時計仕掛けの灰かぶり姫( ライトノベル・ファンタジー小説投稿城 )TASTE@runaru★ql6liwkBkx_KT5
2011/07/16 15:50 No.0
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時計仕掛けの灰かぶり姫( ライトノベル・ファンタジー小説投稿城 )TASTE@runaru★ql6liwkBkx_KT5
2011/07/16 15:50 No.0
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TASTE@runaru★ql6liwkBkx_KT5
それはとても残酷な物語だと。そう言ったのは研究責任者のアサトーだった。
「研究は成功しましたよ。これの何処が残酷だと?」
「…あなたは何も分かっていないのね」
外は土砂降りの雨だった。今日帰るのは覚悟が必要な荒れ模様。
「この子は人間と同じように扱ってほしい。そう願って造ったもの」
一息措いてアサトーは窓を静かに眺める。
相変わらずの雨だ。それは何かを哀れむためにも見えた。
「だけど兵器≠ニして扱われる」
「それが、この機械の使命ですよ。博士」
助手の一人もまた窓の外を眺めた。
その助手もまた、アサトーと同じ気持ちだったのだろうか。
シリンダーに似た容器には青い液体が並々と。その正体は分子機械(ナノマシン)。
ただ、アサトーが残酷だと言ったのはこの機械ではない。
それに浸されているのは人≠ノ似た少女だった。
今の中学生くらいの少女が眠っていた。その時が来るまでに――。
「あまり愛情を注いだら、哀しくなるだけですよ。朝巳博士」
「分かってます」
今日も雨だった。
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第一章「私には名前がありません。」
「今日もまた雨……か」
朝巳 ユウは洗濯物をたたみながらそうぼやいた。
雨が降り続いたら乾くはずのものも乾かず、溜まっていくばかりの洗濯物にまた一つの溜息。
「兄さんが主婦がやりそうなことをしてると専業主夫≠ネんて呼ばれるよぅ」
「黙ってて、未来」
ユウの妹未来はテレビを見ながらユウを茶化す。
「そんなこと言うなら未来がやれば?」
「いやだね〜。時間は元に戻らず! 子供は子供らしく!!」
中学二年生の未来はそう断言する。
それに呆れてユウは何も言わない。
ユウの母親は研究所へ泊り込みで働いているため、その間はユウが家の家事全般を引き受けている。
母親が帰ってくるのは着替えを取りに来るときのみ……、だが時間がある時は食事を一緒にとったりしてる。
それだけが二人の幸せでもあり、母親がいるという実感が持てた。
父親は東京爆破テロ事件≠ノ巻き込まれて死亡した。
『――本日で東京爆破テロ事件は一〇年経ちます』
テレビではピンクのスーツを着た女性が原稿を読み上げている。
「…そういえば今日か……」
思い出したように呟く。
ユウは薄れていく記憶をかき集めるようにして思い出している。
「私はあんまり思い出せないなぁ〜」
未来は静かに父親の写真に目を向けた。当時、未来は四歳、ユウは五歳だった。
「僕もあまり思い出せないや」
「…むぅ」
テレビでは当時の映像を映しだしていた。爆破されるビル、逃げ惑う人、人、人――。悲惨さを物語っていた。
「思い出せないならまっ! いいか。それよりごっはん!!」
「はい、はい……」
動かしていた手を止めて台所へ向かう。
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ユウはスーパーの袋からパックに詰められた惣菜を取り出した。
それを見た未来は顔をしかめる。
「えーッ!! 今日もお惣菜ぃー?」
「仕方ないだろ…忙しかったんだから」
「言い訳無用だ!」
ユウはそんな言い訳を口にしながら惣菜をパックの上から皿に移し変える。
「まぁた学級委員やらで遅れたんでしょうぅ?」
「…ほい」
木製のテーブルに皿を置くユウ。
未来は華麗にスルーをした兄を睨みつけた。
「…いただきまぁす」
睨みつけながらも手を合わせてそう言った。
ユウも未来に続いて「頂きます」と静かにそう呟いた。
――――
アサトーこと朝巳燈子博士は未だに眠っている少女に目を向けた。
「そういえばもう少しで実戦配備されるんですね」
「アルタ……でしょう?」
「秋桜博士からじきじきに資料を頂きましたよ」
茶色い封筒から数枚の白い紙が出てくる。
宮部はそれを一枚ずつアサトーに手渡した。
「風は負けず嫌いだから……、ガイアより早く実戦に持ち出したかったんでしょうね」
手渡された資料見て数秒睨み、それから丸めてゴミ箱に放り込む。
「戦いは悲しみしか生み出さず。そう教えてくれたのはあの人だったわね」
懐かしむように写真を眺めた。
「今からでも車出しますよ?」
「いいわよ宮部くん」
……また悲しい顔だ。
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現在のユウは皿洗い中。未来は携帯で友達と何か話しているようであった。
「やっぱり雨だ」
キッチンから見えるのは降り続く雨のみ。
この状態がまた何日も続く……と天気予報は予測する。
「どうせだったら綺麗な夜空がみたい」
ユウは静かにそう呟いた。
東京爆破テロ事件を哀れむようにしとしと振り続ける雨は何を思っているのだろうか?
「母さんは今頃何してるんだろうね?」
未来は突然切り出す。
「どうせ研究所で泊まり込みだろ……?」
「…ふーん……」
関心のない返事。
ユウは最後の皿を洗い終わったらしい。
そのままエプロンを付けたままソファに座る。
「イージスっていうロボットの開発。未来も聞いたことあるだろ?」
「うん……少しならね」
「あんまり好きじゃない」
「…そうだね」
長い雨の時間。
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━━━━
日時変更してからの深夜。
恐ろしいほどに静かな夜に少女は目を覚ました。
「―……おはよう」
アサトーは目覚めたばかりの少女に話しかける。
すると少女は時計に目をやる。
「今の時刻でおはよう≠ヘないとは思うんですが…」
「まぁまぁ、そんなの気にしてたら始まらない」
コーヒーを口にする。
そして裸の少女に白衣を渡す。
「…これは?」
「ごめんなさいね、着る物がこれしかないの」
「……」
「しばらく我慢してね。何か着たい物とかない?」
「いえ、ありません」
静かに白衣を着る少女。
それを静かに見守るアサトーの姿。
アサトーはパソコンで彼女のスペックを確認する。
全て正常値をさしている…が、一つだけ異常があった。
「プロテクトが掛かってる」
学習機能、身体能力等は問題ない。
ただ、感情制御にプロテクトが掛かっている。
これは何を意味するのかさえ分からない。
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プロテクトが掛かっているのは感情制御のみ――。
外部からの仕様変更も疑った。
だがアクセス履歴も何も残されていなかった。
「あの、私は何をすれば良いのでしょうか……?」
少女は戸惑いを見せる。
彼女は何かあってこそ存在する。それが無いから戸惑う。
「今は一時待機…だから。あなたに会わせたい子がいるの」
「…誰ですか?」
「私の息子と娘よ」
━━━━
ユウは朝ご飯を作っていた。
メニューは目玉焼きと味噌汁、サラダ。
その後は未来を呼び起こすのみ。
「未来ぃ!! 朝ご飯だよーッ!!」
未来はそんなので簡単に起きるはずもなく……。
ユウは仕方なくベッドまで行って起こしにいかないといけない。
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「おきなよ未来…」
「うーん……まだぁ、まだ寝てたい」
「起きんかっ!!」
布団のはしを掴んで持ち上げるユウに対して、未来はベッドから転がり落ちた。
その顔は不機嫌を通り越して怒っている。
「朝ご飯だから早く制服に着替えて!」
まだ眠そうな顔をしつつも兄のいう事聞き、渋々制服に着替えようとしてる。
それに配慮して部屋を退室した。
朝巳家の朝である。
母親は今日も夜勤だ……。と思いながらも。
━━━━
――研究所内第一研究室
「燈子さんに子供がいたんですね」
「アサトー……で良いわ」
「はぁ」
「高校生の息子と、中学生の娘よ。名前はユウと未来」
「ユウ、未来?」
「えぇ」
少女は静かにカップをデスクに置いた。
その上は書類やファイルがごっちゃ返しになっている。いわゆる整理してない=B
それが気に入らなかったのか、それをまとめ始める。
「あー……」
「この部屋は汚すぎます。毎日掃除とかしているんですか? …ですがこの状態は掃除してないということですね。毎日掃除しないと、茶色いあのムシとかが湧きますよ。いくら機密文書があるからといって……」
不満を撒き散らす。
掃除用具からモップとバケツを取り出して、水を入れ、床を掃き始める。
外から「この子は人造人間(アンドロイド)」と言ったらまず、「掃除ロボット?」と聞き返すような。
「……聞いていますか? アサトー」
「あぁ…すまん。聞いてなかった」
「もう良いです!!」
そう言ってからまた掃除を始める少女。
台所は飲み終わったカップが散乱し、棚は埃にまみれてクモの巣まで張ってある。
ここで仕事してる奴らは掃除もしないのか? と思いながらも。