジーナさん初めましてです^^

最近、パッとアイデアが浮かばずってな状態です><
とりあえず、何か考えてみようかなぁ……

2006/07/01 19:38 No.49

猫塚 御音

 第6話「策謀する者たち」act.3

「そこの娘! お前の名前はファリアルドというのか!」
 キッとファリアを睨みつけながら、ワナワナと身を震わせるルクレティアはガッとファリアの両肩に掴みかかる。
「ふう、僕になにか用? それに僕はファリアルドじゃなくて“ファリア”だよ!」
 ファリアは睨み返しながら、勢いよく左腕で両肩に掴みかかっているルクレティアの両手を払い除ける。
「名前繋がりから考えてキミは怪しい……。とりあえず連行させてもらおうか!」
 チッとルクレティアは舌打ちをすると、今度はファリアの右腕に掴みかかる。
「ふう、連行? 僕をどこへ連れて行こうっていうんだい?」
「私達〈サグマルス聖騎士団〉の仮本部があるこの町でもっとも高級なホテル――グランドシヴァラにだ!」
 ルクレティアは言い放つ。
 自分達〈サグマルス聖騎士団〉の仮本部が用意されているシヴァラの町最大級、最高級のホテルであるグランドシヴァラへ連行すると――
「へえ、なんだかよく分からないけど面白そうだねぇ」

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ネタがないので短めです><

2006/08/06 20:01 No.50

猫塚 御音

 第6話「策謀する者たち」act.4


「ふむ、あの娘をどうする気なんだ? あの連中……」
「さぁてね、あの連中に関わらない方が身のためってさっき先輩が……」
 ふたりの男は迷惑そうに目の前を行く黒ずくめの集団を見つめる。
 黒ずくめは両手を鋼鉄の手枷で拘束されたひとりの少女を連れている。
「うむ、なにか一難ありそうだね」
「そうだな、うんうん、なにかねぇ……」


 そこはホテル、グランドシヴァラ――シヴァラの町、最大の大型施設でもあるリゾートホテル。
 さて、そんなホテル、グランドシヴァラの最上階に陣取ってる連中にホテルのスタッフや客達は微妙というかなんというか、迷惑な気分を馳せていた。


「ふう、僕をこの部屋に閉じ込めてなにがしたいんだか……」
 両手を腰の後ろで手枷で拘束されている少女は――ファリアは、大あくびをしながらつぶやく。
「しかし、バカだねぇ……。僕をこんなもので拘束しようなんて考えてるあいつらも」
 と次の瞬間、ファリアの両手を拘束している手枷が、ボロボロの赤錆と化し、崩れ落ちる。
「さてと、これからどうするかな」
 ファリアは今居る部屋の豪奢なベッドに大の字に寝転がりながら、
「よし、あの女をダシにして、連中の――〈サグマルス聖騎士団〉とやらの頭をおびき出してみるとするかな」
 そんな策を練ると、次の瞬間にはグー、ガー、と寝息を立てて眠り始める。
 一体、なにを考えているのやら――
 それからしばらくして、ファリアが寝息を立てて就寝中の部屋へと何者かが入り込んで来る。
 あのルクレティアだ。
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最近、ネタがなくてスランプ状態かも・・・

2006/08/23 20:06 No.51

猫塚 御音★HN3E/F27rKY

「こ、この娘は本当に、あの死霊使いなんだろうか……」
 抜き足、差し足、忍び足といった感じの物音を一切立てない暗闇の中を走り抜ける猫のような行法でファリアが半ば監禁されている部屋へと侵入を試みる女――ルクレティアは、ゴクリと生唾を飲みながら、懐から短剣を取り出す。
「死霊使いは不死者と同じ、不死だと聞く……。それを試すには!」
 神妙な顔つきでジッとファリアの寝顔を見下ろすルクレティアは、キッと意を決するかのように懐から取り出した短剣を逆手に握り、それをすやすやと気持ち良さそうに眠るファリア目がけて振り下ろす。

「無駄なことやめなよ」

 ルクレティアの脳に直接、そんな声が響きわたる。
 当然、ファリアの声である。
「あ、あああっ!」
 さて、その次の瞬間、懐から取り出し、すやすやと気持ち良さそうに眠るファリア目がけて振り下ろす短剣が、あっと言う間に赤錆の塊と化し、ボロボロに崩れ落ちる。

「僕の眠りを妨げる者は、氷の塊になるといいよ」

 再び、ルクレティアの脳に直接、ファリアの声が響きわたる。
 その刹那、ルクレティアの身体が一瞬のうちに氷の塊と化す。
 一方でファリアは目を覚ますことなく、すやすやと気持ち良さそうに寝息を立てながら眠り続けるのだった。

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ひさしぶりに更新しました。
最近は他所がメインとなってしまいこちらを放置気味です。

小説家になろう、というサイトで雉飼狂子と魔道書【んこみのろくね】等を連載していますので暇つぶしにでも見てみてください^^

2006/09/30 14:10 No.52
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